後始末に笑顔。
「ピアーズ・・・後は頼んだ!!」
俺は、ドラゴンの大樹を目指して一目散に飛んで行く。
「陛下!!」
『ドラゴンの大樹を守護する長として、ドラゴンの大樹を視察しないとね』
俺は、ピアーズに通信して伝える。
「視察禁止だって言っただろうが―っ!!」
大声を上げているピアーズの声が微かに聞こえた。
まだ、空は金色に包まれていた。
ドラゴンの大樹に何が起きたんだ?
周りを見回す。
紅葉の形の葉が亡骸のドラゴンを包み込み。ドラゴンの大樹へと向かっている。
金色の球体があちらこちらに飛んでいた。
ユピテルは疲労からスピードが落ちて行った。
「ユピテルもっとゆっくり飛んでいいよ。」
と、声をかけると、安心してスピードを落とした。
金色の球体がドラゴンの大樹へと先に向かって行った。
◇ ◇ ◇
「あらら、陛下が後処理まかせて行っちゃったね。」
フレディ閣下がケロッと言う。
「陛下って、後処理結構苦手とするからね・・・。」
フレディ閣下は、後処理を好んでしている傾向にある。
ものによっては、満面の笑みで行う事がある。
『ナイジェル!!聞こえる?』
フレディ閣下は父上を呼ぶ。
父上は聞こえていたようで返事をした。
『避難している者の背中に、灰色の特殊ペイントが付いている者が5人ほどいるから、捕まえておいてね。』
フレディ閣下がサラッと命令をした。
捕らえる意味は何でしょうか?
『行動がおかしかったからね。きっと合成獣と関りがあるんじゃないかな・・・捕まえたら、ムームー会議をするから。』
”ゾワ~ッ”
寒気がする。
一斉に周りの人たちはフレディ閣下を見る。
満面の笑みがこぼれていた。
ムームー会議
可愛い名前に騙されてはいけない会議。
ダンビュライト城の地下室にある6つの拷問部屋。
拷問にかける者に、6つの拷問の中で、どれに適しているかを話し合う会議である。
次期公爵であるカイル様は、適格に割り当てられるとか噂されている。
俺は会議に加わったことはないが、将来グレアム様が公爵になったら、間違えなくハワードはその会議に参加することになる。
・・・兄として心配である。
『合成獣はどこから来たのでしょうか?』
と、俺はフレディ閣下に聞いてみる。
『位置からしてアーリン大陸だろうね。』
ユニコーン狂の多い大陸。
中でもホルンメーネ国は、ユニコーン狂の聖地と言われている。
ドラゴンを特に嫌い、他国のドラゴンの大樹をダメにさせたりなど結構酷いことをしてきた。
そして、それが悪いことだとは思わない傾向にある厄介な国なのだ。
この頃は、その事で、過去にユニコーンがいた他国からも避けられ、自然と鎖国のような状態になっているとか・・・。
まあ、そうなるよな。
父上がフレディ閣下の言っていた人たちを捕らえ、ダンビュライト公爵直属の騎士に連れていかれた。
その頃になるとキラキラと仄かに輝いていた金色の空は消え、西の地平線が微かにオレンジ色に染まっていて、すぐにも暗くなるような雰囲気になっていた。
もう・・・そんな時間帯だったんだ。