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導く力を

 「避難をしろ~!!敵が来るぞ!!!」

 ケートと別れてから、ずっとこの言葉を人々に行っている。

 そうしているうちに、隣の港町まで来た。

 きっとケートも、反対方面の町に馬を駆けて避難誘導をしているのだろう。

 『怪我人は、ハウラの街のマブ・ラリマー邸に行ってください!!』

と、ハワードが通信を使って来た。

 どうして、聖ドラゴニア学園にいるはずなのに・・・。

 そうか、サーシャ殿の渡した手紙がアーサー・カンラン殿の手に渡り、陛下とキンバーライト公爵家の他に、聖ドラゴニア学園に届けたんだ。

 だが、『行ってください』って・・・もしや、戦闘に参加するのか?

 ハワードはしっかりとグレアム様をお守りできるのか?

 ・・・こんな事考えている暇はない。

 ハワードを信じるしかない。

 ”ドカラッドカラッドカラッ”

 馬を走らせ人々に避難を呼びかける。

 空が陰る。

 赤いドラゴンの集団。

 その集団中に金色のドラゴンがいる。

 ルベライト公爵家の赤騎士団だ。

 『誰が、ジジイのモウロクの為に、軍事練習の準備をせよじゃ・・・儂はモウロクジジイなどではないわ~!』

 ・・・若干、機嫌悪めの臙脂様もいるようだ。

 少し馬を走らせる。

 再び空が陰る。

 青や水色、緑色のドラゴンの集団。

 その中に赤いドラゴンがいる。

 きっとフォボスだ。

 クローライト公爵家の青騎士団。

 『大父様・・・あれが敵・・・一面が黒い。』

 『では、家に帰るか?』

 『いいえ、次期公爵として勤めを果たします。ご伝授をお願いします。』

 ライナス様も連れてきたのか・・・・。

 まだ、学園にも行っていない子まで来させるとは、だが、それほどの敵がドラゴニアに迫り来ているのだ。

 ・・・早く人々を避難させなくては!!

 俺は必死に避難を呼びかける声をかける。


 ◇ ◇ ◇


 ・・・体の中まで光に覆われ弾け飛びそうな感覚がする。

 『心の・・奥底から・・・歌って』

 私の夢に出てきた女性の声がする。

 姿が見えないが・・・リオンだ。

 弾け飛びそうな光が凝縮される感じへとなっていく。

 ・・・小さく、小さく。

 だけど、詰め込み、詰め込み。

 一粒の光となり、私の中に溶けていった。

 私は、目を開ける。

 ”キーキャッ”

と、クレシダが私に声をかけてくれる。

 私は、クレシダを撫でた。

 ”キー♪”

 柳の葉同士がすれる音が弦楽器の音色の様に聴こえる。

 ”ピロロロロ~♪”

 紅葉のような葉が擦れあう音が木管楽器の音色の様に聴こえる。

 ”ボ~ボワ~♪”

 枝と柳の葉同士が擦れあう音色が金管楽器の様に聴こえる。

 ”シャララララッシャララララッ”

 ウッドチャイムの音色

 ”ポロロロン♪”

 ハープのような音色

 ドラゴンの大樹からオーケストラの音色が聴こえだす。

 オーケストラの音調節の音色が響く。

 曲が始まる胸のワクワク感が広がる。

 その胸に音色が響いているのが理解できた。

 ”♪~♪~~♪~”

 ドラゴンの大樹から曲が流れてくる。

 私は曲に合わせ歌を歌う。

 「くっ」

 歌いだすと耳が痛くなる。

 私は痛いと感じた耳に触れる。

 ・・・血だ。

 何故、耳から血が・・・?


 ・・・リオン

 ・・・歌

 ・・・血


 『癒しの歌』

 

 ドラゴンの傷を癒す力。

 血を代償に扱う特殊能力・・・今、必要な能力。

 だから・・・私を呼んだんだ。


 私は歌を・・・心からの歌を歌う。

 溢れそうな涙も心の歌声に変えて・・・。

 耳から垂れる血が金色の粉になってドラゴンの大樹に吸い込まれていく。

 そして、ドラゴンの大樹に金色の花が咲く。 

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