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一度ある事は二度ある。二度ある事は・・・

内容が「お?」と、思うかと思います。

ワザとです。

逆に楽しんでもらえると嬉しいです。

 立派な建物には、ドラゴンと天秤のマークがあった。

 現在の時刻は9時38分。

 国の機関が開き38分が経過した。

 外貨交換所の門の前でクレシダから降る。

 「クレシダ、ここで一端休憩していてね。また飛んでもらう事になるけど、大丈夫?」

 ”キューッ”

 クレシダは返事をしながらコクっと頭を上下した。

 「じゃあ、行ってくるね。」

 私はそう言うと、すぐに中に入る。

 「ご用件を伺います。」

 出入り口の受付嬢が言う。

 前回ここへ来た時の受付嬢だ。

 若干顔が引きつっている感じではあるが、それでも、丁寧な感じに接してくれる。

 「所長にお取次ぎをお願いします。」

 受付嬢が一瞬固まる。

 「や、約束はされて・・おりますでしょうか?」

 「いいえ、ですが取り急ぎ、取り次いで貰わなければ大変なことになりますね。それでも構いませんか?」

 前回、前々回来た時と、全く同じ言葉を受付嬢に訴える。

 「ああ、そうそう・・恐れ入りますが『そのような脅しに屈することはできません。』とは、言わない方が身の為ですよ。」

 前回と同様とはいかせないからな。

 私は、ポーチから3枚の手紙を取り出す。

 『元ドラゴン騎士団白騎士団団長ナイジェル・ラリマー』

 『現ドラゴン騎士団白騎士団団長ジェローム・ラリマー』

 『元クローライト公爵マティアス・クローライト』

 私は一通、一通差出人の名前を上げながら受付嬢に見せる。

 「ちなみに、この手紙を調べたければ、どうぞ中身を見ても構いませんよ。それぞれ許可は頂いていますので・・。」

 こんなこともあろうかと先に許可を取っている。

 さあ、どうしますか受付嬢さん。

 私は訴えるも、受付嬢は動かなかった。

 ・・・おい、早くしろよ。

 そして、最後の一言。

 「わかりました。」

 よしっ

 勝ち取らせて頂きました。


 受付嬢の一人が案内をしてくれる。

 ”コンコンコン”

 「所長、失礼します。」

 私は、受付嬢の後に続いて部屋に入る。

 部屋に入ってすぐに、私に気づき椅子から立ち上がるテーブル席の先客2人。

 若い方はどこかで見たような・・・。

 「この町で伯爵をしているジョン・ラリマーと言う。」

 ジョン・ラリマーの名があがるとは・・・。

 この人で今世で6人目のジョン・ラリマーだ。

 「よくあるお名前なのですね。では、元ドラゴン騎士団白騎士団長のナイジェル・ラリマーの兄はご存じでしょうか?」

 ナイジェルさんの兄のフルネームはジョン・ラリマー。

 ジェロームさんの伯父でもある。

 「存じておるが、話した事はない。」

  残念な伯爵さんだわ。

 そんな事より、やらなければならない事があるでしょう。

 「お話の最中申し訳ございません。手紙を至急届けて欲しくて、こちらを訪ねました。大至急陛下とキンバーライト公爵にご報告せねばならない事があり、こちらの外貨交換所の協力をお借りしたいのです。」

 私は、先ほど受付嬢に見せた3通の手紙を取り出しテーブルの上に置く。

 「こちらの手紙を至急渡して欲しいのです。」

 カンラン所長は困った顔をする。

 「これはまた・・・。」

 ふと、銀髪小太りの中年の男は、私を見てこちらに来る。

 ”ぐいっ”

と、私の顎に手をやり、無理やり顎をあげさせる。

 「これは、美しい紫色の瞳だ。」

 正面に銀髪小太りの中年の男性の顔が見える。

 不細工な容姿をイケメン風にして、それに自画自賛してます的な雰囲気の顔。

 はっきり言って不愉快だ。

 「どうだ、儂の息子の瞳も多少紫の入った青い瞳なのだが。」

 銀髪小太りの中年の男性の近くにいた男性の瞳はロイヤルブルーの瞳。

 前世で、この色は格式ある色なので、この色を名をあげるのは申し訳ないが・・・頭に浮かんだ色の例えがこの色だったので了承して欲しい。

 青い色にほんの少し紫の入った色。

 「瞳だけでなく姿も美しいな~。」

 私は、一応お礼を言う。

 そして、思い出した。

 逆鱗を放たれた男の事。

 今回は父親付きですか・・・・。

 変な男に絡まれるとは、急いでいると言うのに最悪な伯爵親子だな。

 「どこぞの屋敷でメイドをしているのか、どうだ儂のブルーア・ラリマー伯爵家に仕え、儂の息子の愛人にならないか?」

 ないわ~。

 はっきりいって今の私、ものすごく先を急いでいるのですが・・・。

 「お断りします。」

 私は、逆鱗男の父親の手を振り払い断る。

 「何故だ、中央領で有名な裕福な伯爵家の次男なんだぞ。」

 「婚約者がいますから、それにお金だけで動く人間と思われた事が不愉快です。」

 私は訴えるように言う。

 「では、お前は名声という事なのか。」

 再び、私の目が死んだ。

 なんなんだ、この男は・・・親子して。

 「儂は、ドラゴニアで旦那にしたいナンバーワンの職種である国家鑑定士の、それもここにいる所長ですら従えることができるのだ。」

 つまり、ラリマー伯爵領内の外貨交換所という事ですね。

 「儂の領内の外貨交換所の所長は無能として有名だから、この儂がなんとかするのは当然。その儂の息子なのだ将来有望な人材だろう。」

 そして、この男は懲りずに、私に息子の愛人となることを勧める。

 ・・・・開いた口が塞がらない。

 それに、この会話、ヘンリー様が聞いてたらどう思うんだろう。

 「あなたの息子はドラゴンの逆鱗を放たれていると言うのに・・それも2頭も。ですがあなたの発言はそれを無視した発言をなさっている。・・・おかしな話ですね。」

 私は皮肉いっぱいに伝える。

 「なんだと?」

 「ご質問をしますが、あなたにとっての伯爵とは、どのようお仕事をなさるモノなのでしょうか?」

 きっと、このなめようでは、伯爵の何たるかを余し知りえていない。

 「領内の者たちを従えさせる。」

 ・・・?

 それだけですか?

 「中央領の西()()()に位置する伯爵だけはありますね。」

 私は口に出して言う。

 私の発言で、残念過ぎるラリマー伯爵がみるみる怒りの顔をする。

 それがどうした?

 「この地を収めているのがラリマー伯爵家と伺っています。ドラゴンの逆鱗を放たれたことで、一時息子さんがドラゴンと絆を結べなくなっているレッテルが付いていらっしゃることも。」

 なるほど、ドラゴンと絆を結べない事で何とかしようして、領内の主要な所に圧力をかけに来ているという事か・・・。

 「そんなの、この儂が軍事練習の指示さえすれば何とでもなる。なんたってこの地を納めている伯爵なのだからな。」

 自信過剰な親だこと。

 親も親なら子も子だったのね、このお坊ちゃんは・・・。

 マブ・ラリマー邸を出る前に、マティアス様それにナイジェルさんらから聞いたのだが、国家鑑定士を含め、軍や騎士団と連携しての軍事練習の準備をするように陛下から仰せつかっていた。

 表の名目は、不正にドラゴンと絆を結んだ者がドラゴン騎士にいると発覚したことによる、軍事のバランスの調整を図る狙いとされているが、実は、ジジイ様の精神崩壊が近いとされ、その際の戦闘に備えていたのだ。

 クレシダの事で忙しい中、ドラゴン騎士団白騎士団内でもその準備がされていると使用人たちが言っていた。

 「陛下が軍事練習の準備を仰せつかったのは、ドラゴニアに危機が迫っているからです。その危機がまさに今、迫っています。」

 私は、合成獣がドラゴニアに迫っている事。場合によってはもう上陸したかもしてない事を言う。

 そして、急ぎ兵たちを南西の海岸に集結させないとならない事を伝える。

 「そんなの事は、軍や騎士団に任せるモノのだろう。」

 ・・・頭が痛くなってした。

 このまま、この伯爵と話していたら、軍や騎士団を集結させるのに時間がかかってしまう。

 軍事演習で活躍したい感じに見受けられた人なのだけど・・・。

 うん・・・この伯爵は、邪魔な上に無能を宣言した。

 「アーサー・カンラン殿。今の状況を説明します。」

 私は、邪魔で無能伯爵を無視して説明をする事にした。

 大量の合成獣が、南西の地平線からドラゴニアに向かっている事。

 白騎士団ののみでは防げない程の量であること。

 白騎士団の騎士の一人がフレディ様に援軍を要請した事。

 マティアス様がエリック様に援軍を要請し、クローライト公爵領の援軍を連れて来るように動いている事。

 それらを伝える。

 「こちらある3通の手紙は、見て頂いても構いませんが同じ内容の物です。」

 急いでいた為、同じ内容の物を3人に書いていただいたのだ。

 「一通は陛下に、もう一通はキンバーライト公爵に、そして最後の一通は、他にも援軍が呼べそうなところへ渡して頂きたいのです。」

 私は、真剣に説明をして頭を下げる。

 「どうか、よろしくお願いします。」

 「頭を上げてくださいサーシャ様。」

 カンラン殿はそのように言う。

 「こんなメイドに『様』と言うのか?」

 邪魔で無能伯爵が不満を言う。

 「ラリマー伯爵殿。言葉を慎んでください。こちらのお方は国が違いますが公爵令嬢です。それに、ダンビュライト公爵が一目を置かれているヘリオドール一族の者。」

 そんな訳がないと声を荒げる邪魔で無能な伯爵。

 「情報を集めやすいのですよね使用人の格好は・・・私も情報部にいた時はいろんな格好をしていました。」

 カンラン殿の言葉で、邪魔で無能な伯爵が止まる。

 カンラン殿は、扉を開ける。

 「先を急がれるのですよね。どうぞ行ってください。」

 カンラン殿は、手紙を必ず届ける事。仲間を連れて南西の海岸へ向かう事を約束していくれた。

 私は、どうする事も出来ずに動くことをできなくなったラリマー伯爵の横を通り、扉へと向かう。

 「ご武運を」

 そう言い、手をだしカンラン殿と握手をした。

 「サーシャ様もご武運をお祈りしています。」

 こうして、私は再びクレシダに乗りドラゴンの大樹へと向かった。

番外編にしようか考えましたが、手紙のやり取りがあるので本編使用にしてます。

暖かな目で見て頂けると幸いです。


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