表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

183/423

ドラゴニアを守るために・・・

 『お願い・・・あの子を・・私のところへ』

 疾うに忘れたと思っていたリオンの声。

 よみがえる日々と共に、この声がリオンだという事を思い出す。

 「リオン。あの子とは誰の事だ?」

 薄暗い中をリオンの声が聞こえた方へと歩む。

 『・・・あの子に・・早く、あの子に伝えなければ・・・・。』

 リオンの声が聞こえる方に、金色の光が差し込む。

 「あの子とは・・・サーシャの事なのか?」

 私は、なんとなくサーシャだろうとはわかっていても、聞いてみる。

 『・・・・そう・・・早く・・・一刻も早く・・・』

 リオンの声がかすれたように聞こえる。

 私は光の方へと駆け付け、視界が開ける。

 私は唖然とする。

 ドラゴンの大樹が燃えている光景がそこにあったからだ。


 ・・・・そして、目が覚めた。

 辺りはまだ真っ暗だった。


 ◇ ◇ ◇

 

 ジェロームさんのドラゴンのマブは、ドラゴンの中で遠くを見るのに長けている。

 故に、黒い煙の合成獣が上陸するのにはまだ時間があると言ってくれた。

 かと言ってって、のんびりも出来ないのも事実。

 刻一刻と大量の合成獣が近づいているのだから・・・。

 私は、ナイジェルさん、ジェロームさん、そしてマティアス様から書いて貰った手紙を肩掛けのポーチに入れる。

 「皆さま・・・ご武運を」

 真剣な眼差しで私を見る。

 私も、同じ眼差しで皆を見る。

 「クレシダ・・お願いね。」

 ”キューッ”

 私は、まだまだ小さいクレシダにしがみつく。

 すると、クレシダは飛び立った。



 サーシャさんを乗せたクレシダが去るのを見る。

 小さい体ながらサーシャさんを運ぶことを引き受けてくれたクレシダ。

 いつもお前を頼ってしまっているな。

 あんなにも小さくなっても・・・。

 俺はやはり弱いのだな・・・。

 騎士の家に生まれながら、俺は騎士には向いていない。

 例え長年騎士をしていても・・・・。

 だが、俺の持てる力をすべて使う事が今できる事だ。

 「ジェローム。お前の剣はダメになっていたな。」

 先ほどの合成獣と戦った際にジェロームの剣の先が無くなってしまった。

 「これを使え。」

 俺は、自分の脇にさしている剣を出す。

 「父上これは、陛下から賜った剣ではありませんか!」

 終焉の戦いの功績で、陛下が愛用していた剣を賜ったのだ。

 「そうだ・・・だから貸す。必ずジェロームお前が、俺に帰しに来る・・・いいな。」

 ジェロームは戸惑っていた。

 「ジェローム、騎士は国の為、国民の為に命が存在する。」

 騎士の鉄則のようなモノ。

 「国民の中にはお前の帰りを願う者がいる。それを含めてお前の命が存在することを忘れるな。」

 ジェロームは俺から剣を受け取る。

 「お前の命・・とことん使ってこい。」

 「はい。」

 ジェロームの返事をする。

 俺は、ジェロームを抱擁する。

 「武運を」

 心の底から息子に伝える。

 「父上もご武運を・・・」

 ジェロームからも言葉が返ってきた。

 抱擁が解かれる。

 「ジェローム、ご武運を」

と、ケートがジェロームに言い、ケートもまたジェロームに抱擁する。

 「母上もご武運を」

 「必ず、皆で帰ってきましょう。」

 そう言い、ジェロームが私たちのもとから去る。

 ジェロームが外へ出ると、騎士たちが待機をしていた。

 ジェロームが騎士たちに声をかける。

 ・・・息子も立派になったな。

 そう、ジェロームの背中を見て思った。

 「ナイジェル様。」

と、ドミニクが声をかけてきた。

 ドミニクの手には剣があった。

 俺が、終焉の戦いまで愛用していた剣だ。

 「ありがとうドミニク。」

 私はドミニクから受け取ると脇にさす。

 「ドミニクたちも地下室に避難をしてくれ。」

 ドミニクは心得ている事を言う。

 

 そして、俺とケートは、ドラゴン騎士のドラゴンに一緒に乗せて貰い、港町へと向かう。

 別のドラゴンは、目を布でふさがれた馬をぶら下げて空を飛んでいた。

 港町に着き、俺とケートは降ろして貰う。

 馬の目を覆っていた布を解く。

 「・・・あなた。」

 ケートが俺に声をかける。

 目が合ったとたんに抱擁をする。

 「ケート、愛している。ケートの武運が、国民とケート自身を導く事を願っている。」

 「ナイジェル・・・愛しているわ。必ずまた抱擁が出来る事を信じているわ。」

 ケートと目が合うと、自然とキスをした。

 

 そして、俺とケートはそれぞれ馬に乗る。

 「敵が来るぞー!!」

 「地下へ避難を~!!」

 馬を走らせながら港町の人たちを避難させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ