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暴走寸前なルベライト城の面々

 「も、申し訳ございません。」

 モーリスさんはいきなり謝りだす。

 私は首をひねる。

 「何故、謝るのですか?」

 モーリスさんは一瞬止まる。

 私は、目をパチクリする。


 この間って・・・何?


 この間のせいで、前世の小説を思い出してしまったよ。

 「違うとは思うのですが・・・それなりの資料がクラウンコッパーの屋敷にありますので、失礼を承知で言わせてもらいます。」

 クラウンコッパーの図書室にある資料にも、そのような事が記載された物があったし・・・問題はない。

 あるにはあるが・・・。

 「マリーがヘンリー様に夜の手ほどきをした、そう心に留めておいた方がいいという事ですか?」

 「そんな訳ないでしょう!」

 モーリスが顔を赤くして訴えた。

 「マリーのお腹の子は私以外に考えられません。」

 「では、何故謝ったのですか?」

 モーリスさんは、私たちの結婚前に、伴侶の絆を結んだ事をあげた。

 「マリーが倒れた事で妊娠が発覚しました。」

 護衛の能力が備わっているマリーが倒れるなんて・・・。

 「元々、体力があるマリーが倒れたのです。安定期に入るまで安静にする他に、伴侶の絆を結びドラゴンからの支援もあった方が、お腹の子にいいだろうと医師の診断がされましたので・・・そのようにしました。」

 モーリスさんは、私たちの結婚が済んでから、結婚を前提に付き合っている事を報告する予定だったようだ。

 でも、妊娠したことで計画の変更を余儀なくされたのを申し訳ないと思っていたようだ。

 「モーリスさん、もしマリーと伴侶の絆を結ばずに、ここに来ていたら私はあなたを許さなかったでしょうね」

 マリーと、自分の子であるマリーのお腹の子を大事に思わないとか、ありえないからね。

 「ご結婚おめでとうございます。末永い時間を共に歩まれる事を自分の事の様に嬉しく思います。」

 ホルンメーネでマリーと別れたのは、実はいろいろと事情があったが、その中にマリーの婚期を逃してしまった事も含まれていた。

 マリーの今の年齢は、私の9歳年上の28歳。

 ドラゴニア以外の国では、23歳までに結婚するのが一般常識。

 婚期を逃したマリーには申し訳ないと思っていた。

 だから、マリーが結婚出来て幸せに思う気持ちに嘘はない。

 でも、マリーがモーリスさんと伴侶の絆を結んだことで、ずっとマリーは私の専属メイドとしていてくれることの方が嬉しく思ってしまう。

 こちらの気持ちの方が大きい事は隠せない。

 マリーが幸せなのが前提に考えるべきだが、モーリスさんが大事な人を幸せにしないなどありえないからね。

 ここは、堂々と自分の事に切り替え喜ぼうではないか。

 「それで、サーシャ様のメイドの事ですが・・・。」

 「マリーは私の専属メイドでいてくれるのですよね。」

 モーリスは『もちろん』と、言ってくれた。

 あぁ・・ありがたい。

 だけど、マリーは子育ての事もあり、もう一人専属のメイドを付ける事を言ってくれた。

 「クローライト城から、サーシャ様の専属になるメイドをと思いまして、クローライトにお願いしてます。」

 私は、何故クローライトからかと聞く。

 ルベライト城でも仲良しのメイドがいるのに・・。

 「何かあった時に、クローライト城へ避難できるように道筋を作るべきだと・・・エリック様がおっしゃられて・・・。」

 エリック様が、伴侶の絆が結べずにいた約50年間を独身で過ごした者の独占力を気にしてくれたようで、避難先を確保をしするために、クローライトから専属メイドをと言ってくれたようだ。

 ・・・なるほど。

 「他にもありまして・・・大変申し上げにくいのですが・・・1年前に、サーシャ様がクラウンコッパー公爵家の者と分かった時に、ヴァネッサ様がとんでもない行動をしていまして・・・。」

 モーリスさんの顔色が悪くなっているように見える。

 ヴァネッサ様はどんな行動をとったんだ?

 ・・・聞かない方がいいのかもしれないが。

 聞くべきだと思うし・・・将来、義母になるのだから・・・。

 私は、一応ヴァネッサ様の行動を聞く。

 ・・・一応だから。

 「その・・・子を成す為だけのお部屋を地下室に作られました。」

 ・・・・は?

 理解不能というか・・・なんとなく理解できるが、するのが恐ろしく、理解不能にして、確定する事を拒否している。

 それが正しい。

 「・・・・抑制帯。」

 あっ、つい口にしてしまった。

 「モーリスさん、答えないで!!」

 私が悪かった。

 この口の馬鹿、馬鹿、馬鹿!

 

 どうやらヴァネッサ様は、1年前に私がクラウンコッパー公爵家の者と知りショックを受けたようだ。

 だけど、情報の内容を詳しく知ると、リオンを殺したクラウンコッパーと違う事が判明。

 その他に、ヘリオドール一族と知ると、ヘンリー様の嫁にふさわしいと思ったようだ。

 それで、必ず私との子を成して貰うために、私を閉じ込める部屋を用意したと言ってくれた。

 ・・・聞きたくなかった。

 逃げ場所の確保は絶対だ。

 「あの・・・私自らルベライト公爵家に嫁ぐのですから、その怪しい部屋は嫁ぐ前に破壊してくださいね。」

 承知してます。

と、モーリス様は言ってくれた。


 こうして、モーリス様はルベライト城へと帰って行った。

 エーギルに乗りルベライト城へ戻るモーリスさんを見て、つくづくヘンリー様を好きになって良かったと、寒気を感じながら思った。 


  

 


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