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謝礼金がある。

 「書類を書いていただいて、ありがとうございます。」

 陛下からサーシャへの給料、ボーナス、特別手当の明細書類を書いて貰った。

 しっかり陛下の印鑑である国璽も押されている。

 ・・・さて、まずは前半戦が終わった。

 

 私は、とある書類を取り出し陛下に渡す。

 「この書類はなんだ?」

 私は、ヘリオドール一族に捕まった捕虜の保釈金となったリュヌの銀の櫛の事を話す。

 「マティアス待ってくれ、俺のところからは誰もコアルト大陸に行った者がいないが。」

 私のところから出した兵ですからね。

 ・・・でも。

 「陛下。恐れながら陛下は私に依頼しましたよね。サーシャの事を調べて欲しいと。」

 陛下が私に依頼した理由はわかる。

 リオンが亡くなり、その犯人がアリシアだったが、そのアリシアを唆したのが、旧クラウンコッパー公爵家だ。

 そのクラウンコッパーがお家断絶した80年前まで、クローライトの国家鑑定士を何名か、監視の為送り込んでいた。

 その為、他の公爵家よりコアルト大陸には詳しいのだ。

 だから、陛下は自身の私兵を使わず、私に依頼をしたのだろう。

 「クローライトの国家鑑定士は、他のところと比べ少ないです。その理由はわかりますよね。」

 アリシアの事があり、クローライトに所属しようとする国家鑑定士は少ない。

 クローライト公爵家の者がドラゴンと絆を結べなかった事も、その理由に含まれるだろう。

 「それにも関わらずに、私にサーシャの事を調べる依頼をした。」

 少ない国家鑑定士を陛下の為に送ったのだ。

 まあ・・・ヘリオドール一族にほとんどの者が捕まったが・・・。

 「クローライトに所属している国家鑑定士は、時にドラゴン騎士団の様に領土の治安にも回る事があります。それでも私はコアルト大陸に送った。」

 捕まった事で、領土の治安維持を不安になったことは言うまでもない。

 「ギリギリのところで、治安維持をしている状態でした。」

 「それなのに陛下は、捕虜の解放に力を貸してくれませんでしたよね。」

 キャサリンは、クローライトだけではなく、他の公爵家からも捕虜が出る事態なのに、陛下は手を貸そうとはしなかった事を涙ぐみながら言う。

 「最終的にサーシャが、ウィリアム・ヘリオドールに手紙を書き、リュヌの銀の櫛を添えたことで解放となった。」

 「本来、陛下がなさるべき事をサーシャがしたのに関わらず。お礼の一言もなく、失礼ながら・・・()()としか思えない所業を知らしめている事をご存じでしょうか?」

 陛下の顔が青ざめだしている。

 ピアース殿に関しては、もう青を通り越して白くなっている。

 「私がお貸しした国家鑑定士の分のリュヌの銀の櫛代は払ってもよろしいのではありませんか?」

 リュヌの銀の櫛の全額支払うなら、キンバーライ公爵とダンビュライト公爵が支払った分を返却しに行く事も伝えた。

 「それは、あまりにもおかしい。」

 白い顔であっても、ピアーズ殿が反論する。

 「捕まったのはそちらのミスです。」

 「ですから、そちらに提示してある金額は、一割差し引いた金額を提示してあります。」

 こうなるだろうと仮定して、先に一割引いていた。

 「せいぜい半分です。」

 交渉にでてきましたか・・・。

 「はぁ~、サーシャは他にも大きなことを成し遂げ、それを踏まえてでの金額だというのに・・・。」

 キャサリンが大きなため息をつく。

 そして、ドラゴン騎士団の中に不正にドラゴンと絆を結ぶ者が、わかってしまった現状下で、サーシャがドラゴンと絆を結んでいない騎士それに兵を英雄に祀り上げたことで、国全体の治安を維持させた功績を伝える。

 「・・・6・・いや7割です。」

 「別に今すぐ支払って欲しいとは言っていないのですよ。」

 ピアーズ殿がここまで言ってくるのは、国庫に関わる問題だからであろう。

 「サーシャが、今すぐ大量に使うわけでもありません。」

 サーシャは、黄金のドラゴンであるコスモと絆を結んでいるヘンリー殿のところに嫁ぐのだ。

 今後、そのことでいろいろとお金が必要となる事が出て来るかもしれない。

 その時の為の物だ。

 「陛下の抜き打ちや緊急の視察に、支払われる金額があると聞いてます。」

 陛下の視察という名の息抜き旅行代だ。

 「それを押さえる事は出来ませんでしょうか?」

 陛下の顔がみるみる白くなっていく。

 逆にピアースの顔が元の色へと戻ってくる。

 「わかりました8割でどうでしょうか?」

 それでも8割と金額を落としてきますか・・。

 「仕方がないですね。8割という事でいいでしょう。」

 これ以上、言っても逆に金額を落とされるかもしれない。

 「では、再度金額を出しましょう。」

 こうして、陛下のショックな顔を隠せない横で、勝手に金額の交渉が成立した。

 そして、月額で50年間かけて支払われる事になった。

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