悪夢の解釈
洗面台からベッドに戻り、横になる。
・・・・寝付けない。
死体の山で思いつくのは、イリス帝国の事だ。
革命を起こすことを促してしまった自覚はある。
その事で、たくさんの人が、死んでしまっているのも、自覚している。
・・・・でも、イリス帝国のドラゴンの大樹は、燃えたのではなく、枯れてダメになってしまったはず。
古文書には、ユニコーンのいた国の者が、ユニコーンがいなくなった事を腹いせに、ドラゴンの大樹に大量の塩や塩水、お湯などをかけ最終的に枯れてしまったのだと、古文書に書かれていた。
では、ドラゴンの大樹が燃えていたのは何故?
ドラゴンの大樹が燃えてダメになったのは数か国。
壮絶なのは、何と言っても古代時代のゴーラン王国だろう。
国王自らドラゴンの大樹を燃やしたのだから・・。
現在は、ナーガ王国に吸収されて、国そのモノが無くなっている。
他は、自然発火という国もあった。
ドラゴンの大樹の巫女らが、ドラゴンの大樹を拭き光沢を出させすぎたため直射日光と、反射された日光が、ドラゴンの実に照射して発火。
そんなモノもあったな・・・。
でも、死体の山まで存在する内容で思いつくのは、ピューゼン王国だろう。
精神崩壊により暴れだした赤いドラゴンが、ピューゼン王国のドラゴンの大樹を燃やし尽くした。それだろう。
・・・やはり、ジジイ様の精神崩壊が近いと伝えてきたのだろう。
ドラゴンの大樹の危機を知らせる内容。
なら、あの女性の声の主は・・・・リオン?
リオンはゲーム内では声がない。
だから、私が分からないのは当然だ。
それを確認する方法・・・。
でも、人の声って一番最初に忘れるって言われているからな~。
陛下に確認しようにも、陛下はリオンの声を忘れているかもしれない。
・・・だが、ドラゴンの大樹の危機を知らせないとならない。
私は、ベッドから起き、鞄を開けて封筒と便箋を取り出し、手紙を書き始めた。
・・・えっと、リオンの声は誰に似ていたかな~。
柔らかい感じの・・でもカリスタ様の声とは、また違う感じの、爽やかな感じで・・・。
このままじゃ、誰と誰かが合わさり2分の1されたみたいな・・・・に、なりかねなく、わかるようでわからない表現になる。
・・・どうするか。
次、夢であったら、自己紹介ぐらいしろと訴えてやろうじゃないか。
まあ、危険を知らせる内容は記させて頂こう。
こうして私は、危険を知らせる手紙を書いた後、眠りについた。
翌朝になり、ヘンリー様と合流し、コスモに乗りマブ・ラリマー邸を目指す。
ヘンリー様の腕の中で、私は、ジジイ様の精神崩壊の事を気にしていた。
ヘンリー様と仲の良いジジイ様。
ゲーム上では、絆をヘンリー様と結ぶほどの仲だ。
そのジジイ様が、精神崩壊の恐れがあるという事。
もし、精神崩壊が起きた時、鍵となるのが、ドラゴンの頂点に君臨するコスモだ。
だが、そのコスモもジジイ様っ子だから、たくさんの被害がこの国にもたらすこととなる。
”ぎゅっ”
と、ヘンリー様にしがみついている腕に力が入る。
「どうしたサーシャ、今朝から元気がないように見えるが。」
ヘンリー様は、私の事を気にしてくれてた。
なら・・伝えるべきだろう。
「リオンが・・・夢に出てきました。」
ヘンリー様の体が、リオンの名に反応した。
「ドラゴンの大樹の危機を知らせて来る内容の夢でした。」
ヘンリー様の私を支えている腕に、力が入ったのが分かった。
「そうか・・・。」
私は、前にも似たような内容の夢を見たことも伝える。
「私は、ドラゴンの大樹の加護があるとされる紫色の瞳をしています。」
金色の瞳程ではないかもしれないが、ドラゴンの大樹の加護があるとされる紫色の瞳だ。
「ドラゴンの大樹にはリオンがいます。何か伝えて来る事があってもおかしくはないはず。」
「だが・・・。」
どうしたんだろう、ヘンリー様の様子がおかしい。
「俺は、サーシャに会うまで、リオンの事を想っていた。」
はい、理解しています。
「もし・・・リオンが嫉妬で、サーシャに悪夢を見せていたら・・・。」
リオンが嫉妬・・・そうなのか?
・・・もしそうなら、ヘンリー様の事を本当に想っているとは思わないわね。
「なら、通い妻をしますね。」
私は、ヘンリー様にケロッとした口調で言う。
「ドラゴンの大樹の恩恵が届かないピューゼン王国にでも家を買い、ルベライトとの往復をしますよ。まあ、たまにはヘンリー様の方がピューゼン王国に来てくださいね。」
リオンが諦めるまで、通い妻をしてやろうじゃないの。
しっかり仲の良い事をアピールする事も必要ね。
私は、自らヘンリー様にキスをする。
すぐに反応してくれ、ヘンリー様は答えてくれた。