絆を結ぶということは・・・
ドラゴンの体から推測される寿命は5000歳。
だが、5000歳も生きているドラゴンはいない。
ドラゴンは心優しい。
優しいゆえに、心が壊れるのだ。
大体、2000歳ぐらいになると心が壊れる。
心が壊れると、ドラゴンは暴れだす。
そうなると、ドラゴン対ドラゴンで戦わせないとならない。
ドラゴンを失った国の、原因の一つに暴れだしたドラゴンにより、国が滅びたというモノがある。
それほど、壮絶な戦いとなる。
そのような事を防ぐためには、人と絆を結ぶ。
これに限るのだ。
ドラゴンは、絆を結んだ者に自らの寿命の能力を送り、絆を結んだ者の老いを20歳後半ぐらいに留め置き、寿命の伸ばすことが出来る。
絆を結んだ者の伴侶にも、同じように寿命の能力を送りこむことが出来る。
寿命を送るという事は、ドラゴンの寿命が縮まるということ。
『死ねる』行為が、ドラゴンの心を安定させているのだ。
ちょっぴり切ない感じもするが・・・。
「国家鑑定士を目指している者には、必ずそのドラゴンに会うように、国が指示を出したが、いまだに絆を結べていない。」
そのような指示をだすとは・・・。
「二重契約できないかも考えた。」
「ダメ!!!」
声をあげ注意をする。
「知っているのだな。」
”こくっこくっこくっ”
顔を青くさせ、恐怖しながら頭を何度も上下させる。
「公式小説で、二重契約の件が載っていました。」
過去、二重契約をした者がいたが、ドラゴンの流れ込む能力に体が耐えられなくなり・・・・破裂したのだ。
うわ~・・・・思い出したくない!!
寒い、寒い、寒い
自分の死因にそっくりだけど、私は貰い死にだ~!!
じゃなくて・・・。
「落ち着いてください、大丈夫ですよ。」
カリスタ様は、私の背中を優しくさすってくれた。
少しして、ハミッシュ陛下が椅子から立ち上がり、私の前に片膝立ちとなり、私と目線を合わせる。
「サーシャ・カーネリアン。そなたに頼みたいことがある。」
ハミッシュ陛下改まって何ですか?
逆に怖いのですが・・・・。
「・・・無理です。」
怖さが勝ってお断りをした。
「内容を聞かずことわるのか?」
だって、国王が膝立ちで頼みごとをするのよ。
出来なかったら何をされるかわからないわ。
「そなたにしか頼めないことだ。」
尚更、無理よ!!
「頼み事をきいてくれたら、聖ドラゴニア学園の中を見学できるように取り計らおう。」
”ピクッ”
せ、聖地巡礼~
心が動かされ・・る。ダメよ。
「聖ドラゴニア学園の中の見学は、許されていないからな~。」
はい、知ってます。
「出入り口はしっかり兵士が護衛して、侵入者が入らないようにきっちり警護がついているし~。」
はい、その通りです。
「頼まれごとを引き受けてくれたら、場合によっては入学出来るように計らう事できるのだけど・・・・。こうも断られると、逆に入学できないように仕向けたくなるよな~。」
え?
「そっか、俺って国王だから、そういうことも出来るか・・・。」
「頼まれごと、引き受けます!!」
やるしかないじゃない!!
ハミッシュ陛下は満面の笑みを見せる。
ちっ、歯のキラキラまで見せやがって、卑怯だ~!!!