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聖地には落とし穴もある。

遅くなりました。

 只今、ライ様と私がいる場所は、港町デュモルチェ。

 地平線に見える島が、交換島。

 ドラゴニアで唯一、黄金や宝石などを鑑定することのできる島である。

 港町デュモルチェと交換島の2箇所が、ベルデ交換島伯爵の領地である。


 そして、港町と言えば・・・。

 ありますとも、『ベーカリーうみまつ』

 

 さすが、ピアーズさんです。

 しっかり、予約のチョコチップスコーンを受け取りに行くという日程も、含まれています。

 ピアーズさん、グッジョブです!

 

 『ベーカリーうみまつ』の店内は狭くなっているので、ルイーズさんと私が店へと行き、他の方々は、ドラゴン寮の方へと待って貰っている。

 

 ”チリリ~ン”

と、どこかで聞き覚えのある音色がした。

 何の音色だっけ・・・思い出せないわ。

 私は、思い出そうと首をひねり店内を進む。

 ルイーズさんは、何も持たずにズカズカとレジへと向かう。

 「おかみさん、頼んでいる物をお願いね!」

 店の人は、奥から大きな紙袋が2つを持って来て、ルイーズさんと私は、一つずつ抱きかかえるようにして持つ。

 お会計は、前日に支払っているとの事だったので、そのまま出入り口に向かう。

 ふと、店内に飾られている絵が目に入る。

 ・・・・これって。

 「おかみさん、この絵に描かれている場所は、どこの店舗ですか?」

 そこに描かれているのは、ゲームに出てきたベーカリー『うみまつ』まさにその店舗の内装が描かれた絵だった。

 「ここですよ。」

 いや、違うでしょう。

 こんなに、モダンでシックな店内ではないぞ。

 ・・・あっ。

 「も、もしかして・・・改装なんて・・して・・ませんよね。」

 「しましたよ30年程前に・・・。」

 即答で、お答えを出してくてました。

 ショックです。

 チクショーです。

 やっと見つけた聖地なのに、改装なんて・・・するなよですよね。

 ・・・いいや、築100年以上、まったく変わりないパン屋の方が、おかしいか・・・。

 聖地巡礼に、こんな落とし穴があるとは・・・悔しいです。

 ”チリリ~ン”

と、店に客が入ってくる。

 「お店のドアベルって、改装前からの物を使っていますか?」

 「まあ、よくご存じで・・。」

 おかみさんは、このドアベルの音色が気に入っていて、親の代に改装すると

決まった時、ドアベルは変えないで欲しいとお願いをしたのだと、話をしてくれた。

 ”チリリ~ン”

 うん、いい音色。しみじみするわね。

 ”チリリ~ン”

 ちょっぴり悔しいけど、おかみさんのおかげで、この音色だけは当時のままだわ。

 ”チリリ~ン”

 もう一度・・・。

 私は、何度も出入り口のドアを開閉する。

 「さっさと行くわよ。」

 ルイーズさんに促されてしまった。

 おかみさんも、苦笑いで私の方を見てお見送りをする。

 ・・・すみませんです・・・今、行きます。

 私は、『ベーカリーうみまつ』を後にする。

 

 ルイーズさんと私は、ドラゴン寮へ向かう。

 「サーシャさんは、どうして港町シャーマから、この国に入国したの?」

 まあ、通常ならキャサリン様とリオンがドラゴニアまでの来る道のりをたどるよね。

 イリスから交換島経由のドラゴニア。

 でも、私は大回りをした。

 したのには理由があるからだ。

 「ホルンメーネ国に立ち寄る必要があったからです。」

 私の姉、弟、それに義母が、ナーガ王国のウィリアム伯父様を頼って亡命をしてくる予想をしていた。

 イリス帝国の革命後の事を考えると、姉弟と義母をナーガ王国に匿う事は危険だ。

 なんせ、クラウンコッパーは革命を起こすきっかけの一端を担っている。

 だから、ウィリアム伯父様の負担にならないように、ホルンメーネに、姉弟と義母の亡命後の移住先の確保をしてきたのだ。

 私の専属のメイドマリーとホルンメーネで別れたのは、姉弟と義母に家を渡すためだ。

 マリーがホルンメーネではなくルベライトにいるという事は現在、姉弟と義母はホルンメーネに亡命生活をしているという事。

 ユニコーンを崇めている国であるホルンメーネだ。

 ドラゴン好きには生活しにくいかもしれないが、革命者が襲ってくる心配がない。

 そういう観点からは、安全に生活できる場所である。

 単に、姉弟と義母がドラゴニアに来る心配を無くす為でもあった。

 なので、私はホルンメーネ経由でドラゴニアに入国をしたのだった。

 「なるほどね~。」

と、ルイーズさんは納得してくれた。

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