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我慢は時には必要です。

 ライ様と怪我したドラゴンをルベライトへ見送ってから、6日がたった。

 私は、王宮トリプライトのクローライト屋敷に前日からいた。

 風邪を引きダウンしたのだ。

 ハミッシュ陛下とカリスタ様が、前日の夜に見舞いに来てくれて、翌朝に王宮から氷が届けられた。

 そのおかげで、だいぶ楽になった。

 氷で冷やされたタオルで、優しく顔を拭かれていた。

 私は、拭いてくれている人にお礼を言おうと目を開ける。

 「キャサリ・・母さま。」

 キャサリン様は優しく微笑んでくれた。

 そして、すぐに申し訳ない顔をする。

 「護衛の兵から聞きいたわ。ヘンリー様に会いたいのに、我慢してくれて、申し訳ないと思っているわ。でも、ありがとう。」

 私は、ゆっくり首を左右に振る。

 「ホッとしているのです。今のところは・・・。」

 私は、素直な今の気持ちを伝える。

 もし、あの時、怪我をしたドラゴンと一緒にルベライトへ行き、ヘンリー様に会ったら、自分が制御できずに暴走しかねない事を伝える。

 「好きな気持ちを制御するのは難しいです。ですが、無理にでも制御しないとならない事がある。それが、たまたまあの時だっただけです。」

 キャサリン様が私の頭を優しく撫でてくれる。

 「会えない後悔を・・堂々と胸を張ってするつもりです。」

 「そうなったら、必ず私に言って。」

と、キャサリン様は言った。


 ライ様を、怪我したドラゴンと一緒にルベライトへ行かせたことで、どんな事が起きようと、ドラゴンに嫌われようが、ドラゴンと寄り添うきっかけを作ったのではと。

 それが、クローライト公爵家に必要な事だと、感じ取ってくれたと、推測している事を教えてくれた。

 でも、それと同時に私の気持ちを犠牲にしているとも、感じとれると話してくれた。

 「だから、その時は一緒に後悔をするわ。」

 キャサリン様は解っていないな・・・。

 その一言で、後悔なんて、ちっぽけなモノになってしまう事を・・・。

 「ありがとうございます、母さま。」

 私は、そう言い。再び目を閉じて、眠りにつく。


 ◇ ◇ ◇


 翌朝、私の熱が下がった。

 朝食を済ませると、キャサリン様とマティアス様に呼ばれ、マティアス様の屋敷の書斎に呼ばれる。

 書斎の窓際に置かれたテーブル席に座らされる。

 「サーシャが、どれぐらいの能力を持ているのか、把握した方がいいと思っていてな。簡単だがテストを受けて欲しい。」

と、マティアス様がいい、テスト用紙が配られた。

 私は、テストを受ける事になった。

 いろんな科目の問題を解き、最後に出されたのが論文だった。

 『ドラゴニアが発展するのに必要な事』

 ・・・・か。

 ドラゴニアに来て感じた事を巡らせ、万年筆を動かす。

 ドラゴニアのこれからの事を考え、必ず必要になる物。

 その、入手方法を書く。

 そして、夕方となりテストが終わった。

 「サーシャ、明日は王宮へ行き、氷のお礼を言わなければね。」

と、キャサリン様が微笑みながら言った。

 確かに、わざわざ氷を持って来てくれたのだ。

 この世界に冷凍庫ってない。

 なので、冬の間作って置いたものを氷室に保管しているか、ドラゴンが生成するかの2種類なのよね。

 ユピテルが、氷を作ってくれたのかしら?

 うん、お礼をしに明日は王宮へ行く件は、了解です。

 

 ◇ ◇ ◇


 「・・・これって、事実なのか?」

 「調べる価値はありますが・・・・ヘリオドール侯爵に捕まる確率が出てきますね。」

 ハミッシュ陛下とピアーズの話合いが、一瞬で止まる。

 「港町の状況を見て回るだけですので、慎重な者にやらせるのがよろしいでしょう。場合によっては、特別手当を支給する事を示唆に入れておいた方がよろしいかと・・・。」

 ピアースが、案を出す。

 「なら、ピアーズが行くのが適任ではないか?」

 ハミッシュ陛下も案を即答で出す。

 「陛下は私に喧嘩を売っているのですか、そんな事をしたら、陛下が執務を放り投げて、視察という名の遊びに出る事になります。未だに陛下にしか出来ない執務がある事忘れないでください。」

 ピアーズの髪型が、くしゃくしゃになる一歩手前の状態となった。

 「そうか・・なら、俺が・・・って、ピアーズ、髪をポリポリかかなくていいから・・・冗談を間に受けるなよ・・・。」

 ピアーズの髪型がくしゃくしゃになる。

 「それが、冗談で済んだこと・・・どれぐらいありましたでしょうか?」

 ピアーズの瞳が赤く光るように見え始めていた。

 「冗談で・・・済ませてくださいね~。そうでないと・・・陛下を勝手に崩御させますよ。」

 「おいおい、それは後始末が大変だなよな・・・・。」

 「そうですね。ですが、やりがいを感じました。」

 ピアーズは満面の笑みで、自ら仕えるハミッシュ陛下に伝えた。

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