仕方がないが、嬉しくもある。
フィシュム宮殿にも二重らせん階段・・・ありました。
階段を昇り、景色が良く見える部屋へ、そして紅茶を出される。
フレディ様の黒いオーラで、私の口の中は乾き紅茶を一口。
”ゴクリッ”
と、喉を潤す。
「さあ・・話して。」
ニッコリ笑顔の、どす黒いオーラが目の前に・・・。
再び、喉が渇き始めています。
「ナ、ナーガ王国は、世界一のクリスタルの産地という事は、ご存じですよね。」
当然のように理解していた。
「クリスタルの加工も盛んだという事もわかりますよね。」
まあ、こちらの内容も理解している。
「クリスタルを研磨する際に出る、クリスタルの粒子の入った水。それをドラゴンが飲んだらどうなりますか?」
フレディ様のオーラが固まった。
カイル様も目を見開き驚く。
ライ様も私を二度見する。
私は黙って3人を見るが、次の瞬間。
「・・・・ふふふふ。」
と、フレディ様の底辺からくるどす黒い声。
そして、どす黒いオーラが全開で放たれる。
・・・・うわっ、震えが止まらない。
「父上、落ち着いてください!」
カイル様の声も届かない感じだ。
「あれでも・・・元、ドラゴンがいた国の人間なのか・・・フフフッ」
やばい、フレディ様のオーラで、具合が悪くなる。
「カイル殿・・・どうにかできませんか?」
ライ様が、カイル様に聞く。
「で、出来はします・・・ですが、もう、そんな事をいう年ではないので、言いたくはないのですが・・・。」
「言ってください!」
「言ってください!」
ライ様と私は、一斉にカイル様に言う。
「パ・・・・パパ、やめて!!」
”ピタッ”
一瞬でオーラが消えた。
「うん、わかったよ。」
満面の天使の笑顔で、息子のカイル様に伝える。
カイル様のヒットポイントは、相当削られたように、どっと疲労が見て取れた。
「排泄物を川もしくは海に流せと、ヘリオドール侯爵が言ったのはそういう意味か・・・。」
普通にフレディ様は喋ってくれた。
『パパ、やめて』効果抜群ですよ、カイル様。
「一年は見ていた方が、よろしいかと思います。」
フレディ様はため息をつく。
「・・・その様だね。」
喜ばしい事は、ピューゼン国民はドラゴンがいる事を歓迎している。
赤いドラゴンも含めて、そのように思っていてくれることはありがたかった。
「ライナス殿。全てのドラゴンに会いに行かれますか?」
カイル様の提案に、ライ様は嬉しそうに微笑む。
・・・・私は、あのドラゴンたちに会いに行ってもいいのだろうか?
「サーシャ、逃げる事は許さないよ。」
と、フレディ様がいう。
その後ろのオーラには黒い物を感じない。
・・・どういうことだ?
私は不安な気持ちの中で、弱っているドラゴンたちに会いに行く。
一人一人、一頭一頭に挨拶をして、少しの会話と、ドラゴンを撫でる。
私は、挨拶するたび、ドラゴンに撫でるたび、苦しくなる。
「カイン・マディラです。」
と、茶髪の好青年が挨拶をした。
モーリスさんの甥っ子だ。
「ライナス・クローライトです。国家鑑定士になって何年目ですか?」
73年目と答えた。
「ベストラです。」
”キュフー”
紫色の瞳に赤い雌のドラゴン
ライ様はベストラの年齢を聞く。
753歳と答えた。
”ツーーー”
と、私の目から涙が零れる。
「私が、ドラゴニアに来なければ、こんな事にならなかったのに・・・ごっ。」
”ガバッ”
と、私の口を塞ぐ手があった。
「謝るな!」
フレディ様が低い声で言い。私の口を塞ぐ手に力を入れる。
「この者たちは国家鑑定士だ。そのプライドをこれ以上傷つけるな。それでも、黄金のドラゴンのコスモが、ヘンリーの伴侶にと望んでいる者なのか?」
・・・・。
フレディ様が私の口を塞いでいる手を解く。
「サーシャ殿、あなたは自分の価値をわかって、いらっしゃらない。捕まっても仕方がないほど価値のある人間だという事に・・・。」
フレディ様の息子のカイル様が、補足するように言う。
「ヘリオドール侯爵から伺っています。あなたがイリス帝国に革命を促した『導きの声』と、言われている者だという事。」
ウィリアム伯父様の所に捕まっていた者の一人が言う。
「ヘリオドール一族の血族者だという事。」
他の者も、少し悲しそうではあるが、仕方がないと言う雰囲気に微笑しながら言う。
「悔しい気持ちは、多少はありますよ。それは認めます。でも、それ以上にうれしいのですよ。黄金のドラゴンのコスモが望んでいる、ヘンリー様の伴侶だという事が・・・。」
モーリスさんの甥っ子のカインさんが、話してくれた。
カインさんの言葉に周りが頷き同意していた。
ドラゴンも含めて。
「私は・・・どうすれば、いいのですか?」
「ドラゴンを撫でてあげてください。」
私は、その日、ドラゴンを撫でて回った。
相変わらす名前で失敗しました。
『カイル』に『カイン』
すみません。