右が分からなくても、左が分からなくても
ダンビュライト城へ来てから、2日目となった。
「ルルルンッ、ルルルンッ、ルルルンター」
上機嫌なフレディ様に、ライ様とカイル様と一緒に、付いて回っていた。
この鼻歌というか、堂々と歌っている方の年齢144歳です。
見た目14歳であっても・・・。
息子様のカイル様は、見慣れていてシレっとフレディ様に付いていても、ライ様と私は見慣れない光景に、顔が引きつっています。
只今、ダンビュライト領のお役所の中にいます。
建物の角に差し掛かると、フレディ様が止まり、こちらに振り向く。
「ここからは、静かにしてね。足音も禁止だから・・・裸足で行く?」
と、私たちの足元を見る。
ライ様と私は、裸足にならないでも大丈夫な事を伝える。
すると、建物の角をフレディ様が曲がる。
・・・・オーラが違う。
そのように、感じた。
先ほどの、スキップのステップを踏み出すのではないかというオーラとは違い、キリッとして・・・どす黒いオーラも漂わせていて・・・。
ああ、これが堕天使と言われている方のオーラだ。
・・・キリリに黒さがあると、そう感じた。
「お前、何やっているんだよ。遅いな~。」
役人の一人が、新人役人に対して暴言を吐いていた。
「それでも優秀と言われている、西の領土の役人かよ。まったく・・・。」
新人役人は縮こまり『すみません。』と、言うだけだった。
「恥ずかしいと思ってくれないか。お前の行動が、西の領土の迷惑になるんだからさ~。」
新人教育に当たっている者が、新人に怒っている。
フレディ様は足音を立てずに、その者の方へとスーと歩いていく。
「ねえねえ、君の方が恥ずかしいと、そう・・思ってくれないかな?」
満面の笑みで、暴言を吐いていた役人に言った。
周りの見て見ぬふりをしていた役人も含めて驚く。
「新人君の教え方が下手。それでも優秀な西の役人なの~。困るんだよね~。」
フレディ様は、あくまで微笑みながら言っているが、そのオーラは、どす黒さをかもし出していた。
「新人君はね、どこに何があるのかわからないの、覚えようと必死で空回りをすることもあるの、そんな事もわからないのかな?」
フレディ様は指導者の役人に言うと、新人の方を見る。
「もしかして、魔法使いと勘違いしていない・・・ねえ、新人君は魔法使い?」
新人は、首を左右に振り否定をする。
「ほら、違うでしょ。いたらホラーだよ。」
すぐに、指導者の方を見る。
「それで・・・新人君のサポートも出来ないぐらいに、ここの部署の者たちは、さほど優秀ではないという事なのかな?」
指導者以外の役人の方々も、顔が真っ青になる。
「どうしたの?僕は、新人君のサポートが、出来るか出来ないかを聞いているのだけど・・・もしかして、出来ないとか?!」
真っ青な顔をした役人の方々は、首を全力で左右に振り、サポートしますと訴えた。
「新人君・・・しっかり、学ぶんだよ。」
新人は、目を輝かせてフレディ様にお礼を言う。
「あっ、だけど・・・いつまでも新人でいるか決めないとね。ずっと新人気分でいられると、サポートに当たっている周りが困るからね。それこそ、新人君が優秀でなかった事を証明するだけで、僕の立場なくなってしまうもんね。」
新人はハッとする。
「・・・わかっているよね。」
新人の顔も青くなっていき、頭を上下に振るしか出来なくなっていた。
「さて・・指導者君の事どうしようか?」
フレディ様はカイル様に意見を聞く。
「人を痛めつけている事が分からなかったのです、それがどのような事かを調教するのも・・・・いいかもしれませんね。」
カイル様も闇属性だったんかい!
不敵な微笑みが、闇の王子を感じるのですが・・・。
カエルの子はカエルだったのね。
「まあ、今回は許してあげなよ、指導者君も教え方が、分からなかったんだからさ~。」
「そうですね・・・次は、ありませんが。」
怖っ
こうして、フレディ様に付いて回る一日は終わった。