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白の公爵と王女

 「前々から会いたいと思っていたんだよ、サーシャ・クラ()()()ッパー。」

 フレディ様・・・・そう来ましたか。

 やはり、あなたの一言には、トゲがあります。

 そして、手が痛いのですが・・・。

 「いやですよ~、フレディ様。わざわざ()()な名前を言わなくても、トラバイトの姓を、マティアス様から頂いております。」

 ニッコリ反撃にでる。

 「まったく、サーシャは便()利だよね~。簡単に姓名を変更してしまうのだから・・。」

 フレディ様に、もともと勝てる気はしてないけど・・・。

 そこまで、隠れ排泄物言葉の会話をしたいのですか?

 「便()宜をはかったつもりは、ないのですけど・・・姓名なしに不便()を感じていたのをマティアス様が、察してくださったようです。」

 ”グギッ”

 フレディ様・・・だから、痛いってば~。

 暴力反対だよ~。

 だけど、我慢しなければなのだよ~。

 「()()()えの回る子だね。」

 まだ、やるのかよ~。

 「フレディ様の便()言に比べてみたら私など・・・。」

 「サーシャも便()口ではないか・・・ふふっ」

 フレディ様と私は、含み笑顔を見せる。

 そして、やはり手を砕かんばかりの握力をかけられていた。

 「そのぐらいにしたら、いかがですか?」

 キレイな女性の声の方へ振り向くと、その声にふさわしい可愛いが品のある20歳代前半の女性がいた。

 「クリスティーナ!」

 フレディ様はやっと私の手を放し、クリスティーナという女性の方へ、目を輝かせていく。

 私は離された手をねぎらうようにさする。

 よく頑張ったよ、私の手。

 「始めまして、私はサーシャ・トラバイトです。」

 すぐに、クリスティーナという人に挨拶をする。

 「フレディの妻で、クリスティーナ・テルル・ダンビュライトと申します。」

 この人が、隣国ピューゼン王国の王女様。

 フレディ様と一緒にいると、『天使と戯れている姫さま』って、題を付けたくなる。


 ◇ ◇ ◇


 お庭のテラスのテーブルに、ライ様、フレディ様、クリスティーナ様、カイル様と、なんと私も普通にテーブル席に座り、お茶が出された。

 一応、ライ様の教育係なので。

 恐れ多いような・・・。

 目の前のフレディ様の存在が、そこまでしているのか・・・不明ではある。


 「フレディ様に、お聞きしたいことがあります。」

と、ライ様が話を切り出す。

 「マティアス殿のお手紙でわかっているのに、いちいち前置きを言うんだね。」

 フレディ様は、ライ様で遊び始める気満々だわ。

 「ダンビュライト領の役人は、優秀な者しかいないと言われていますが、どうすれば優秀な者を集めることが出来るのですか?」

 「さあ?」

 フレディ様は、首をひねる。

 「ライナス殿。明日の一日、フレディに付いて回るとよろしいでしょう。」

と、クリスティーナ様が言ってくれて、明日一日ライ様はフレディ様に付く事になった。

 「クリスティーナ様は、隣国ピューゼン王国の王女と伺いました。」

 私の質問に、頷くように『そうです』と、答えてくれる。

 「嫁ぐにあたり、トラブルが生じる事が分かっていても、フレディ様と一緒になった。」

 フレディ様とクリスティーナ様がお互いを見合う。

 2人は未だに仲がいいのだな。

 「その当時の事を・・・教えてくださいませんでしょうか?」

 クリスティーナ様は、少しの間目を瞑り思い出している感じだった。

 そして、目を開き話し出す。

 「ピューゼンの王女として、理解できない事が以前からございましたの。」

 クリスティーナ様は、ドラゴンの事を好いている国民が多いにも関わらず、ドラゴニアに戦いを挑もうとする国と国民の考え方に、以前から疑問に思っていたようで、いざ戦いとなった時。

 そう、終焉の戦いの時だ。

 ピューゼン王国は、勝てないとわかっていたので、クリスティーナ様を戦いが始まる前に、ジャンナ大陸とコアルト大陸の間にある、この世界で一番小さな大陸、ジーク大陸のリンドル国の修道院に送られたと説明をしてくれた。

 「王女である私が無事なら、国が滅びても再建するきっかけを残すことが出来ると思っての事でしょうね。」

 『おかしな考え方だよね。』と、フレディ様が口をはさみ、クリスティーナ様は、目を瞑り『ええ』と、同意をする。

 「ナイジェル・ラリマーが、クリスティーナがリンドル国にいる情報を入手して、僕が直接クリスティーナに会いに行ったんだよ。」

 フレディ様とクリスティーナ様は、お互いに微笑む。

 「ピューゼンは、ピューゼンのドラゴンの大樹を燃やし尽くした赤いドラゴンが許せず、赤いドラゴンの絶滅が目的でしたわ。」

 「だけど、黄金のドラゴンのコスモは、赤いドラゴンの血筋だろう。コスモも殺さないと、赤いドラゴンも絶滅することはない。」

 戦い自体、意味がない事を両国はわかっていたのだ。

 フレディ様は、テーブルに置かれたクリスティーナ様の手の上に自分の手を置きクリスティーナ様を見つめる。

 「僕は、クリスティーナと会話をして、嫌いじゃないと感じたから、結婚を申し込んだんだ。」

 互いを想う事が、両国に争いが終わらせられるのではと・・・。

 「私もフレディ様と会話をして、好感を抱きましたので、お引き受けしましたのよ。」

 再び互いを見つめる2人。

 「素敵ではないですか、愛せると思える人を愛することが、国の友好につながるなんて・・・愛していますわフレディ様。」

 少し恥ずかしそうにフレディ様に伝えるクリスティーナ様。

 「僕の言葉を奪わないでくれないかなクリスティーナ。僕の立場がなくなってしまうよ。」

 そう、フレディ様が言い、微笑みあう2人。

 「その結果が、10人のお子様につながっているのですね。」

と、ライ様が言う。

 「10人?!」

 私は驚いて、フレディ様とクリスティーナ様を見る。

 「ふふっ、11人目がお腹にいますのよ。」

と、嬉しそうにクリスティーナ様が言う。

言葉の意味

便言べんげん・・・口先がうまいこと。ことば巧みにしゃべること。口達者。

便口べんこう・・・口先がうまいこと。



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