微笑みには、『だ』がついてしまう
ヘンリー様への想いを制御するのをやめた夜。
ホレス様は、同じ宿に泊まってくれた。
ライ様が、イクシオンと絆を結んだ際のエピソードや、キンバーライト領の事をいろいろ質問してくるのに答える為である。
そして私に、ヘンリー様のもとへ戻る期限を決めさせる為に・・・。
ライ様が、聖ドラゴニア学園に入学するまでは、私はライ様の教育係であろう。
その任が終わるまで・・・と、思った。
だが、ホレス様は、黄金のドラゴンと絆を結んでいる者の所へ嫁ぐのだから、聖ドラゴニア学園の卒業課程は必要だと、言われてしまった。
「フレディの奥方は隣国の王女で、婚姻後に学園に入学したのだが、大変だったようだ。」
元、敵国の王女だから大変だったのはわかるが・・・。
ホレス様が言いたかった事とは違ったようだ。
聖ドラゴニア学園は全寮制。
一週間のうち5日間は、学園内にいることになる。
「新婚夫婦に、強制週末婚をさせるとどうなるか?」
・・・・恐ろしい。
まして、あのフレディ様だ。
・・・・恐怖の週末となっただろうな。
それを2年間も・・・よく、王女は生きていたな。
いや、学園が未だにある事が奇跡と言った方がいい。
「サーシャ、きっとクローライト公爵家は、ライナス殿と一緒に、サーシャを入学させる考えでいると思うのだが。」
ホレス様のいう通りだわ。
つまり、学園卒業後にヘンリー様のもとへ戻る。
・・・その様に決まった。
こうして翌朝、ホレス様と別れ、ダンビュライト城へと向かった。
それから・・・4日後。
とうとう、来てしまった。
真っ白くそびえ立つ城・・・・。
前世の建物だと・・・。
男色と噂されていた狂王の建てた未完成の城に、外見は似ている。
ここでの別名は『白天城』
天に突き刺さるような白い建物なので、こう呼ばれている。
只今、城の庭にいる。山の上に建てられているので、庭から城下が見渡せる。
ダンビュライト公爵領の領都ダンビュール。
白い建物で統一された町であった。
緊張しています。
あの、フレディ様にあうのだから・・・。
腹黒ショタキャラ。
金髪に灰色の瞳。
天使のような少年だが・・・実は『堕』が付く天使のような少年。
オムライス好きで、オムライスにこだわりがあった。
リオンとの恋愛ルートでは、半ライスならぬ『半オムライス』と、いう言葉が上がっていたよな。
建物から金髪と銀髪の男性が出て来る。
建物から出た際は。小指程の大きさしかなかったが、徐々に大きくなっていく・・・。
おいっ、こらっ・・・待てよ。
14歳程に見える金髪の少年こそ、フレディ様だと思うが・・・。
ゲーム時の見た目より、若く見えるってどういうことですか?
他のキャラたちは、当初の年齢をそのままキープか、若干老けて見えるかなのだが・・・・。
フレディ様は若返ってるよ。
そして、隣にいる銀髪の20後半の青年。
フレディの兄に見た目見えるが、フレディは一人っ子なので兄はいない。
つまり・・・フレディ様の子供ですか?
・・・なんだろう。
いろんな意味で、間違っていると感じてしまっている。
「君が、ヴィンセント殿の子だね。」
と、フレディ様がキラキラとした、爽やか天使顔でライ様に話しかける。
ライ様は、椅子から立ち上がる。
「はい、ライナス・クローライトです。」
ライ様とフレディ様が握手をする。
ライ様の方が・・・年上に見える。
だが、フレディ様には孫までいる。
「息子のカイル。」
フレディ様は、銀髪の青年の事を紹介、ライ様は、フレディ様の息子のカイル様とも挨拶をかわし、握手をする。
「こちらは、私の教育係のサーシャ・トラバイトです。」
ライ様が、私を2人に紹介する。
「ライナス様の教育係のサーシャ・トラバイトです。」
丁寧にあいさつをする。
”スー”
と、フレディ様が手を差し伸べ握手を求めたので応じる。
”ゴリッ”
私の手の骨が鳴る。
「!」
フレディ様・・・痛いです。
そして、ワザとですよね・・・。
わかっています。
ですが・・・レディに失礼ですよ~。
「やっと、君に会えた。」
フレディ様は、ニコニコと天使の笑顔を私に見せる。
だが、その水面下・・私の手を握る力は強く、痛いのですが・・・。
だが、私はライ様を立てるために、にっこり笑顔で我慢です。
「前々から会いたいと思っていたんだよ、サーシャ・クラウンコッパー。」
やっと、フレディ様を登場させることが出来ました。