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祈りは時に裏腹にもなる

 聖地です。

 聖地、聖地!!

 ここは、ドラゴニア王国の真ん中。

 ほんのちょこっと西側に位置するか・・・。

 『聖ライト礼拝堂』


 『続・ドラフラ』も恋愛ルートの最後の地。

 ハッピーエンドには、ムービーが付いてきます。


 『祝福の誓い』

 結婚式のムービーですよ。

 白いウエディングドレスに、ポイントで金色と紫色が入っているのが特徴。

 刺繍だったり、レースやフリルだったり、リボンだったり、それぞれのムービーで違うドレスを着ているのよ。

 全部で6種類。

 製作者の力を感じたわ。

 デリック先生と、もう一人攻略キャラがいるのだけどその人が、この聖ライト礼拝堂のチャペルで結婚式を挙げ。

 ホレス様、他3人は、ドラゴンの大樹の前で式を挙げるのよね。

 誓いのキスをすると同時に、ドラゴンの大樹の実が弾け、祝福のフレアがドラゴニアの隅々まで流れるの。

 

  ドラゴンの実が弾け、中から祝福のフレアがドラゴニア全土に行き渡る、祝福のフレアには、ドラゴンの傷を癒す特別な力があるの。

 その他に、破邪の光ともいわれ、邪悪を払うと言われている。


 『続・ドラフラ』の最後を飾るにふさわしいムービーなのよ。


 いざ、チャペルへ

 ”カチャリッ”

 結構、扉の開ける音が響くのね。

 中に・・入るのよ・・・。

 ドキドキしている。

 ソワソワもしているわ。

 

 「どうなされたのですか?」

 穏やかな優しい感じの女性の声が、私に言葉をかけてくれました。

 「は、はい・・永住希望なので、挨拶をしにここに来ました。」

 緊張しながら言うと、声の主を見る。

 ふわっとした癖のある薄オレンジ色の髪に緑色の瞳。やさしさがにじみ出ている・・・駄々洩れと言った方が正しい雰囲気の20代前半ぐらいの女性だった。

 「まあ、永住の挨拶にこちらへ来たのですね。」

 穏やかな空間を演出する笑顔。

 「はい、ここはドラゴニアにとって重要な礼拝の場ですから。」

 私もつられて微笑んでいるよ。

 笑顔の素敵さは、きっと私・・負けてます。

 本当に、素敵な笑顔をしている方だな。

 「ふふっ、もしよろしければ、礼拝堂をご案内しますよ。私は元々ここでシスターをしていましたから。」

 似合いすぎです。

 「元々という事は今は違うのですか?」

 「はい、素敵な方に、見初められましたので結婚をしました。今は母でもあります。」

 子供にたっぷりの愛情を、当然の行いのように注いでいるのだろうな。

 「素敵なお子さんなのでしょうね。」

 目の輝きが倍増された、満面の笑みで嬉しそうにお礼を言われた。


礼拝堂の正面はガラス張りになって、そこからドラゴンの大樹が見える。

 テレビの画面越しでなく、ガラス越しに見ることが出来たのね。

 「ぎりぎりまで、近づきましょうね。」

 左右に向かい合わせになっている巨大なドラゴンの石膏の所まで来た。

 ドラゴンの石膏より先、ドラゴンの大樹側にいけないように、紐の柵がされていた。

 「あの、さっそくお祈りをしてもいいですか?」

 笑顔で『どうぞ』と、言ってくれた。


 私は膝を曲げ、両膝立ちになる。

 鎖骨の中央と胸の中央の間に両手を置き、頭を伏せる。

 これが、この世界での祈りの正式なポーズ。


 「ドラゴニアのこの地よ・・・どうか、どうか・・・私を受け入れてください。・・・この地に根を置くこと、この地の根になる事をお許しください。」

 私は声にして祈りを捧げる。

 前世の記憶がある者として、『ドラフラ』『続・ドラフラ』の地に来たいと思うのは当然のこと。

 わざわざ、別の国に私を誕生させたおかげで、面倒な思いをさせていただいてます。

 を、祈りの思いに付け加える。

 そばに、やさしさだた漏れの女性がいるので、気づかれないように注意をはらい、しっかりを祈らせていただきました。


 ”カチャリッ”

 チャペルの扉が開く音が聞こえる。

 「カリスタも来ていたのか。」

 聞き覚えのある男性の声がして、伏せていた頭をあげる。

 「はい。リオン様の追悼式の準備をしに来ました。」

 この女性、カリスタっていう人なのね。

 「太った、癖の付きづらい金髪の女性発見!」

 私・・・金髪で癖がつかないストレートですが・・・。

 なんて、失礼な。

 聞き覚えのある方は、こんな失礼な言葉は言わない。

 それに、少し明るいというか、ヤンチャな感じがする。

 「あなた、ダメですよ。その様な傷つける言葉を使っては・・・。」

 「安心しろ、この女性は、実は太っていない。」

 何故知っている?

 私は、すぐに振り向き、失礼な言動を言った男性を見る。

 金髪にアイスブルーの瞳のイケメン。

 ああ、間違えない攻略キャラさよ。

 

 それにしても、何がこの人に起きたの?

 ハミッシュ殿下!!

 「うん、紫色の瞳だな。間違えない。」

 ハミッシュ殿下は、私の目を覗きこんでから、ヤンチャな微笑みを見せた。

 「椋梨翔英(ムクナシ ショウエイ)だ。」 


 私の耳は、おかしくなったようだ。

 眩暈もしだしているので、きっとそうだね。

 ・・・・うん。

 

 「名前を聞こうか。」


 前世なら、耳鼻科の病院をあたるべきね。

 ラーイ界は、前世に比べ医療水準は落ちているが、希望を捨ててはダメよね。

 そもそも耳鼻科の病院って・・・。


 「『ドラゴンフライ~奇跡の絆~』『ドラゴンフライ~続・奇跡の絆~』の世界はどうだ?」


 ・・・・。

 真顔で停止する私。

 ハミッシュ殿下は、満面の笑みで微笑む。

 「そろそろ、現実に戻ってこ~い。現実と言ってもゲームの世界だがな。」

 「お、お聞き・・したいことが・・・あ、あります。」

 私は口を震わせながら言った。

 言った後も、唇が震えているのが分かる。

 「うむ。聞きたいこととはなんだ?」

 ハミッシュ殿下は、片足立ちで、私の目線に合わせてくれた。

 「耳鼻科の病院ありますか?」

 「ない。」

 ハミッシュ殿下は、即答でお答えになった。

ゲーム上ではハミッシュ陛下は、殿下なので、ゲーム上に合わせて今は、ハミッシュ殿下となっています。

今だけ限定になります。

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