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前夜の会議

 ライ様に『裁縫』に、ついてのお題を出して明日が期限の3日目。

 その前日の夜。

 「お休み前に、申し訳ございません。」

 私は、まずは謝った。

 今いる場所は、ヴィンセント様の執務室。

 就寝前に集まって貰ったのだ。

 ヴィンセント様の他に、キャサリン様とマティアス様が執務室にいる。

 「伝えたい事があると言っていたが・・・。」

 ヴィンセント様が聞いて来たので、私は持っていた書類を机の上に置く。

 ・・・厚さ10センチの書類。

 その書類を紙の帯で十字にし中心に小さく私のサインが書いている。

 「明日、ライ様は、裁縫について調べた事を報告してくれる日となっています。」

 私は、裁縫の事を何故調べる事になったのか、ことの経緯を伝える。


 「ライ様は、将来、そうですね・・・聖ドラゴニア学園を卒業された後でしょうか、百年伯爵の配置された領土について、いろんな案を出されると思います。」

 お題『裁縫』だけでは終わりっこないわ。

 いいや、この場合は、終わらしてはいけないの方だわ。

 「こちらは、私が考えた計画です。」

 ヴィンセント様が、帯を破こうとしたので、私は止めに入る。

 「今は見て欲しくないので、帯をしています。」

 しっかり書類の上に手を置く。

 「プラシオの町に、裁縫の学校を創立するのには準備が必要です。3年では準備が出来ないでしょう。」

 「もしかして、サーシャは、学園創設にライナスを加えるつもりなのか?」

 マティアス様の言葉に、私は首を左右に振る。

 「学園の創立者をライナス様にするのです。」

 3人が驚きの顔を見せる。

 ・・・私的には何故驚くのだと思うのだが。

 「まだ、子供なのよ。」

と、言うキャサリン様に同意をするその他2名。

 「3年後には18歳で、今の私の年齢となりますが・・・。」

 その場の空気が一瞬止まる。

 ・・・それって、どういう事でしょうか?

 お答えをどうぞ!

 「それは・・サーシャなのだからなー。」

 ヴィンセント様、お答えになっていませんよ。

 「この国は、どうも年齢の感覚が麻痺してしまう傾向にあるようだ。ヴィンセントとあまり年齢が変わらないように見えてしまう。」

 マティアス様・・・ある意味正解です。

 ヴィンセント様の年齢は40歳。

 私は18歳・・・プラス27歳がある。

 すると、私の方が年上になるよな~。

 でも・・・ここは18歳ってことで・・・。

 「ヘリオドール一族が大きいわ。」

 キャサリン様の言葉に、2人はうんうんと頷いている。

 ぎこちない頷きに見えるのは・・・私だけでしょうか?

 まあ・・・良いとしましょう。

 話を戻さないといけないからね。

 「あの・・ライ様は、いつまでも子供ではありませんよ。」

 早い段階から、公爵家の者として表ざたに立ってもいいように、準備が必要だ。

 それが、学園の創立者であってもいいのではないか?

 ライ様が一番気になる事に、プラシオの町を挙げたのだから、そこから始めても罰は当たらないはずだ。

 

 こちらの書類は、百年伯爵の土地の今後の事の案件である。

 将来有望な者を育てるにあたり、今この案件を見てしまったら、ライ様の将来、領土を導く者として力を無くしてしまう。

 それこそ傀儡の公爵になってしまう。

 それを防ぐために帯をしているのだ。

 「3年で、プラシオの町が裁縫の町となる事はありません。」

 ここはきっぱり言いましょう。

 「ですので、将来公爵となるライ様が、次期公爵としての道を切り開くために、必要な事だと思うのです。」

 3人は納得してくれた。

 「この書類は、ライ様が百年伯爵の土地の計画案を出した際、このような案がある事を、答え合わせの一環として使って頂きたいのです。」

 私が仕事放棄をしていない証明である。


 「それと・・・領主としての力を付けるためには、実際の現場を見学して感じた方が、いいように思えるのです。」

 出来れば・・・違いも見た方がいい。

 「このクローライト公爵家の他にも、別の公爵家を見学する事を勧めます。」

 私がつき添いとして行ける公爵家は・・・・。

 「ダンビュライト公爵家へ、見学をさせるべきかと思います。」

 ダンビュライト領の役人は、優秀な者しかいないと言われている。

 なので、ダンビュライト領へ見学をしに行った方がいい。

 ・・・すべき、の方が正しいぐらいだ。

 「そうだな・・・行く価値はあるなー。うん、手紙を書こう。」

 ヴィンセント様に、フレディ様へ手紙を書いてくれる事を約束して貰う。

 「フレディ殿が許可が下りても、2か月後の8人の英雄の凱旋式には、ライナスとサーシャにも出席して貰わなければならない。行くにしてもそれ以降だ。」

 マティアス様が、ダンビュライト領へ行く時期の事を言った。

 「2ヵ月後に、凱旋式をするのですね。」

 私は、凱旋式の事が気になり、聞き返す。

 将来、ライ様の手足となる者たちだから、ライ様に合わせる必要がある。

 もちろん、私も凱旋式には出席したいし。


 こうして、ダンビュライト公爵家に手紙を書いてもらう事となった。 

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