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帰る場所へ

 夕方になり、エリック様を見送る事になった。

 マティアス様、キャサリン様と私がお見送りをすることになった。

 「サーシャ、貴重な情報ありがとう。」

 私は当然の事をした事を伝えた。

 「エリック殿、先ほどの預かった物の事。話しあってみます。」

と、マティアス様が何かをエリック様に伝えた。

 ・・・何だろう、預かった物って?

 エリック様が、絆を結んでいるダイモスに乗る。

 ”プルプル・・”

と、いきなりマティアス様の体が震え、みるみる顔色を変える。

 「エリック殿・・・あなたって人は・・・。」 

 マティアス様の一言にエリック様は満面の笑みを見せる。

 「あなた、どうなさったのですか?」

 キャサリン様がマティアス様に聞く。

 「プラシオの町に盗賊団のボスが投降してきた。」

 キャサリン様が大きな争いもなく盗賊団のボスが投降してきたことに喜ぶ。

 だけど、何故マティアス様は複雑な顔をしているのだろう。

 「ヘンリー様とコスモにお礼を言ってください。」

 ”ズキンッ”

と、ヘンリー様の名前を出た瞬間、衝撃が走る。

 エリック様は、私をじっと見た後、マティアス様の方へ顔を動かす。

 「気にしないでください。俺も子供のドラゴンの圧死の件の事があったのですから、それに、コスモもピンクアメジでじっとしているよりも、プラシオの町で、臙脂様と一緒にいた方が嬉しいと思いますから。」

 昨日からヘンリー様は、ピンクアメジの町に戻ったらしい。

 暇なコスモに、エリック様がジジイ様の所へ遊びに行くことを提案し、コスモが単体でプラシオの町へ行ったとの事だった。

 ・・・ワザとですね。

 エリック様、あなたの顔がドヤ顔満開の顔になっていますよ。

 

 「サーシャ。どうしてヘンリーの事でそんなに傷つくのかな?」

 ”ズキンッ”

 ・・・まただ。

 「ヘンリーは、クラウンコッパーの事で傷ついていないよ。サーシャがそのことを打ち明けてくれなかった事にショックはしてたけど、今は、言えない事も理解している。」

 私は、一歩後ろに下がった。

 「・・・サーシャが、傷ついている事を気にしている。」

 ”ズキッズキンッ”

 私の体をキャサリン様が支えてくれる。

 「ヘンリーの事で、そこまで傷つくのはどうしてかな?」

 ・・・・・・。

 私は、首を振る。

 「・・・わかりません。」

 エリック様が苦笑いをする。

 「そうか・・・出来れば、そろそろ考えて欲しいと思うのだけど・・・こればかりは簡単にいかないか。」

 私は、エリック様に謝る。

 すぐに、エリック様は言い過ぎた事を謝ってくれる。

 「サーシャ。もう、クラウンコッパーの事は気にしなくていい。逆にそのことで大事になってしまっている現状を嘆いている者の方が多い。」

 エリック様もその一人だと言った。

 「どちらかというと、ヘリオドール一族だという方を気にした方がいいな~。十分に気を付けるんだよ。」

 特に、ダンビュライト公爵家には気を付けるように言われた。

 まあ、フレディ様の一族ですからラジャーな感じなのですけど・・・。


 こうして、エリック様はクローライト城を去っていった。


 「サーシャ。少し話がある。」

と、エリック様が乗ったダイモスの姿が消えた時に、マティアス様が言って来た。

 私は、キャサリン様と一緒にマティアス様の執務室へと言った。

 「エリック殿はこちらへ来る際、コスモをプラシオへ案内もしたようだ。その際、プラシオにいる兵から渡された物だ。」

 マティアス様は、私の前に布の袋の中身を出した。

 ”ジャラジャラ”

と、アクセサリーだった。

 8人の兵士に渡したアクセサリーだった。

 「無事にプラシオの町にたどり着いたのに、返すのを忘れた事を謝っていた。」

 いや、返して欲しいとは言っていない。

 ・・・有効利用して欲しい。

 でも、簡単に返すことは無理だな。

 でも・・・。

 「マティアス様。私は8人の兵士の事を、兵としてしか見ていませんでした。」

 兵として英雄になって欲しいし、そうして貰わなければ困る。

 ・・・だけど。

 「8人の兵士には、家族や友人がいるはず・・・恋人だって。」

 だが、私はそんなことは関係なく、兵士としてしか見ていなかった。

 「それが、あの時は正しくても・・・8人の兵士は助かったのです。ちゃんと帰るべき場所に、心から帰してあげたいのです。」

 私の話にマティアス様、キャサリン様は真剣に聞いてくれる。

 「ですから、マティアス様の力を貸して頂けるとありがたいのですが・・・。」

 きっと私が言うよりも、マティアス様から言った方が説得力がある。

 「わかっている。」

と、言うマティアス様の言葉に、私はお礼を言う。

 「それでは、お願いしたいことがあります。きっと産業の発展につながる事になると思います。」

 私は、満面の笑みでマティアス様を見る。

 マティアス様は、ホッとしたように微笑む。

 「では、その内容を聞こうではないか。」

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