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どこから運ばれた?

 「それは、どうしてかな?」

と、エリック様が言って来た。

 まあ、そうなるよね。

 「実は、ドラゴンの圧死された遺体が埋葬されるのを、陛下とカリスタ様と一緒に聖ライト礼拝堂で見ていたのです。」

 2人は驚いた顔でお互いを見てから、再び私を見る。

 「本当なのかい?」

 エリック様は聞いて来たので、陛下に確認してくださいと返答した。

 「うん・・・聖ライト礼拝堂周辺の地図と、ドラゴニア全体の地図があれば説明しやすいのですが・・・。」

 私の一言で、キャサリン様はある部屋に案内をしてくれた。

 その部屋の扉を開けて、私は感動をする。

 「2階建ての図書室!!」

 吹き抜けの二階建ての図書室だった。

 柱や梁、柵や床が木製。もちろん本棚も木製。

 壁は漆喰で出来ていた。

 「湿気対策抜群だわ!」

 ついつい口にしてしまった。

 本の天敵である湿気を木や漆喰が吸収してくれるのだ。

 特にクローライト城は、滝城と呼ばれているので湿気が籠りやすい。

 それを、自然とカバーしている部屋となっていた。


 因みに、ルベライト城は温泉城、湿気万歳な環境。

 城内の図書室は、小さな林の中、ガラス張りの温室からそんなに離れていない場所にあった。

 林が小さいので、小規模な図書室といった雰囲気だった。

 だからだろう、領都の公立図書館は、都の端にあり森に囲まれている大きな建物だった。

 城で保管できない書物をそちらで保管をしていると、みていいのだろうな。


 「サーシャ、図書室に見とれるのは分かるけど・・・説明をお願いしてもいいかな。」

 おっと、すみませんエリック様。

 私は一階に設置されている2畳ほどのテーブルに、ドラゴニア全土の地図を広げる。

 そして、A3サイズ程の聖ライト礼拝堂周辺の地図をその上に広げた。

 「まず、ドラゴニアはドラゴンの大樹が国の中央に位置します。」

 まあ、基本中の基本だわな。

 祝福のフレアの広がる範囲がドラゴニアの領土となっているからである。

 「そして、聖ライト礼拝堂は、ドラゴンの大樹の西側に建てられています。」

 私は、聖ライト礼拝堂の周辺地図を2人に見せる。

 「私が圧死したドラゴンを陛下とカリスタ様と見た位置は、礼拝堂の正面のこの位置。」

 私は、ドラゴンの大樹に向かうバージンロードの前の外広場の場所を指さす。

 「あら、神域に特別に入れて貰えたのね。」

 ドラゴンの大樹を守護する王族と公爵家しか入れない場所。

 特別な処置をしなければ一般人は入れない。

 「額に陛下の血でドラゴンの文様を描かれました。」

 約一週間、その跡が消えなかったことを話した。

 「だから、ナイジェル・ラリマーの次男のハワードが、サーシャの事をシスターと言っていたのか・・・。」

 エリック様は、温泉清掃の時にハワードさんがクレシダとオベロンとルベライト城に来た時の事をキャサリン様に話す。

 「話を戻しますね。」

と、私の言葉で再び2人は真剣な眼差しになった。

 「この位置から、圧死したドラゴンが運ばれてきたのは南側、少し建物の上を通っていましたから、真南より少し西側よりになります。」

 私は、テーブルの上に広げられた地図の上に、長い定規を置を2本置いた。

 ドラゴンの大樹を軸に真南に一本。

 ドラゴンの大樹を軸に聖ライト礼拝堂の3分の1かかる程度にもう1本置く。

 「この定規と定規の間の方角の範囲から、圧死されたドラゴンが運ばれ

てきました。」

 王領とルベライト領にしか、その範囲はなくクローライト領には全くかかわりがないように見えた。

 「なるほどね。」

 エリック様は感心した顔を見せた後、すぐに困った顔へと変貌する。

 「今回のクローライトの事件と、関係があるんじゃないかと思ったんだけどな~。」

 私は、もう一度当時の事を思い返すが、やはり間違えなく南から南西にかけての位置だ。

 「サーシャ。もう少しサーシャの知識を借りてもいいかな?」

 エリック様の質問に私は『もちろん』と、答えた。

 「ならさ~。聖ライト礼拝堂の方角を正しいのにしようか?」

 私は、目を丸くしてエリック様を見る。

 

 ゲームの取り扱い説明書の地図には、聖ライト礼拝堂の中心から、ドラゴンの大樹の位置、そして王宮トリプライトの中心が、一直線につながっていて、その線が真東を位置していたような。

 

 「まあ、ドラゴニアの一部の者しか知らない事だからね。」

と、エリック様は言うと、本棚を見回し一冊の本を奥から持ってきた。

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