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交換島伯爵

 8人の兵士たちと私は街道を堂々と歩いている。

 ・・・まだ、襲われていない。

 やはり、私の選択が正しいようだ。

 だが、確信が必要だな。

 「申し訳ありませんが、ベルデ伯爵の事について知りたい事があります。」

 私はラリマー侯爵の事を依頼した隣の領主ベルデ伯爵の事を聞いた。

 私の予想と、真実が一致するかの答え合わせ。

 私は、唾を飲み込んだ。

 「ベルデ伯爵の治める地は、特別な場所です。」

 歩きながら、一人の兵士が先ほどの大きな地図とは違う、片手で持てる小さめの地図を渡してくれた。

 「ベルデ伯爵領は、港町デュモルチェと交換島の2箇所のみです。」

 やはり、交換島が入っていた。

 「唯一、宝石や黄金などの交換が出来る島であっている・・・でしょうか?」

 兵士はあっている事を言ってくれた。

 ドラゴンが宝石や黄金を鑑定できるのは貴重な事だ。

 ヴァルナが前に、リュヌの銀を鑑定した際に酔ったような歓喜の行動をとっていたが、交換島にいるドラゴンはそれを抑制できるのだ。

 まあ、交換島にドラゴンの住まいがなく、港町デュモルチェにあるのは、一時抑制することが出来るという事なのだろうが・・・。

 「ベルデ伯爵の正式な呼び名は『ベルデ交換島伯爵』と言い、交換島伯爵は一代限りのモノです。」

 ベルデ伯爵も国家鑑定士。それも、交換島に所属出来る特殊なドラゴンと絆を結んでいるという事だ。


 国家鑑定士の国家鑑定長官が表のボスなら、交換島伯爵は裏のボスという事になる。

 かつて、ギベオン一族が国家鑑定長官の位をいいように利用し、悪態をついていた時代があった為、その国家鑑定長官を監視する者という事で、交換島伯爵という伯爵の位を付けた一代限りの伯爵がいるという事だ。

 「つまり・・・交換島伯爵は、クローライト領の伯爵でありながら、国の中央政府機関と関係が深い伯爵と、いう事で・・あっているのでしょうか?」

 8人の兵士たちは、『その通りです。』と、答えてくれた。

 「交換島に所属のドラゴンは何頭いらっしゃいますか?」

 ・・・・23頭。

 うん・・・少ないな。3桁ぐらいは欲しかった。

 「交換島の所属出来そうなドラゴンはいらっしゃるのですか?」

 今の所、その候補に挙がっているドラゴンは12頭。

 ・・・たった12頭。

 その中には、なんとヴァルナがいた。

 そっちも驚きだ。

 だけど、リュヌの銀の鑑定の時・・・酔っていたよな。

 「リュヌの銀が一番の難関なんですよ。」

 それで、挫折するドラゴンもいるらしい。

 ヴァルナは、国家鑑定士のドラゴンになった当初から宝石類は軽く鑑定が出来たようだった。

 黄金も始めのうちは酔ったが、次第に抑制を覚え鑑定できるまでにはいったと説明をしてくれた。

 だが、リュヌの銀は無理なようだ。

 リュヌの銀それ自体希少価値であり、抑制を覚える機会が少ないのが原因のようだ。

 母の形見のリュヌの銀はウィリアム伯父さまのもとに今はある。

 ・・・本当に抑制を覚える機会が少ないのね。

 でも・・・ウィリアム伯父様とうまく交渉できる者がいたら、リュヌの銀を入手することが出来るかもしれないわね。

 ・・・交渉が上手であったらの話だが。

 「それにしても、皆さんそれなりにドラゴンにお詳しいのですね。」

 私は、ヴァルナが交換島のドラゴン候補までは知らなかった事を伝える。

 「それは、有名ですから・・・。」

 「宝石よりも、チョコチップスコーンですから、それも購入するまではちゃんと我慢してますし・・・。」

 兵士たちは各々に頷いているのだが・・・。

 なんだろう、この含みある感じに見えてしまうのは・・・。

 兵士さんたち・・顔色が一瞬曇ったのは何故ですか?

 もしや!

 「ベルデ伯爵のドラゴンの興味あるモノは何でしょうか?」

 「・・・・・・。」

 皆さん黙らないで!!目を反らさないで!!現実逃避しに行かないで!!


 つまり、交換島に所属のドラゴンは、ちょっと・・・ヤバそうな・・変わったドラゴン・・・・って、事ですか?

 

 ・・・き、聞けない。怖くて聞けない!! 

 

 「危ないっ!」

 ”バキッ”

と、すかさず兵士が剣を抜き、飛んできた矢を振り落とした。

 ・・・来たか。

 盗賊団と思われる者たちに囲まれる。

 盗賊団の中にドラゴンに騎乗した者が1人。

 ドラゴンも出してきたか・・・黒いドラゴン。

 ドラゴンをこの場にも配置できるという事は、無理やり絆を結んでいるドラゴンが結構いると見ていいのだろう。

 ・・・・嘆かわしい。

 兵士たちが剣を抜いて敵に睨みをきかせている。

 お互いに唾を飲み込む者がいる。


 目的地まで、後・・少しのところだった。 

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