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なっていない者

 「貴族制度を廃止し、領民の投票で統治者を決めて貰うのです。」

 そう、私がイリス帝国の革命家に提案した案件だ。

 「統治期間も決めれば、領民は次の統治者と成れるように学ぶ者も出てくるはずです。」

 キャサリン様は、感心しながら聞いている。

 「サーシャさん、もしそのような事になると、クローライト公爵家の役割はどうなりますか?」

と、キャサリン様が聞いて来た。

 「クローライト公爵家は、ドラゴンの大樹を守護する役割があると、陛下から聞いています。」

 私は、わざと『陛下』の名を出す。

 嘘はついていないよ。聖ライト礼拝堂でハミッシュ陛下が教えてくれた事だったしね。

 「クローライト公爵は、そのまま据え置くしかありませんが、役割は変わりますね。統治者の相談役。それと重要なのは監視役といった事でしょうか。」

 ラリマー侯爵の顔が青ざめだす。

 「監視役ですので、あまりにも酷い統治者でしたら統治期間を待たずに投票する権利もクローライト公爵家にあった方がよろしいかと思います。と、いってもそのような統治者は牢屋行きの者だと思いますが・・・。」

 ラリマー侯爵が脱力感から椅子に座る。

 ・・・だが、終わってませんよ。ラリマー侯爵。

 「それで、キャサリン様。先ほど去年孤児院の子供が凍死をしたとおっしゃいましたね。」

 キャサリン様は『ええ、そうよ。』と、答えてくれた。

 「プラシオの町の孤児院への支援はどうなっていますか?例えば、ここに出されている食事の残りは・・・廃棄なんてせずに、孤児院へ送ったりしてますよね~。」

 さあ、答えて貰いましょう、ラリマー侯爵。

 「・・・送ってなど・・いない。このようなおいしい物を身寄りのないただの・・・奴隷に・・・食べさせるわけが・・・なかろうが。」

 ためらいながらでも、しっかり最低な言葉を吐いているのだなラリマー侯爵よ。

 「キャサリン様。このような統治者ですと、何かしろ出て来るのではありませんか?」

 「サーシャさん、本当は今年も統治者としての力量が無かったら動くつもりだったのだけど・・・。」

 キャサリン様は片手を頬に持って行き考える。

 「孤児院の子供たちの命の方が大事です。」

 キャサリン様は、頬に持って行った片手を降ろし頷く。

 「そうね。子供たちの命は大切よね。」

 「待ってください、食事は必ず孤児院へ持って行きます。」

 ラリマー侯爵が冷や汗をかきながら言う。

 ここまでの人だと、冷や汗も、脂汗になるのね。

 だが、しかし・・・もう、遅いんだな~。

 「それだけで、何とかなるとでも?」

 脳みそまで脂肪となりだしている人だもの・・・無理だろうが答えを待つか・・・。

 「そ、そう・・いっても・・すぐに・・用意はできるわけないだろうが。」

 はい、アウト。

 やはり、アウト。

 「ラリマー侯爵のような方でしたらそうでしょうね。」

 「サーシャさん、あなたなら短期間で何とかできそうなの?」

 まあ、とある機関がフル稼働したら、もっと進展しますよ。

 そういう体で話を進めた方が良さそうね。

 「条件付きで出来ます。」

 キャサリン様は興味津々に聞いて来る。

 「まず・・その人を捕まえてください。」

と、私はラリマー侯爵を指さす。

 「家族も同様にお願いします。」

 さて、質問です。

 そうなると、この屋敷はどうなるでしょうか?

 「ラリマー侯爵。遠慮せずにご使用させていただきますね。この屋敷の物。その為にため込んでくださったのですものね。もったいない事のないように、フル活用させていただきます。」

 私は、兵士に捕らえられ去っていくラリマー侯爵に頭をさげた。

 ”どーーーんっ”

と、破壊音が聞こえる。

 何が起きたの?

 「フハハハハッ」

 ラリマー侯爵が笑い出す。

 「いいぞ、カルデネ!!」

 あっ・・・ドラゴンの事忘れてた。

 じゃ、ないよ!

 大事な資源が!!

 でもない。

 「キャサリン様!」

 私は、キャサリン様を非難させようと、キャサリン様のもとへ

 「これが、ドラゴンと絆を結べている者の強さだ~!!」

 私は、窓からキャサリン様と一緒に屋敷を出る。

 すると、上空が暗くなり、青いドラゴンが降りてきた。

 ”キューーッ”

と、水色の瞳の青いドラゴンが鳴く。

 私は、キャサリン様を守るために前に立つが、すぐに、キャサリン様が私の前に立った。

 ”キューーーッ”

 再びドラゴンが鳴く。

 しっぽがシュッとなっているので、雌のドラゴンのようだ。

 ”キュキューーー”

 ・・・・さっきから、目の前のドラゴンは鳴くだけだった。

 もしかして・・・

 「ここにいるキャサリン様は、聖女リオンの実母。もし、殺すような事になれば、ドラゴンとしての立場はなくなるわね。それでもいいのかしら・・カルデネ?」

 ”・・・キュ~”

 カルデネはその場で伏せをした。

 「キャサリン様、カルデネを撫でてあげてください。」

 キャサリン様は恐る恐るカルデネに近づき、そして撫でる。

 よしっ

 私は、ラリマー侯爵の方を振り向き睨む。

 「ラリマー侯爵。カルデネの年齢をお聞かせくださいませんか?」

 ラリマー侯爵は、あんぐり口を開け体を震わせる。

 「やはり、いいです。嘘をおっしゃると思いますから・・・。」

 私は、この屋敷の使用人に聞く。

 26歳

 「26年前にドラゴンの卵か盗まれたという事件がありませんでしたか?」

 その一言にキャサリン様は驚き私の方を振り向く。

 「無理やりラリマー侯爵と絆を結ぶしかできないように仕向けた・・・と、予想出来るのですが・・・違いますか?」

 「・・・はい、その通りです。」

と、使用人が答えてくれた。

 まあまあ、ラリマー侯爵は無理やりドラゴンと絆を結ぶような者だけでなく、使用人が簡単に裏切ってしまうような信頼関係がなっていない者という事も証明してくれたのですね。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 聖女リオンの母にドラゴンが危害を加えるわけないですよね。そして侯爵は重い罪を負ってましたね。
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