クローライトの状況は・・・
私がクローライト城に来てから1週間程が過ぎた。
キャサリン様の専属メイドとして過ごしている中で気になった事は・・・。
公爵の仕事量が半端ない。
仕事詰め込み過ぎ
やりすぎ
・・・過労死するよ。
で、ある。
キャサリン様とマティアス様の子で、ゲーム中で誕生していたピーターは・・・もう亡くなっていた。
ドラゴンと絆を結べずに寿命を迎えたのだ。
そして、キャサリン様とマティアス様の孫、ひ孫もドラゴンと絆を結ぶ事なく亡くなっている。
現在の公爵はキャサリン様、マティアス様の玄孫にあたるヴィンセント様であるのだが・・・・。
目の下のクマだけでなく、顔色も悪い。
それでも、瞳はやる気に満ちてキラキラしている。
そして、公爵の仕事をきっちりとこなす。
ヴィンセント様もドラゴンと絆を結べていない。
絆を結べられたらいいのだが・・・アリシアの血族という事が、絆を結べない理由なのだろう。
だが、クローライト公爵家は、4大公爵家の一つ。
その責務はのしかかり、そしてそれをきっちりとこなすことが、公爵としての役割と思っているようだ。
そう、思う事は領民にとっていい事なのだが・・・。
過労死
と、いう前世のフレーズが頭をよぎってならない。
何かいい方法ないかな~。
ヴィンセント様がもし過労死したらキャサリン様、マティアス様が悲しむわ。
だから、絶対に解決をしなければ・・・。
今現在、私はキャサリン様の付き添い、クローライト領の南西に位置するプラシオの町に来ている。
孤児院の慰問で午前中訪問をしている。
キャサリン様は、孤児院の子供たちと遊んでいるのだ。
歌を歌たり、踊ったりと、私は、ピアノの演奏でサポートをする。
穏やかな時間が流れた。
お昼になると、プラシオの町を納めているカルデネ・ラリマー侯爵家との会食。
それにしても・・・ビュッフェ式じゃないかと疑う程の料理。
私は、キャサリン様の後ろに立ちじっとしている。
キャサリン様はラリマー侯爵と食事をしながら会話をしている。
「ヴィンセント様は公爵として頑張られておられる様子。私の様にドラゴンと絆を結べない事が惜しまれますな。」
なんだ、この嫌みを吐く牛は・・・
ああ、本物の牛に申し訳ない。
豚・・・でも、本物の豚に申し訳ない。
じゃあ何にたとえよう。
泥団子、泥にも申し訳なく感じだすわ。
何せ重量オーバーのラードの塊
あら、ラードにも申し訳ないわね。
そのような者が、キャサリン様に嫌みを吐く
ドラゴンと絆を結べている事を自慢げに言い、公爵でありながらドラゴンと結べないでいる事への嫌み
そして・・・
「公爵家でありながらドラゴンと絆を結べないとは、あるまじき失態ですな。」
・・・・・無礼にも程があるぞ。
「あら、あるまじき失態でしたらラリマー侯爵もでしょう。」
と、キャサリン様が反論。
去年、孤児院の子供が凍死した経緯を挙げる。
そういえば・・・孤児院の子供たちの服装があまり良くなかったな。
冬に近いと言うのに薄手で、暖房器具も完備されていなかった。
「今回、こちらへ来たのは去年のような失態を犯さないで頂きたいが為。今年の対策はどのようになっておられますか?」
キャサリン様は報告することを伝える。
そして、その報告がどれほどの信憑性があるのかの報告もするように言うが、挙がってこない。
「信憑性のないモノを信じることは、クローライト領を納めている者と、してしてはいけない事。それで、どうなのですか?」
”ダンッ”
と、テーブルを叩き立ち上がるラリマー侯爵
「ドラゴンと絆を結べない者が大きな事をいうな。所詮、顔色を伺って生きていくしかない名ばかりの公爵なくせに、統治者をなめるな!!」
頭に血がのぼっているのが伺えるが、私も・・・腹を据えかねている。
「キャサリン様・・・クローライト領の貴族たちはこのような輩が多いのでしょうか?もし、そうであるのなら・・・よい提案があります。」
キャサリン様は、その提案が何か聞いて来た。
「貴族制度の廃止し、領民の投票で統治者を決めて貰うのです。」