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落ち着いたら

 「どうして、そのように思うのですか?」

 私は、エリック様に問いかける。

 だって、おかしいでしょ。

 ヘンリー様にショックを与える事になったのよ。

 「100年以上リオンを想っていたのに、たった数か月でヘンリーは、サーシャに心を奪われたんだよ。」

 エリック様は、ヘンリー様に恋は無理だろうと諦めていて、いつか無理やり子を成して貰わなければと思っていた事を告げた。

 

 エリック様は、140年前の大怪我がきっかけで子を成す事が出来ない。

 やはり、公爵として跡取りの事を考えていたのか・・・。


 「サーシャが現れたことで、跡取りの事を無理強いをしなくても済む。」

 エリック様・・チョット、待ってくださいな。

 「でも、私は、クラウンコッパー公爵家の人間という、ショックを与えました。それはヘンリー様にとって大きな傷になるのではありませんか?」

 やはり、リオンしかいないとヘンリー様は思わないか?


 「なあ、サーシャ。ルベライト公爵は、代々笑顔で領民に接し領民の心を掴んでいる。ある意味顔芸は強制的なモノだな。」

 顔芸で領民の心を掴み統治をしていた。

 その笑顔で、領民に近づき・・・・いいように騙す。

 その様にエリック様が言った。


 「リオンは、ヘンリーに笑顔だけでも表情を出さなければ将来、領地を統治でいないと思っていた。だから、ヘンリーに笑顔を作らせる努力をさせていた。」

 その結果・・・リオンが亡くなると同じくして作り笑顔もなくなった。

 「でもサーシャは、ヘンリーに顔芸が出来なくても、ひた向きに領民と接している事が逆にいいと。心根のままでいいと言ってくれた。」

 だからこそ、統治者としての才能がヘンリー様にはあると思っているのですが・・。

 それが、ヘンリー様を救ってくれたとエリック様が言う。 

 「ヘンリーは統治者としての才能があると俺も思うよ。だから、心根のままで孤独に統治者として君臨してはいけないと思っているんだよ。」

 心根故に、悲劇が起きれば苦しみは深いモノになる。

 その時、心根を支える者がいなければ、立ち直れないかもしれない。

 立ち直れないまま、統治者の権力を誇示し圧力で治める事になるかもしれないと懸念している事を伝えてくれた。

 「ヘンリーの心根を理解し支え諭す者が、そばに必要なのだよ。」

 それが、私だとエリック様は言葉の最後に付け加えた。

 「ですが・・もう、ヘンリー様のそばにはいられないです。」

 「どうして?」

 エリック様は即、疑問を投げかけた。

 私は、クラウンコッパー公爵家の人間だという事を答えた。

 例え、新生クラウンコッパー公爵家で、リオンを殺した旧クラウンコッパー公爵家ではないとしても、心に受けた衝撃は計り知れない。

 「今、ヘンリーはその事で落ち着かせる為。陛下がヘンリーにお部屋を用意して貰った。きっと、動揺が治まった時、再びサーシャを想う事になると、確信している。」

 エリック様の真剣な眼差し・・・。

 「サーシャは、自分がクラウンコッパー公爵家の者という事で、ヘンリーを一歩、二歩避け接していた。」

 それは、当然ですとも、クラウンコッパー公爵家の者であるだけでなく、お色気魔人から身を守るために必要な措置です。

 「サーシャも、クラウンコッパー公爵家の者だとバレ、動揺している。だが、もしその動揺が落ち着いた時、ヘンリーの事をどのように想っているか一度、ちゃんと考えて欲しい。」

 ”ズキンッ”

と、心に痛みが走った。

 この感覚って・・・・何?

 

 ”フシャーーーッ”

と、金色のオーラが迫って来て、通り過ぎた。

 私は、何だと驚く。

 「祝福のフレアだ。」

 エリック様が説明をしてくれた。

 ドラゴンの大樹になる紫色の実。

 それが弾けると、金色のオーラが水紋の様にドラゴニアを一瞬包み込むのだ。

 ドラゴンの傷を癒すだけでなく、破邪の効果もある。

 これが、画面上でしか知らなかった祝福のフレア

 「サーシャ、祝福の幸あれ。」

 そのように、エリック様が言うと去っていった。

 そして、私は地下牢に一人きりとなった。

 

 地下牢って・・・こんなに広かったっけ?


 アリシアも、こんな事を考えていたのかな?

 ・・・広くて

 ・・・静かで


 「何日間ここにいればいいのかしらね。・・・もう、ここは飽きたかな。」

 私は、ボソッと口にし、次に行きたい聖地を考える。

 王立図書館に、クローライト城へ続く山道・・・他は・・・。

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