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懐かしの

 私は、薄暗い部屋の中にいる。

 ただ、この部屋にいるしか出来ない。

 それは、捕らえられているからである。

 ここは地下牢。

 

 残念だか、嬉しいのか・・・。

 チョット興奮をしている。

 変な性癖ではない事は先に言うべきのようだが・・・。

 

 今、私がいる所は、アリシア・クローライトが入れられた牢の中である。


 そうよ、私はドラゴニアに来た当初の目的は聖地巡礼じゃないの。

 久々のこの・・・感覚。

 

 聖地にいるのよ私は!!

  

 マナー悪いけど・・・壁に落書きでもして、来た事を残そうかしら?

 ああ、残念だわ・・・書く物がなかった。


 ”コロコロコロ”

と、外の空気を入れ込んでいる小さな窓格子から、小石が落ちて来る。

 ”コロコロコロ”

 また、小石が落ちて気が・・・この牢屋崩れる恐れがあるの?

 ”コロコロコロコロ”

 「!?」

 落ちてきた小石に目をやる。

 灰色だが、光沢が・・・これって

 私は転がって来た小石を取る。

 重みがある。

 やはり、銀の塊だ。

 そして、窓格子の近くへ行き、そこに腰を掛ける。

 「サーシャ様。」

 ああ、懐かしマリーの声だ。

 故郷の家・・クラウンコッパー家にいた時の専属のメイド。

 ウィリアム伯父様が使わしてくれたメイドのマリーだ。

 「遅れてしまい申し訳ございません。後、もう少しお待ちください。真夜中になったらお助けいたします。」

 何をするつもりだ?

 真夜中という事は、人の目に付かない時間。

 「わざわざ、罪を犯すような行動ならやめなさい。」

 マリーは、どうしてど問いかけて来る。

 「ハミッシュ陛下が、何とかすると思うわ。」

 そして、何も犯罪起こしていないのだから、放免にするしかない事を伝える。

 もし、名前だけで犯罪者として捕らえられたのなら、犯罪者と同じ苗字だけで全員捕まる

 それこそ、ラリマーと苗字の人が、たった一人でも犯罪を犯せば、全ラリマーが捕まるという事になるのだから。

 それは、おかしいでしょう。


 ”ガラガラ”

と、地下牢の通路の扉の音がする。

 私は窓格子から離れ、元々座っていたベッドに戻る。


 「・・・・サーシャ」

と、牢屋の前に現われたのは、エリック様とモーリスさんだった。

 「このような所にどうなされたのですか?」

 私は、いろんな意味で驚く。

 まず、この2人の組み合わせ。

 いつもは、ヘンリー様とモーリスさんなのに、エリック様とモーリスさんだ。

 ヘンリー様は?

 ヴァネッサ様は?

 「サーシャさん、助けて欲しいのです。」

 牢屋にいる私に向かって助けて欲しい?

 モールスさん、甥を探しに行って精神がおかしくなりましたか?

 「甥のカインが、ヘリオドール侯爵の所にドラゴンと一緒に捕まっているのです。」

 話を聞くと、モーリスさんは甥に私の調査を頼んだようだ。

 だけど、ウィリアム伯父様の所で捕まってしまったってことね。

 まあ、伯父様なら・・・捕まるよな。

 「『捕虜を一人でも、一頭でも殺したら、私は死にます。』と、書いたら何とかなるかしら、マリー?」

 私は、声を大にして言う。

 「効き目はあります。ですが、サーシャ様の手紙だとわからなければなりません。」

 窓格子から答えが返ってくる。

 エリック様と、モーリスさんは驚くも、私とマリーの会話を聞いていた。

 「母の形見があるわ。盗まれていなければの話だけど・・・。」

 私は、エリック様とモーリスさんを見る。

 「サーシャさんの荷物を持ってきます。」

 モーリスさんは地下牢から出て行く。

 「マリーは、モーリスさんに付いて行って。」

 「かしこまりました。」

 その様に行って去って行った。

 

 そして、鉄格子を挟んで、エリック様と私となった。


 「・・・サーシャ。ヘンリーの事をどう思っているのかな?」

 エリック様は、聞いて来た。

 「どうって・・今はどちらにいるのか心配をしています。」

 エリック様の口から、ヘンリー様が、兵の監視下のもと部屋にいることを教えてくれた。

 「ヘンリーは、これまでずっとリオンの存在に囚われていた。だがそれを解き放つことが出来た。サーシャのおかげだ・・・ありがとう。」

 何故、お礼を言うの?

 目を見開き、エリック様を見る。

 エリック様は穏やかな顔で私を見ていた。

 「どうして、そのように思うのですか?」

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