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モグモグ モーニング

 「んっ・・・。」

と、私は目を開ける。

 体が少しだるいと感じる。

 嫌な夢を見たからだろうな。

 夢オチで、現実ではありませんでした。

 ・・・とは、いかないか。

 あの、夢は前世で起きた現実、過去を変えることはできない。

 できるなら、どんなに幸せなんだろう。

 出来は、しないけどね。


 さて、どうしよう。

と、言うのはね。まだ、外が暗いのよ。ほんのりは明るいんだけど。

 ・・・起きますか。

 私は、体を起こす。

”つーー”

 頬をつたう物があった。頬に手をやると、水だとわかった。

 寝ながら涙を流していたんだ。

 ため息をつく。

 片膝を曲げ、足を抱える。

 「・・・大丈夫。・・・大丈夫だから。」

 ・・・前世はもう終わったから。

 

 さて、起きますかね。

 ベッドから起き上がり、背伸びをする。

 ゴリゴリゴリと、体が鳴る。

 「ふ~ぅ」

 体の痛いところはないのに、よくなる体なこと。

 重い物をいつも着ているせいか。

 少し、寮の散策をしようかな?


 私は、服に着替えて部屋を出る。

 部屋を出ると、アーケードのような廊下に出る。

 部屋の扉の反対側には下へ行く階段がある。

 屋根のない階段を降りると、ドラゴンのねぐらのエリアに来る。

 赤いドラゴンが眠っていた。

 しっぽの角がシュッと一直線になっているから、雌のドラゴンね。

 雄は、しっぽの先の角の他に、ぴゅっぴゅとしっぽ先っぽらへんの脇からも小さな角が生えているのだ。

 隣のねぐらのドラゴンは・・・

 私は、隣のねぐらまで歩み、ドラゴンを見る

 水色のドラゴンで・・・シュッとしているしっぽなので、こちらのドラゴンも雌。

 その隣は・・・・

 きれいな黒い鱗・・・って

 「ヴァルナ」

 それも、起きている。

 「・・・ヴァルナ、おはよう。随分早起きなのね。」

 ”キュウ”

 「私は目が冴えちゃって、朝の散歩中。」

 私は、海の方を見る。

 まだ薄暗い中、船が沖に向かっている。

 今は最盛期の時期で、出稼ぎの漁師まで海に出ている。

 『ベーカリーうみまつ』の店の煙突から、煙がもくもくと海に向かって出ている。

 

 公式小説で『ベーカリーうみまつ』の煙突が海に向いているのは、漁師たちに、陸へ帰る目印として海にまでパンの香りを届ける意味だと、書いていたっけ。

 正しい聖地でなくても『ベーカリーうみまつ』は、しっかり役割を果たしている。


 ・・・小腹空いたな。

 この時間だと、まだ食堂は準備中だろうな。

 私は、ヴァルナの方を振り向く。


 あっ・・・あった。

 「ヴァルナ、小腹空かない?・・・私、いい物を持ってるから、取ってくるね。」

 急いで部屋へ戻り、鞄を開ける。

 そこには、ベーカリーうみまつの紙袋。

 2つある紙袋を両方とも持ち、ヴァルナのもとへ向かう。

 ”クイッ”

 ヴァルナは、私が近づく前に何を持ってきたか分かったようだ。

 首をこちらに向けて口を開ける。

 「わかったから、待って。」

 私は、紙袋からチョコチップスコーンを取り出し、ヴァルナの口に投げる。

 ”パクッ キュウ”

 嬉しそうに小さく鳴く

 「おいしい?」

 ”コクッ”

と、頭を上下に振って肯定してする。

 「私も食べよっと。」

 袋からチョコチップスコーンを取り出す。

 ”ダラー ベチョッ”

 え?!

 チョコチップスコーンの持っている手に液体が落ちてきた。

 液体の正体は、ヴァルナのよだれだった。

 「ちょっと・・ヴァルナ・・・もう・・ヴァルナったら、そんなに食べたいの?」

 ”コクッ”

 悪びれることな頭を上下した。

 「わかったわ、ここにあるチョコチップスコーンは全部ヴァルナのでいいわ。口開けて」

 ”キュウ”

と、嬉しそうに鳴き、口を開けた。

 よだれ付きのチョコチップスコーンが、口に投入されると口を閉じる。

 ”キュウ”

 ・・・かわいい鳴き声ね。

 「私は、ほかの味を食べることにするわ。でもその前に、ねぐらの水道で手を洗わせて欲しいのだけど・・・。」

 そういうとヴァルナは、水道の通っている方の逆によけてくれた。

 ・・・『どうぞ』っていう意味ね。

 私は遠慮なく、ねぐらに入り手を洗う。

 手を洗い、ねぐらを出ると、すぐにまたチョコチップスコーンの催促をされたので、口に入れてあげる。


 私は、チーズスコーンを口に入れる。

 生地が少ししっとり目だわ、チーズのまろやかさとしっとり生地がマッチして、噛むたびに広がりながら口の中で溶けていく~。

 「はぁ~、おいしいわ。」

 私は、その場で誰にするでもなく微笑んだ。

 「おいしい・・・おいしいって・・感じられる。」

 ”ぱーーーっ”

と、背後から明るい光が刺し込んできた。

 私は、背後に体を向ける。

 海の地平線から太陽が昇ってきた。

 「ヴァルナ、ご来光だわ。」

 雲のない空に朝日が立ち昇る。

 海の色もオレンジ色の光の線を海に射しだす。


 「ヴァルナ、今日もいい天気になるね。」

 ”キュウ”

 胃に悪い「前世シリアス話」は、一端終了です。


 読んでいただいている皆さま、本当にありがとうございます。

 どうぞ、身体をご自愛してください。


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