空の向こうはあの娘の国
2387年。
轟く銃声、私とあきら君は今日も戦う。相手はロボット、彼らは人をバラバラにするんだ。
私とあきら君は恐れない、ロボットの頭をランチャーで吹き飛ばし、必要ならば特攻だってするよ。
まん丸で大きなお月様が私たちを見てる。
ビルは倒れ、瓦礫に潰された植物。
死体が続く道、私とあきら君は寝床を探した。
焚き火を前に、私はあきら君に尋ねる。
何体、倒した?
左手でピースマークを見せて、右掌を広げるあきら君。
25体!凄い!!
私も強くならなきゃ。
あきら君はとても無口。喋りたくないのか、もともと喋らないタイプなのか、よくわからないけど私はあきら君のことが好きだ。喋らないからって優しさがないのとは違う、顔だって良い。首に彫られてるAK-2800という意味の分からないタトゥーも、私には格好良く見えた。
あきら君は、優しい目をしてる。
しつこいロボット。隠し持っていたナイフで、或いは最期に取っておいた手榴弾を使って、私たちを殺そうとする。
でも結局は無駄、パターンが同じだから、何度やっても彼らは勝てない。
奇襲だ。
ロボットたちに囲まれた。
数は・・・50体くらい?
ゆっくり首を縦に振るあきら君。
いつもより多いな。
モクモクとした煙と、霧吹きの如く細かくなった血が飛んでいる。ロボットの体に埋め込まれた偽物の血だ。
あきら君がロボットに毒を挿された。心配。
毒の影響が出てる。
アッ、アッ、アッ、エラーダ、エラーダ、あきら君が喋るのは珍しい。
直さなきゃ。あきら君を直さなきゃ。
あきら君は喋らなくなった。時々、体をビクッとさせる。
また奇襲に来た。あきら君を守りながら戦う。一人で戦うのは少し大変。
よくもあきら君を!!消えろ!!
怒りをロボットにぶつける。
あきら君は死んでしまった。だって、ちっとも動かないんだもの。
戦う理由は?わからない。
襲われる理由は?わからない
戦争?誰が始めた戦争?人が始めた戦争?
優しい人に会いたい。
少年の見た目をしたロボットがいる、こいつさえいなければ!
殺してやる、殺してやりたいけど。
子供にしか見えない。
殺せなかった、仇を討てずに終わった。
私は、失敗した。
どうして、生きてるのかな。
そうだ、私も挿してみよう。
あきら君と同じ場所に行こう。
分からない戦いなんて、しなくていいや。
戦うのだって、疲れるんだ。