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成長への行動開始

 原からの待ち合わせ場所は、前日、突然知らされた

グーグルマップに示された、その場所はオフィス街、日時は、平日の午前十時だった。

 ディズニーリゾートでの、かりそめのデートから一週間が過ぎ、その間、腹の指示で、忠志からも連絡はなかった。その間も、原との約束通りに、自分の気持ちや考えをメールやFAXで送っていた。


 原は初めて、ミサトと会った時と同じ格好で現れた

、ミサトは換えのスーツがないので、同じく出会った時の紺のスーツを着ていた。

 「お待たせしました。私に付いてきて下さい」

ミサトは言われるがままに、オフィス街を歩いた。

 暫くすると、由美が勤めている巨大銀行の本店に辿り着いた。


 「目的地は此処です」原はそう言うと、スタスタと中に入って行く。 

 もしかして原は自分を由美に合わせようとしているのかと思い、ミサトは慌てて「原さん、こんな所に入って私を姉に合わせ用としても、多分、姉は仕事中ですし、会おうとしても受付で止められちゃいますよ」と言うが。 


 原は「大丈夫です」と一言だけ言った。

「何がですか」とミサトが言うや否や、二人の前に中背で矍鑠としてた、何処かで見たことのある六十歳前後の紳士がロビーに立っていた。 

 原はその紳士を見つけると「やあ、柳沢頭取、相変わらず、お元気そうでなによりです」 

 「いやあ、原さんもお元気そうで何よりです。いつも原にはお世話になって居ますから、こう言う時にでも、お返しさせて頂かないと」 


 頭取?唖然としているミサトだったが、その柳沢と呼ばれら紳士を思い出した。 

 ミサトが先輩の薦めで、来るべき、就職活動に備えて、読んでいた読んでいた新聞の経済面や主要経済誌に度々出て来る、銀行業界で実力者と呼ばれる頭取だった。


 その頭取が慇懃な態度で、腹に対応してる。

 「じゃあ、お約束した通り、田崎専務の部屋を少しの間、お借りします」

「お安い御用です」柳沢が言う。


 余りに、唐突な展開に、驚いているミサトに、原は「さあ、行きましょう」と柳沢の後について行き役員室へ通された。

 柳沢は、役員室に着くと「じゃあ、私は仕事が有りますので、此の辺で、これからも何卒、宜しくお願いします」と言った後、その場を立ち去った。


 原は「では、この部屋で由美さんと洗いざらい話し合って下さい。私は別室で、この部屋に、今回のために備え付けてある隠しカメラから、モニターで見ますので」


「ちょっと待って下さい」

 すがり付く様な目で、原を見るミサトに、原はにこやかに首を横に振り、颯爽と役員室を出て行った。 

 役員室に入ると、ミサトは身体に急激な恐怖が駆け巡ってくるのを感じた。


 一度は由美に負けたくないと宣言したミサトだが、やはり、二人きりで、話すという事が迫ってくると、良いやつのない不安に絡め取られているのが自分でも分かった。


 早く、この場から逃げた次第、ああ、タイムマシンがあって、問題が解決した後に、進めたら、どんなに楽だろうと思っていると、ドアをノックする音が聞こえた。 


 「田崎専務、失礼します」由美の声がした。

 ミサトの気持ちが、定まらないうちに、由美は役員室のドアを開けた。 


 明るめのグレーのスーツの上下の服装で、セミロングの髪型に、整った顔を伏し目がちに入ってきた、由美が目線を上げるその一瞬、一瞬が、スローモションの様に、ミサトの目に飛び込んで来る。 


 由美と目が合った瞬間、由美は驚きを隠さず「どうしたのミサト、何故こんな所にあなたがいるの」


 ミサトは頭が真っ白になった。それは、時間にして数秒ぐらいだったかも知れなかったが、随分長く感じられた。

 

 由美は驚きながらも「どうやって、この部屋に入れたの、銀行のセキュリティはしっかりしてるし、行員の者でも役員室にはおいそれとは入れないのに」

 

 由美が当然の疑問をぶつける。

 「ううん、何でも無いの」と答えになってない返事を思わずしてしまう。

 「何でもないって事は無いでしょ、どうしてミサトが此処にいるの訳を話しなさい、さあ」


 これだ、堂々と何時も自信ありげに話す由美をみると萎縮してしまう、説明しても、しきれるものでは無い、このままいっそ逃げ出してしまおうかと思った瞬間、原に忠志を渡したく無いと、宣言した時の気持ちが蘇って来た。


 由美に負けたく無い、その気持ちがミサトに口を開かせた。

 「嫌、此処で話す、ある人との約束なの」

「約束って何、そんな事はどうでも良い、さあ、部屋から出るよ」

 

 腕を引っ張ろうとする由美の手を振り払い、ミサトは、キッと、由美を全身に力を込めて、見つめた。

 それは今まで、由美が見た事が無かった、ミサトの表情だった。


 顔に同様の色が走る由美に「お姉ちゃん、一か月ぐらい前に、田村忠志って言う人と一緒にいたでしょ」

 由美が、更に動揺した顔になった。

 「私その人と付き合っているの、例えお姉ちゃんと忠志が付き合ってるとしても、忠志を渡さない、もし、忠志の心がお姉ちゃんに向いていても、お姉ちゃんから奪ってみせる」


 心から、声を絞り出すミサトに、由美は圧倒されていた。

 勇気を振り絞って宣言した、ミサトも何か解放された様に、吹っ切れた気持ちになって行くのを感じた。

 暫しの沈黙の後、戸惑いを隠せ座にいながらも、由美は、口を開いた「ミサト、違うな、私は田村さんと付き合ってる訳じゃ無いの。私は田村さんにとんでもないことを、、、」

 由美が震えながら、話す中、部屋のドアがギィと開いた


 


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