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かりそめのデート

 そういう訳で、話は冒頭に遡り、忠志とデートしている訳だが、何時まで、一緒に居れば良いのか。忠志と向き合あおうとは思っていたが、そう簡単に割り切れるものでは無い。


 しかし、腹が指示する迄、一緒居て下さいと言ったので、仕方なく一緒に居たが。

 忠志が、出来るだけか自然に振る舞おうとしているが、何時もと違う様子のミサトに「どうしたの」と言うと。


 何でお姉ちゃんが居るのに私と付き合ってるのと怒りが増してくる。 

 此処まで頭に来るのに、忠志の事を嫌いになれない、やっぱり、由美から私の方に振り向かせたいと思う。 しかし、その思いの奥に由美と言う自分には手の届かない存在が立ち塞がっていると思うと、其れだけで、原の前で立てた誓いなど吹っ飛びそうになる。


 ほとんど折れそうな心が、限界寸前の時に、ミサトのスマホがなった。 

 原からだった「OKです」ミサトは助かった気持ちになった。これ以上一に居たら頭がどうにかなりそうだった。


 ミサトは忠志に「今の電話で、お世話になった入院してる叔母さんの容態が急変したみたいなの、子供も海外に居るし、旦那さんも随分前に、亡くされたから、私が行ってあげなきゃ、忠志、ゴメン」 

 

 忠志の、「じゃあ俺送るよ」と言う言葉も聞かず、足早に、事前に原と待ち合わせていた園内のレストランの近くに行った。


 原は水色のポロシャツに、薄茶の長ズボンという出で立ちで、ビデオ日を片手に、小学校低学年ぐらいの少年を連れていた。普通に周りの景色に同化していた。

 

 「その子は誰ですか」ミサトが尋ねると、原は「この子は私が、児童劇団でスカウトした木本くんです」

子供だてらに、整った顔のその少年は、「初めまして」と礼儀正く挨拶をした。


 「何で子供を連れて来るんですか」

「まあ、此処で、一人でカメラを回しているのも怪しまれてしまいますし、気づかれず田村さんをチェックしたかったので、連れて来ました。木本君は劇団でも有望株ですし、素行もいいのでね」

隣で木本がニコリと頷く。


 「それと会話はちゃんと録音しましたか」

 ミサトは、原から盗聴器と録音機を渡されていた。

 「ハイ、大丈夫だと思います」

「じゃあ、お預かり致します」

原はミサトと忠志の後をつけて、二人の姿を撮っているのと同時にミサトのバックに仕込まれていた盗聴器で、会話を聴くとともに、同じくバックに録音機を仕込ませていた。


 録音機と盗聴器を受け取った後「録音機は盗聴に失敗した時の保険の様な物ですので、盗聴で大体分かっていますので、あまり必要ありません」と言うと同時に、先程撮った映像を、ポータブルDVDで忠志を頷きながら、チェックしていた。


 映像を観ながら、ふむふむと頷く原に、ミサトはこんな事で、何が分かるのかと不安になり、一体何をしているのか尋ねようとすると、原は突然「大体、分かりました、西村さん達の後を付けながらでも、分かってはいたのですが、一応、間違ってはいないか、忠志さんをじっくり見ましたが、間違っていなかった様です」


 ミサトは改めて、怪訝そうに「何が分かったんですか」と尋ねた。 

 原はニコリと笑い「まず一番重要なことからお話しましょう」

ミサトに緊張が走る。

 「率直に言って、田村さんは西村さんの事を大変、大事に思っています。他に恋愛感情を持ってる様子も有りません」

ミサトは、ホッとしたのも束の間、直ぐに、疑念が浮かんで来た。 


 何故、そんな事が分かるんですか」と尋ねた。 

 原はそんな事を聞かれるのは当然と言った顔で「田村さんの表情や身体の動きからは、西村さんに対する愛情やシンパで満ちています。それも中途半端は気持ちじゃありません」

「表情や身体で分かるって何ですか」


原はミサトの表情を見て、新しい玩具を買って貰った子供の様に嬉しそうに語り出した。 

 

 「と言いますのわね、相手の表情や身体の、また声色などを観て、相手がどう言う気持ちなのか、推測するの事は、西村さんも普通にある事だと思いますが思いますが、私の仕事はそれを突き詰めたものなんです

「突き詰めたってどう言う事ですか」 

 「どう言う事かと言いますと、人間が喜怒哀楽など

、あらゆる感情を発する時、必ず何かしら、表情や身体の動きに出ます、其処から、どんな感情かを割り出すという事です。その感情を細かい所まで、読み解くのが、私の仕事の一つです」


 俄には、信じがたい原の説明だが、ミサトは気になった点を聞いて見た「表情や身体の動きで、気持ちを理解すると言うのは、何となくですが、理解はできます。でも、深い愛情を注いでいるとか、どうやって知るんですか、其れに、相手が気持ちを隠そうとしたら、嘘の表情を作ったりしたら、分からないんじゃないんですか」


原はミサトの質問に冷静に答えた。

 「人間というものは、どんなに感情を隠そうとしても何かしら表情や仕草に現れます。

 ほんの一瞬、恐らく自分でも気付いていない様な兆候を私はチェック出来ます。感情と人間の表情、身体の動きはパターンがあり、そのパターンからターゲットの、その時、その時の感情を把握します。感情と言っても、強い思いや、弱い思い、または感情を見せまいとする思いなど細分化すると、感情の発露は軽く数千を超えますが、私は全てわかります、これによりスポーツの八百長から、政治家の記者会見での嘘も解ります」


 「でも、一瞬の動きで、どうやって分かるんですか」

「まあ、いずれ機会があれば、お話ししましょう、隠してら訳じゃないし、真似できる人もそうはいないでしようから」

「原さんは心理学のプロなんですか」

 「いいえ、全く、プロのカウンセラーの資格は持っていないですし、大学でも心理学を専攻した事も有りません、それに、感情を読み取ると言うのは、問題を解決する入り口にしか過ぎませんし、別に、案件の成功をお約束するものでは有りません。勿論、西村さんの成長もです」原は、言い終えて、ミサトノ方を向くと更に続けた。


 「しかし此れで問題解決の糸口は見えました。その糸口は、見えました。その糸口をどうやって突破するかは、西村さん次第ですよ」

 「私は何をしたら良いんですか」ミサトは恐る恐る

聞いた。

 「それに付きましては、後日、連絡します。まあ、ゆっくり解決しましょう」

 





 


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