一縷の望み
ミサトは家で沈んでいた。
何か行動を起こす気力すら湧かず、ベッドに包まっていた。
由美は一人暮らしで、ミサトは父と二人暮しだ。その父は今、仕事で大阪に出張してるので、事実上ミサトも一人暮らしだった。
一人暮らしの始めの頃は、いつもはもっと広い所に住みたいと思っていた、十年前に父が購入した中古の一戸建てが、こんなに広いのかと思う程、寂しかったがすぐに慣れて、気軽でいいやと、ミサトは思うようになっていた。
母はミサトが5歳の頃交通事故で亡くなっている。買い物から帰る途中に交差から飛び出して来たバイクに引かれてしまった。バイクに乗ってた人も、母も即死だった、と聞いている。
今一、事情が飲み込めなかった、ミサトであったが
、母の葬儀の時、悲しみに暮れる、親戚やは母の関係者を見るうちに、は母が亡くなったと言うことが、急に現実のものとして、ミサトに襲いかかった。
「もうお母さんに会えないの」泣きながら、当時十二歳の由美に尋ねた。
「大丈夫、大丈夫よミサト、ミサトはお姉ちゃんが必ず守るかからね」、お母さんがいなくても、わたしが代わりになるから」と言いながらミサトを抱きしめた。
涙を堪え、震える手を抱きしめる由美に、ミサトは並々ならぬ決意の様なものをかんじた。
子供心に、由美を安心させてあげよう、ミサト涙を必死で堪えた。
元々勉強もスポーツもよくできた由美だったが、は母を亡くして以降、更に拍車が掛かった。
中学の時は公立で、勉強はトップ、スポーツも女子の中でトップで、高校は、最難関の女子校に進学し、そこでもトップクラスの成績を収めながら、そのまま東京大学に進学し、就職も最大手の都市銀行に総合職で入り、入社当初から花形支店を渡り歩き、今は本店の、大企業の融資部門で、バリバリ働いている。同期の出世頭だ。
更に、美里を高校、大学受験の時、残業や顧客回りなどで、忙しい合間に勉強をわかりやすく丁寧に教えてくれた。
他にも、由美はミサトの相談相手でもあった。不安になると必ず相談し、その都度、嫌な顔せず励ましてくれる。そんな由美をミサトはは憧れと共に、絶対に手の届かない存在に感じていた。
忠志を渡したくないと思うが、由美は容姿にしても、ミサトよりさらに美人だ、両親共にルックスはいいが、由美はは母親似で、ミサトは父親似なので、二人の顔は似ていない。
最近、ミサトは由美と連絡を取って無い、由美には彼氏の存在を話しているものの、忠志の名前と顔を教えていない。
そう言えば、この三日間、た忠志とも連絡を取ってない。由美と忠志の事を思うと絶望的な気持ちになるが、忠志とも連絡を取ってない、忠志から連絡があったか、LINEを見てみたが、この三日間連絡はない
忠志との連絡が三日ほど空くことは、、今までにも有ったが、忠志の気持ちは、もう私には少しも無も持って無いのではとあまりの恐怖に駆られ、た忠志に連絡しようとするが、半ば覚悟しているが、しているとは言え、実際に本人に連絡をして現在を聞かせられる事を思うと、連絡を取れない、せめて、ほんの僅かな可能性だとしても、忠志が、まだ私を一番に愛してくれているという考えに逃げたい。
気づくとミサトはスマホの画面をいつも見ている。人気モデルのブログに合わせていた。
こんな時に何をと思うと同時に、毎日このモデルのブログを楽しめていた頃が、嫌に懐かしく感じる。また普通に楽しめる時が来るのだろうか。
憂鬱になるミサトの目にある広告が目に飛び込んで来た。
ーあなたの悩み解決しますー
人気モデルのブログの広告に掲載されたその文句にミサトは、思わず手を止めた。
何故、こんな広告が人気モデルのブログの広告に掲載されているのか、疑問に思うと同時に、普段はこんな広告に、一切興味を持たないミサトであったが、不安という名の重荷に押し潰ささられそうなミサトの心が、この広告のページを開かせた。
アクセスしたページには淡々と内容が説明されていた。
ーあらゆる悩み解決します。悩みなら何でもOK、料金基本無料だだし、条件があります、その上が呑めないのであれば、キャンセルは自由です。お電話お待ちしています。人間コンサルタントサービスー
何の飾り気もない文章だが、無料と言うところに目が入った。いつもならこんな広告には、一切、興味を持たないミサトではあったが、心に重くのし掛った忠志や由美ののことを思うと襲ってくる恐怖に押されて
、馬鹿なこととは思いつつ、広告に掲載されていた電話番号を押していた。
緊張しながら、電話にすると、すぐに繋がった。「
はい、こちら人間コンサルタントサービス受付、吉田です」丁寧で落ち着いた声の二十代と思しき女性の声がした。
ミサトはゆやや焦った口調で「あの、ネットで見て電話を掛けた者ですけれども、この人間コンサルタントと会うのは、どういうものなのですか」不信感を隠そうとするが、つい口調がでてしまう。
吉田は、ミサトが不信感を持って、話をしてるのを分かっていたかの様に「お客様が、不信に思うのも理解できます、ここに連絡してくる皆さん皆、同じ様に不信感を持ってお電話頂きますので」どうやら疑われるのには、慣れているようだ。と同時に電話を掛けたのが自分ではないと知り、他に連絡している人がいるという事が、少しは信用できるのかなと、ミサトの心に少し安心感が出た。
「一応、当サービスは予約制になっていますので、一度予約を入れてお会いなって見ませんが、無料には条件があると書いていますが、一度面談する事には一切料金が掛からません。その上で、うちの代表と条件について相談なさっては、如何ですか。
「その値段はどうやって決めるんですか」
「う〜ん、ウチの代表は変わり者ですからね。まあ犯罪を犯すような人ではないのではない、一度会って見て下さい、勿論、会いたくない人なら無理に合わせようとしなくていいと言ってますので、面談の予約は自由ですよ」淡々とした口調で吉田は話す。
ミサトは何かトラブルに巻き込こまれたりしないかの心配を完全には払拭できなかったが、この苦しみから逃れる可能性が少しでもあるならと思い「解りました。予約します」と言った。
「畏まりした。では日時を、ご希望の時間は、何時がよろしいですか」