成長コンサルタントが織りなす人の成長方法
秋めく休日の昼過ぎ、親子連れや、カップルが楽しそうにはしゃいでいるでいるのを横目に、赤のワンピース姿という出で立ちの西村ミサトは、不安と憂鬱で埋まっていた。
彼である田村忠志と久しぶりのディズニーランドのデートが、解っていた事は言えこれほどまに苦痛だとはおもわなかった。
どうしてあの人はこんな事をさせるのか、本当にこんな事に意味があるのか、ミサトは疑念を持ちながも、少し離れてビデオカメラを回している、あの人言う通りに忠志とのデートを続けた。
忠志は、いつもの様に自然に気を使ってくれら。それが、いつもなら嬉しいのに、今日は悲しく感じる。
何とか、デートの間だけでも忠志のことを、今までの様に、素敵な彼だと思おうと、自分を洗脳しようとするが、上手くいかない、そんな努力をしている間にも
、「どうしたの」と心配そうに忠志は、声を掛けてくれるが、その気遣いさえも今のミサトには、考えの途中を邪魔しないでよ!と思ってしまう。
冷静に考えれば、心配してくれているのは解るのだが、こういう気持ちになってしまうと、忠志の悪いところばかりが目についてしまう。
その喋り方、そのポロシャツとデニムの着こなし、ちょっと前まで好きだった、ありとあらゆる仕草が嫌いになってくる。
あの時まではこんな気持ちじゃ長かったのに、ミサトは忠志が話し掛けてくるのも上の空で、このやるせない思いの原因を思い出していた。
二人が初めて出会ったのは、今から一年ほど前、当時、ミサトが大学一年生の秋頃だった。
ミサトが所属する、観光サークルのOBである忠志が会社の休日である土曜日にサークルの部室に、たまたま遊びに来ていたのがきっかけだった。
忠志は、当時27歳で、大手の食品会社に勤めているサラリーマンで、一年に一回ぐらい部室に遊びに来るとのことだった。浅黒く精悍な顔つきに加え、身長も高めで、体も引き締まっており、いかにもスポーツマンという風貌ながら、趣味は読書で、特に歴史小説が好きというギャップに、ミサトは好感を持った。
とは言え、当初はミサトの恋愛対象には入ってなかったが、た忠志がミサトを気に入り、何度か、その後
、サークルの部屋に訪れる様になって行った。
最初のうちは、ミサトは忠志の好意に気付かなかったが、同じサークルの親友の吉田恵理が「田村さん、ミサトに気があるみたいよ」
世話好きのおばさんの様に、ニヤリと笑い恵理は話しを続けた。
「田村さんって、仕事をバリバリこなす上、凄くモテるらしいよ。彼が勤めている会社、超有名だし、堅い業界だから、今のうちにゲットしとけば」
まさかとは思いつつ、ミサトは悪い気がしなかった。むしろ嬉しかったと言っていい。
ミサトは自分の容姿には密かに、自信を持っているし、実際、整った顔立ちをしていたスタイルも程々に良いが、控えめな性格のため、その容姿をひけらかす事はなく、有名ファッション雑誌や自分に背丈が近い
モデルのインスタグラムから服装の情報は得ているが、派手なメイクや格好といったものとは無縁だ。
また軽いノリで付き合うといった事や、狙った相手を上手く落とすといったテクニックも持ち合わせていない。
「でも、本当に、私のことを好きかどうか分からないし、それに私、田村さんの事まだよく知ってる訳じゃないし」ミサトがそう答えると、恵理が痺れを切らした様に「そんなだからミサトはいつまで経っても彼氏が出来ないの、いい男が脈ありと見たら、こっちから行かなきゃ、付き合ってみて、ろくでもない男だったらさっさと別れちゃえばいいんだから、何なら私がセッティングしてあげる」
半ば強引に、恵理と数人のサークル仲間と忠志の友人の観光サークルのOBただ飲み会の席を設けて貰った
。
飲み会で忠志は会社での新人時代の失敗談ら、最近起こった恥ずかしい話しを面白く、包み隠さずに快活に話し、尚且つ、話相手を不快にさせない様心配りをごく自然にし、さらには自分の仕事に於ける情熱を、淡々んと芯を込めて、話す姿にミサトは、心惹かれていくのを感た。
それからも一か月程週一回のペースで、た忠志の友人の観光サークルのOBとミサトのサークル仲間数人で会う機会があり、そこでLINEとスマホの電話番号をミサトと忠志は交換した。程なくしてた忠志からいつもの店でいつものメンバーで会おうと連絡があった。
いつもと同じ様に店に来たミサトだっが、待っていたのは忠志一人だった。そこでいつに無く緊張した真剣な表情で「ごめん、みんなで会おうって言ったけど嘘をついた」話すと、更に緊張した面持ちで忠志は「僕と付き合って下さい」と告白した。
気づいてたらミサトは首を自然に縦に振っていた。
「嬉しい、断られたらどうしようかと思ったよ」
今までの真剣な表情とは打って変わって、明るくおどけてみせる忠志を見て、ミサトは心が喜びに包まれていくのに気づいていた。