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【4】ウェブ小説に思うこと



 どんな人間を描くにしろ、『敬意』を払え……



 これは、小説を読み書きするうえで、わたしが最も大切にしていることです。



 多いんですよ。『ムーンライトノベルズ』。美人なヒロインが、作者の負の感情の掃き溜めみたいなサイテー男をコテンパンにやっつけるという。復讐の仕方も、なんつーか、エグイっつうか……感想欄もよくやったー! って盛り上がっている世界観……。


 遠野は、無理です。


『ムーンライトノベルズ』自体は、使い勝手もいいし雰囲気もいいし大好きな場所なんですけど、その一点だけは受け入れられないです。たとえ今後も流行り続けたとしても。


 ……わたしもね。そりゃ、何年も生きてりゃあ、そりゃあ、徹底的に誰かに痛めつけられる経験を重ねて。憎い人間のひとりやふたり、存在しますよ。ウェブ上じゃなくてリアルでね。ウェブ上は、恨むよりも恨まれるほうが多いかも……。


 でもね。


 遠野はアラフォーです。あっという間にこの歳になりました。


 平均寿命まで生きたとて、せいぜい残り50年しか生きられないんですよ。


 ……いまの倍。幼少期の記憶なんてぜーんぜん残ってませんし、いまの状態で50年生きられるんならそりゃあ希望に満ちてます。――が。


 老衰。


 加齢に依る変化には、抗えません。そんな暇ないもの! 生きていくだけで精一杯よ! ……しかもね。


 遠野さんは、残り十年で長編三本を書くつもりでいます。……となると。


 残り30~40年でいったいなにを書ける? ……と、逆算してみると。恐ろしいものがありますね。あ~わたしそんな時間残ってないじゃん。もっともっと書きたいのに……。と。


 余生から自分の本当に成し遂げたいことを逆算してみると、案外、残り時間て少ないもんなんですよ。しかもその頃はいまほど体力気力充実しているかは不定。


 遠野なんて昨日12時間も寝てますよ。ウチの四歳児よりも長い……。疲れが溜まってましてねえ。


 なもんで。


 誰かを憎みまくるために時間を費やすなんて、勿体無い。


 そんな暇があるなら、自分が楽しむことに割り当てたいですよねえ。


 こないだ雑誌で読んだ、石原さとみさんの名言。座右の銘にしたいです。――


『他人の失敗を指摘する暇もないほどに、自己の向上に邁進する』


 自分にとっても時間が貴重であるように。


 他人にとっても、そのひとの時間は貴重です。これ絶対です。……なんかねえ。


 インターネットに触れるのが当たり前になり、携帯電話が流通した頃からですかねえ。いつからかは厳密には記憶していませんが……なんか自分を『万能の神』とでも誤認しているひとが増えてきたように思えるんです。これわたしの勘違いじゃないです絶対。だって。


 自分の『死』について向き合う若者って、いったい、どれだけ居るんですかね?


 わたしなんて毎日考えてますよ。あー明日急に死んだらどうしよ。「遠野ましろは死んだ」って告知してくれるひと誰か居ないとやべーわ。て。……こんなに身近に『感じすぎる』のもそれはそれで問題ですが(苦笑)。


 すぐ傍に『死』があること。『死』が訪れるのが明日なのか数年後なのか平均寿命まで生を全うできるのかなんて誰にも……分からないじゃないですか。なのに。


 携帯電話でなんでもかんでも出来て。情報を世界に気軽に発信できるようになると、『万能感』が不必要に強くなりすぎちゃってんですね。そうだねーと同意できるひとを得るのも簡単(『なろう』全年齢のほう以外ではね)。そうして。


 自分の意見ばっかり発信して、同意してくれるひとがわんさか現れるようになると人間、……調子に乗ります。神みたいな感覚ゲット。まあ調子に乗らず謙虚さを保つ著名人も多いですが。因みにわたしは調子に乗ったクチです。自戒を込めてこれを書いています。


 だからまあ。


 自分の小説を読んで頂くというのは、本当にありがたいことで。


 他人の、限られた、貴重で貴重でたまらない瞬間を頂戴している。……ことへの認識。


 これ。すごく、大事だと思います。


 それ認識している人間ならあんな掃き溜め悪キャラフルボッコなんか書かない。


 遠野さんは、生まれたタイミングがあの頃で良かったと思っています。携帯電話が無い頃の不便さや、昭和の頃ならではの、例えば手紙や葉書でのやり取りの大切さを身にしみて痛感しているので。


 こないだ、実家に置いてきた荷物整理してたら、遠野の留学時代に届いた手紙が出てきたんですよ。何故か保冷機能つきのおっきめのランチボックスに入れていて。友達すくねーと思い込んでいた遠野ですが、すっごい量でした。


 一気に読み返しました。……そのときそのときの、手紙をくれた家族・友人のプレシャスな輝きが目に眩しかった。


 手紙のやり取りなんかしたことのない、でも書籍一本出してる、いまは亡き祖父からの手紙にはぐっと来るものがありました。出だしが『よりちゃんガンバッテ!』……異国でひとり戦う孫娘に向けたエールは、いまだに、わたしの涙腺を刺激します。


 わたしは、思います。


 他人を、変えることは、難しい。


 だって自分が変わることすら難しいのだから。けれど。


 他人も、自分も、大切。


 人生や考え方が違うとて……小説を通して分かり合うことは可能であるはず。


『発信する側』のみんながこのように考えていたら、不毛な言い争いは起こらないはずですし(まあ言い争いが一概に不毛とは言い切れないですが)、ひとまず、喧嘩にまでは至りません、よねえ?


 なので。


 ひとりひとりが自分の純粋性に従って文章を書いていれば、いつか必ず、戦争の訪れない世界が拓けるのではないかと――脳天気にも、わたしは、信じております。


 これを読んだ皆さんにも、わたしの言わんとするところが伝わることを、願っています。


 わたし自身、こんな説教めいたこと書いてないでとっとと小説のレベルをあげろって話なんですけどね。……頑張ります。


 ウェブ小説には、ウェブ小説ならではの良さがあります。……まあね。さっき述べた負の掃き溜めコテンパン方式なんて、先ず書籍ではお目に書かれませんし(プロは、爽快感と笑いを交えて描くのです)、こんな素晴らしい小説をタダで読めていいのか!? と驚愕することも多々。わたしもいち読者ですから。


 こんな面白い世界を作りあげた、特にヒナプロジェクトさんには、感謝しております。……わたしが生まれるのが二十年早かったら、この自由を満喫できていなかったわけですから。


 これを読んだ読み専或いはウェブ物書きさんにハッピーな日々が訪れることを信じつつ、筆を置かせて頂きます。


 2017年9月24日 先に寝た夫と子どもと離れ孤独な室内にて。


(そうウェブ物書きは常に孤独なのです)


 ―了―


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