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君の隣に私の魔法  作者: 七瀬結羽
出会いはどこにでも
7/17

秘密


私は自分が女だと言う事を認めたくない。

認めてしまったら、あの家を継がなければならないから。


男に生まれれば良かったのに。そうしたら、旅に出ることを許される。

だいたい、家を継ぐのが次女っておかしくない?普通長女でしょ?


だから、家を出た。

この大陸から抜け出すことも考えた。けれど、それでは行き先がバレてしまう。

大陸から抜け出すのは諦めて、家からそこそこ遠いところに住んだ。


……ばれないと思ってたのに!!!どうやってか知らないけど、お姉様が私の家を突き止めて、それ以来週に一度、私の家に来ては「戻ったら?」と説得しに来る。

ただ、お姉様は両親と違って強要はしない。ただ、何気なく言うだけだ。いつも「無理に戻れとは言わないけれど…せめて、お母様たちには話をしなさいよ」と言うだけだ。


お姉様は体が強くない。今は落ち着いているが、昔なんて毎日のように医者が来て、たくさんの薬を処方してもらっていた。

ただ、遊ばないということはダメだったらしい。体をそこそこに使った方が体も強くなるといわれていた。

だから、私とよく遊んでくれたのだけれど。

そんなお姉様のことが大好きでもあるし、同時に少し苦手である。

なぜ苦手なのかはわからない。ロークには女らしいから、と言ったけれどたぶん違う。

お姉様と同じ空間にいるだけで自分の存在が霞むように感じるのは確かなのだけれど。


どうしてあんなに素晴らしい人が姉なんだろう。どうしてあんなに素晴らしい人の妹が私なんだろう。

いつも思う。……答えが出ることはない。たぶん、永遠に。


お姉様から幼い頃にもらった腕輪がある。銀色で、ファッションとしても気に入っている(私は男装しているから勘違いされやすいけれど、服装などはしっかり気を配っているつもりだ。家を継がなくてもいいなら、私は自分が女だということを認められる)。

この腕輪は、お姉様が両親にも秘密にして私にプレゼントしてくださったものだ。

どうして両親にも秘密なんだろう?とは最近考えるけれど、お姉様にそのことを聞いたとき「その話はもう口にしちゃダメよ」と言われたのでよくわからない。

もらった時にお姉様に言われたことは今でも覚えている。


「これはね、不思議な腕輪で…お母様たちも知らない、私とロクロだけの秘密のもの。絶対にお母様たちには喋っちゃダメよ」

「お姉様、どうして?」

「それをロクロが持っていることをお母様たちが知ったら、取り上げられちゃうわ。普段はこうやって……ほら、こうすればあなたが腕輪をつけてることなんてわからない。良い?絶対喋っちゃダメよ?私との、約束」

「…はい、わかりました、お姉様!」

「良い子ね、ロクロ。じゃあ、少しだけ使い方を説明しようか。この腕輪はね、大事な人、失いたくない人が死んでしまう時…赤く光るの。その時、こう言いなさい。『リザイア』って。きっと、助けてくれるわ」

「りざいあ…?」

「…ふふっ。今のあなたにはわからないわね。けど、覚えておいて。赤く光ったら、『リザイア』よ」

「わかりました、お姉様!!ところで、りざいあ、というのはどういう意味なのですか?」

「うーん…ある地方の言葉なのよ。あなたが大きくなって、旅に出たいと思うなら私に言って。私がこの家を継ぐわ」


そう言ってくれていた。けれど、その後もお姉様の容体は悪くなるばかりで、最近ようやく回復してきた。

旅に出たいけれど、お姉様に迷惑はかけたくない。


私は、この大陸の他にも…ユグリア大陸、キャペイン大陸、ナカノミア大陸、レミング大陸、スクモール大陸、センメル・ケア大陸。全ての大陸を旅したい。

それに、リザイアの意味も知りたい。少し調べてみたのだけれど、そんな言葉はどこにも載っていなかった。

知りたいなぁ……。

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