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君の隣に私の魔法  作者: 七瀬結羽
出会いはどこにでも
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さぁ、出発…できる?



「え、ええと、簡単に言えばこういうことなんです…」


どうしよう。いきなりこんな説明されてわかる人いるの?いないよね?

いきなり会ったばかりの人に聖なる祭りに連れてってとか、私頭おかしいと思われてるかなぁ…。


さっき会ったばかりの、このロークという青年。星の旅人みたい。

この青年に「何が起こってるかわからないから説明してくれ」と言われたのだけど……。


「………」


どうしよう、この人さっきから一言も喋らない!!!!

やっぱり信じられないよね!?

天界だって、人間は信じてないって聞いたもの!!!

ああ、リョウカ様…ヒスイは、使命を全うできる気が致しません…。


「………あんた…えっと、ヒスイさん?だよな?大変だったんだな」

「はい?」


なんで?どうして?

どうして大変だった、なの?大変だな、じゃないの?


「いや、自分の実力隠して天界から人間界にやってくるとか…大変だなぁって」


……人間の思考回路ってどうなっているのかしら?少し興味があるわ。

たしか、人の脳を分解するのには一日程度しかかからないのよね…。


「あの、脳を分解させてもらっても宜しいかしら?」

「なんでだよ!?なんでそうなる!?今の話からどこをどういう思考したら俺の脳を分解することに辿り着いた!?」

「あ、ご、ごめんなさい!!!!その、人間の思考回路が気になって…」


さ、さすがに今のはないわよね。

どうしよう、リョウカ様に何やっているのって怒られる気がする…。


「……んで?ヒスイさんはその…なんだっけ。聖なる祭り?に行きたいのか?」

「え、ええ!!そうなんです!どうしても、どうしても……天界のためにも行かなければならないのです!!」


そう。私は天界のためにも神の心を取り返し、天界に持って帰らなければならない。

ちなみに、神の心については話してない。なんとなく、隠しておいた方が良いと思ったので。


「つってもなぁ…俺はここの大陸しか知らないが、とりあえず聖なる祭りなんてのは聞いたことない」

「え、えぇ!!?」

な、なんで!?確かに存在するはずなのに…。


「まぁ、他の大陸の情報はぜんぜん流れてこないから知らなくても当然なのかもしれないが…少なくとも、この大陸には存在しねぇな」

「そうなんですか……あの、他にも大陸が存在するのですか?」

「ん?ああ、そうだ。この大陸以外に6つ存在する」

「それが聞けただけで十分です!!すべての大陸に行って探します!!」


そうよ。私には羽がある。これですべての大陸を行けば、きっと見つかるわ…!!


「いや、無理だぞ、それは」


え?


「どうしてなのですか?」

「どうしてって…ほんとに知らないんだな、人間界(こっち)のこと。大陸間を行き来するにはパスポートが必要だ。そして、そのパスポートは貴族にしか与えられねぇ。俺らみたいな一般人には大陸を行き来できないんだよ。今のヒスイさんも同じ状況。天使だからって優遇されたりしねぇ。むしろ、大抵のやつらは天界なんか信じちゃいない」

「嘘…じゃあ、私は聖なる祭りには…?」

「……とにかく、立ち話はこの辺りで一度終了だ。俺の家来いよ。少し疲れただろ?」

「…すみません…あ、けど、私、ここに来る前に宿を見つけていて。3日だけここにいて、行こうかと…」


そうだ。あの人に申し訳ない。


「……そういうことかよ」

「え?ロークさん、何か言いましたか?」

「…まぁ、ついてこい。たぶん、大丈夫だから…」

「?はい…」


人間界(こっち)のことは全然わからないもの。ここは素直にロークさんに従うべきだわ。

けど、さっきから「まじかよ…」とか「あの人は…厄介ばかり持ち込みやがって」とか聞こえてくるんだけど…え、私って歓迎されてない?もしかして。

私……大丈夫かなぁ?

やめておいた方が良いかな?

けど、ここでいきなり「ごめんんさい大丈夫です」なんて言えないわ…。

ああ、もう、これも全部あの魔力のせいよ!!!

人間があんなに魔力を使えるなんて聞いてないわ!!

この人は…星の旅人だから、そこそこの力はあるんでしょうけど…あまり魔力を感じれないわ。

はぁ…私、こんなので聖なる祭りに行けるのかしら?

神の心を取り戻せるのかしら…。

だめだった場合、どうすればいいの?

最悪、天使追放…?

いやああっ!!それだけはいや!!!!

天使を追放された人はどうなるかわからないって聞くもの…。

ああ、けど…。

……無事に天界に戻れることだけを考えましょう。

というか、どうやって天界に戻るのかしら?

リョウカ様に聞くのを忘れてしまったわ。

はぁ…。

第10位天使ヒスイ=ミタリア。最初から不安しか残らない旅が始まろうとしています。

天使として、立派に使命を果たしたいところであります。……が。

私、もうこの時点で心が折れかけているので誰か私の心を救ってくださいませんか?

誰かもう一人、天使が下りてきてくれたって良いのよ?

……こんなにも、ほしがっていた使命をいやになるなんて…天使失格かしら、私。

良いことを考えたいけれど、頭の中には不安しかない。

………もうどうとにでもなれ。

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