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君の隣に私の魔法  作者: 七瀬結羽
旅に行く前に
13/17

不思議な買い物



「で、今日は何の用なんだよ、ローク」

「ああ、武器の購入と、系列店への紹介状頼む」

「え、どっか行くのか?」

「ああ。ちょっとヒスイと遠い地の果てまで行ってくる」

「ふざけんな真面目に答えろボケカス」


ドグさんが笑いながら銃をロークに突き付けた。………………ん!?


「はいはい、悪かったって。ったく、俺だから良いものの、他のやつにそれやるなよ。俺以外の誰にもわかんねぇよ、それがモデルガンだってこと」

「ええ、そうかぁ?」

「当たり前だろ。ヒスイ、気づけたか?」

「ふぇっ!?」


いきなり話を振られたけれど、私考えることが多すぎて頭の処理がついて行ってなくてね……?


「ご、ごめん、考え事してたわ。なに?」

「いや、これがモデルガンってこと見抜けたか?」

「ああ、それね……………は!!?モデルガン!!?」

「あれ?気づいてなかった?」

「普通誰も気づかねぇって」

「うーむ。一応気を付ける。で、なんで紹介状が必要なんだ?」


え、今のスルーしていいものなの!?

どうしよう……本気で、人間の思考回路がわからない。

人間に関しては、なんでか興味があったしけっこう調べたんだけど……本ってアテにならない。


「いや、実はさ。センメル・ケア大陸に行くことになって」

「は?なんでだよ、唐突な」

「ヒスイがそこにどうしても行かなきゃなんねぇからな。付き添いみたいなもんだよ」

「は、ふざけんなよ、お前は可愛い女の子とデートして俺は可愛くないむさくるしい奴らに商品売れってか?世界の不平等ってどうやったらなくせるんだよ…」

「何を言ってるのか全くわからん」

「世界は不平等」

「知るか」


そう言えばお金が全くいらないってどういうことなのかなぁ。

今ここにある商品、全部1万円はしてるけど……。


「それより、早く買って来いよ。俺の機嫌が丁度直った頃に持ってこなかったら+1万な」

「一銭も払わないっつの。じゃ、行くか」

「え、ああ、うん……」

「そう言えばさ、天使にもスキルとかってあんの?」

「多分あると思うよ。どんなのかは分からないけれど」

「ふーん…じゃあ、さっきのもスキルの1つか?」

「さっきのって?」


何かしたかしら?


「ほら、俺とシグハさんが言い合いしたときに……」

「えっ、と……?」

「なんか、ヒスイが叫んだら逆らえなかった」

「ああ、あれね!」


ようやくわかった……そっか、そう言えば、あの事について話してなかったもんね。


「あれはねー、天使特有のスキルっていうか…。天使ってね、人間界に遣わされる時は使命に関係なくても人間同士の争いとかはできる限りなくさないといけないの。で、さっきのは争いを止めるためのスキル。名前はなんだったかな…『言葉の力』だったかな?1日に3回だけ使えるの。争いを止めたいときに、自分の想いとかを言葉にのせて叫ぶの。言葉は何でもいいんだけどね」

「それって人間界(こっち)でしか使えないのか?」

「うん。」天界では争いはないし、あったとしても神様が何とかしてくださるから。

「ちなみに、今までに争いは?」

「ない。争う種がないんだもの」

「そりゃそうだ…っと、よし、ここのコーナーだ」

「ここ?」


連れてこられたのは、剣がたくさん置いてあるところだった。


「あれ、けど私って魔法も使えるんじゃないの?」

「ステッキはまた後で。とりあえず、剣決めた方が色々早い」

「まぁ…私はよく分からないし、ロークにその辺りは任せるよ」

「ん。あー………なんか気になる剣ある?」

「え、どうして?」

「なんとなく」


なんだそりゃ。

うーん、気になる剣?

うーん………………


「…………あっ」

「どした?」


私が手に取ったのは、普通すぎる剣。これといって特徴はなく、空想の世界に出てきそうなよくある剣。

けど、何かを感じた。

この剣……なんだか…………懐かしい?


「おい、ヒスイ?」

「……え、あ、ごめん」

「その剣、気に入った?」

「気に入ったって言うか……すごく、惹きつけられるって言うのかな。なんか……しっくりくる」

「そっか。じゃあ、それにしよう」

「えっ!?ステータスとか色々……よく分かんないけど良いの!?」

「大丈夫大丈夫、後で説明するから。さて、次はステッキか……」

「えぇ……?」


ロークの考えてることぜんっっっぜんわかんない!!!

まぁそれは良いとしても……この剣、昔握ったことでもあったのかな?

すごく懐かしい……。

………草……ううん、草原。光……子供?


「おーい、ヒスイ?」

「………えっ、あ、な、何?」

「大丈夫か?今日、なんか変だぞ?」

「ごめん、大丈夫。すぐに考え事しちゃう癖があるだけだから」

「なら良いけど……さて、ステッキではどれが気になる?」

「今度はステッキ?そうだなぁ………………あ、これ」

「これ?」

「うん」


私が選んだのは、見た目的に、ただの長い棒……だと思う。水色で、先端だけ白。


「なんか、本能的に、びびっときた」


これは、本当。さっきみたく、何かを思い出すわけでもなく、ただ、自分の直感的なものを信じて選んだ。


「よし、じゃあ会計行こうか」

「……お金、すごいことにならない?」

「大丈夫だってば!ヒスイが直感を信じて選んだんだろ?なら大丈夫だって!!…………たぶん」

「あ!今!たぶんって言った!!ねぇ、何する気なの!?本当に大丈夫!?」

「あー!!!あーー!!!!!いいんだよ、何とかなるし、何とかする!!!!」


余計に心配するのよ!!!!!

ざっと計算してみたけど……高いよぉ……。


「おーい。店長さんよ」

「ん、決まったか?」

「ああ。あの方式で頼む」

「………お前さ、それだと商売にならん」

「許してくれよ。いつも資材の入手とかしてやってるだろ?」

「今回はそれだけじゃ足りないんだよ。紹介状だって、1枚なら良いものの、何枚も書くとなると金がかかるんだよ」

「わーったよ、じゃあ、旅先で武器買ってこっちに持って帰ってくるよ」

「え、マジ?」

「マジ」

「……ったく、今回だけな」

「あんがと。ま、それ以外にもお土産持って帰ってくるわ」

「例えば?」

「あー?あいつらから手紙もらってくるとか」

「え、全員に会いに行くつもりか?」

「そりゃ、せっかく旅に出るんだしな」

「絶対だぞ」

「OK。早くやってくれ」

「ちょっと待ってくれ、今準備してくるから」


…………なんか、本当に仲が良いんだな。そう思う。

それはそうよね。

彼らは長年一緒にいる。これからもきっと、一緒にいる。

けど、私は違う。今だけ。これからは、一緒にいない。


あと、どれだけ。あと、何回。あと、何分。あと、何秒。ロークと話せるんだろう。

私のこの気持ちに答えは出るのだろうか?

旅が終わるまでに、その気持ちを理解できるのだろうか?


そんなことばかり考えてしまう。


だから……人間とは馴れ合いたくなかった。

けど、私にはもう後戻りはできない。

この道を選んでしまった。

後悔はない。


……第10位天使のヒスイ=ミタリアに第10位天使ヒスイ=ミタリアが命ずる。

神の心を取り戻すまでに………この気持ちを理解せよ。それがお前の使命だ。


なんてね。自分に使命を課せてみる。


あとどれくらいで旅が終わるかなんてわからないけれど、先を見るより、今を見たい。

せっかく、人間界(こっち)にこれたんだもの。

天界(あっち)じゃ経験できないようなこと、たくさんしたい。


私がそんなことを考えていると、ドグさんがさっきのようなお店の服とは違い、ちょっと魔法師っぽい服装に着替えて出てきた。



――――――What?

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