第3章 1節
待たせたなァ!
今度こそ年内最後の投稿となります。
第3章 1節
大陸暦1943年12月3日午前7時47分
モッツァ軍港から西に約18km、森林地帯にて
「軍港基地司令部と連絡が取れない、ですか?」
エレナは先程聞き付けた噂の真偽を確かめに教官の同乗した指揮トレーラーにプロトヘリアルカスタムのコックピットから通信を繋げていた。
〈ああ。地理上は1時間と少し前から既に通信可能圏内の筈だ。この森を抜けたら港が見える高台なんだが、、、機材トラブルかね?〉
そう言って教官は押し黙ったが、その可能性は低いだろうし、教官自身も他の可能性を考えているだろう。
何処の軍であっても通信機器等には予備が用意されているものだし、多少性能が落ちていても流石にこの距離なら通信が届かない訳が無いのだ。
故に。
「整備課に依頼して偵察用の試作ドローンを出しても構いませんか?」
許可は直ぐに得られた。
数分後、モッツァ軍港基地司令部跡地にて。
『隊長、報告です。』
試作機故のとある技術的な欠陥を補う為、有視界内での光学通信で1人のメアリーは告げた。
『偵察用ドローンを発見しました。潜入した'メアリー'の報告にあった士官候補生の一団由来と思われますが、撃墜しますか?』
その答えは判り切って居るのだが。
「近辺の不審な反応はその一切須くを焼き払って構わん。港湾部に損傷が少なければそれで良い。」
即ち、厄介な目撃者は消すに限るのだ。
『了解。』
邪竜の顎門が開き、熱量が集約されて陽炎が漂う。
『熱偏向フィールドジェネレータ起動、対空用拡散放射に設定、照射時間18秒、照射開始。』
基地司令部を焼き消した竜の吐息が、放たれようとしていた。
今年も遅筆な拙作にお付き合い頂き、
誠に有難う御座いました。
来年も又、宜しくお願い申し上げます。
皆様、良いお年をお迎え下さい。




