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第2章 9節

特に短めですが、累計30,000pv及び10,000upv達成への感謝を込めて。

次回からは第3章となります。

第2章 9節


ハヤシダ少尉は叩き上げの従卒である。

母にアリン技術工廠の工学博士、父に同盟国の外交官を持つエリートではあったが、彼は可能な限り両親を頼らずに自ら努力する事で着実に地位を確立してきた。

文字通り、一兵卒から尉官まで登り詰めたのは溢れんばかりの才幹の発露でるとも言える。

担当しているのはアリン共和国東部のモッツァ軍港基地司令官で、人望は有るが書類仕事が苦手な彼を補佐する良い組み合わせだと基地内では評判になっているのだ。


そんな彼が生き残ったのは間違い無く運の良さだったのかも知れない。

11月半ばの休暇を12月始めに回す事でアリンフォートの実家に帰省する事にして半休を潰し、その期間分の仕事も済ませる勢いで処理する。

基地司令に報告する案件や裁可を求める案件、果ては軍規違反を犯した不届き者を裁く略式裁判の裁判官まで。


そして彼は12月2日の午後11時頃には既に旅装を整え、深夜発の軍の輸送列車に乗り込んで居た。

基地司令から直々に、土産に指定された希少な酒を買って来る事を条件として利用許可を受けたのだ。

職権乱用と言えば一切否定出来ないのだが、努力を続けている従卒への裁量としては妥当だと上官直々に言われてしまえば反論の仕様も無かったのである。




結果として言えば彼は翌日夕方頃、同行して居た陸戦憲兵隊と共に身体的には軽傷の状態で友軍に回収され、アリン東部を統括指揮するパリス東方指揮所に後送された。

彼を回収したのは偶然列車の運行スケジュール上入れ違いになった輜重隊。

彼らが語ったのは余りに非現実的な一言。

即ち。


「モッツァ軍港基地及びモッツァ軍港基地司令部は『消滅』した。」


この時点での混乱を避ける為、箝口令が敷かれ、無線及び情報封鎖が行われたが、その影響上アリンフォートの軍令本部への連絡は約5時間に渡り遅れる結果となる。


その時間差が、致命的であるにも関わらず。

閲覧頂き有難う御座います。

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