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第2章 5節

執筆時間?

奴は死んだ!もう居ない!


、、、ゴメンナサイ。

第2章 5節


アリンフォートの士官学校生は基本的に男女別全寮制の二人部屋となっている。


そもそも士官学校の入学希望者は志願した時点で寮の暫定の部屋割に組み込まれ、部屋数が足りない分の人数だけ男女別に総合成績及び最大の適性が低い者から不合格となる仕組み。

空いている部屋数は毎年卒業や除籍処分、自主退校により細かく変動し、それ以上の人数が入学式を迎える事は無い。


教育の現場としては非情ではあるが、唯の兵員では無く士官養成課程を受けるエリートとしての選別を半自動化した割り切りの基準は初代学校長により設定された時から70年、これ以上の効率を認められる基準を提示出来た者が居なかった事から、一文字足りとして変わってはいない。


ところで、エレナ=グリーシスの精神構造は日常生活の上である程度の変化を受け入れてはいるが、基本的な精神構造を守り、男性としての感覚の大半を維持している。数日前に意識した感情も、その意識を前提として成立していた。




自室の窓際で軽く微睡んで居ると、扉を軽く二回叩く音が聞こえた。

先日の一件も有って部屋割りの通達が遅れている事もあり、急いで余所行きに意識を切り替え、扉を開けて廊下を見る。


「先刻を以って同室となりました、

"メアリー=スー"二等士官候補生です!

メアリーと呼んで下さいね。

今後、宜しくお願いします!」


扉の前に居たのは敬礼した金髪の少女。

そして廊下に置かれた大口の鞄が四つ。

その敬礼を前に、

薄らぎ遠のく意識を何とか繋ぎ留め、返礼。


「"エレナ=グリーシス"二等士官候補生だ。

普段はエレナで良い。以後、宜しく頼む。

鞄を持とう。」


何とか言葉を捻り出して手を差し出し、鞄を二つ程受け取ろうとした時。此方に向けて動く袖の中へと目が止まった。

杖と、絡み付く蛇を表すブレスレット。




嗚呼。

拝啓、遥か遠き場所で既に亡き我が義父様。

貴方の義娘は恋を知りました。

貴方の義娘は幸運を知りました。


しかし我が義父様。

貴方の義娘の初恋は、実らないでしょう。

貴方の義娘の幸運は、不運の裏返しです。

何故ならば。


昔から違和感を感じている東西南北の反転した世界地図の世界で。

何処かで聞いたような神が信仰され、

信仰される神話体系が大半の国境線を決め、神話の違いで戦争になるこの世界で。


反転した西欧から北欧と言える領土を持ち、槍を持つ隻眼の戦神を主神とする神話体系のこのアリン共和国に。

雷霆を武器とした天空神を主神とする神話を仰ぐグラエシア帝国と、北方戦線で国境を巡り長年の戦争状態にあるアリン共和国に。


敵国であるアリンにおいても有名な医神に関わる古びた御守りを手首に着けた想い人が出来てしまったのです。

しかも、女性に。




エレナは何食わぬ顔で鞄を受け取り、

10年と少し前に会った女神を呪った。


やってくれたなあんちくしょう。

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