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仕事の遅れを取り戻すため、ちょっと無理してる間に、シシリーが領主館へ行ってしまった。本格的に冬に入って、仕事仲間とはいえ、小物担当のジーナと中々会う機会が無くなってしまう。ジーナが店と直接やり取りするようになったため、お使いも要らなくなったのだ。
結婚前の若い女性宅に用もないのに、足繁く通ってジーナに悪い評判がたったら思うと、ほいほい家まで行くことも出来ないでいる。そんなヤンに、マァヤはほいほい行けば、と言う。
「ジーナの評判に傷がついたらどうすんだ!」
「責任取ったら?」
「……」
「潔く責任とりますって言え。」
「…マァヤ、それじゃ逃げ道塞ぐだけだよ。」
まだ婚約は棚上げのままになっている。
「全くもう!少しは押すことも覚えなさい!ジーナだって口説かれなきゃ意思表示出来ないでしょ!もう、じゃあ、良い理由つけてあげる。」
「理由?」
「そうよ、訪ねる理由さえあれば良いんでしょ?ほら、思い浮かべなさい。今、シシリー姐さんいなくて、ジーナだけよ。若くて大層綺麗な娘が街外れに一人。治安は良いけど、外れだから外灯無いし暗いよ~。どう?」
真面目な話してるのに、この期待した目はなんだろう。マァヤがじわじわと不安を煽る言い方をする。
「どうって…。」
「間違ってもジーナには言わないけど、ほんとに心配なのよ。雪なんか降ったら閉じ込められるし。市場も新年はしまるし、いつもなら冬はシシリー姐さんがいるけど、今回早めに帰ってきたから。知り合いが顔だすだけでも安心すると思うな。ねぇ、心配じゃない?」
けしかけたいだけではない気持ちを滲ませて、マァヤが言うと、
「分かったよ。日のあるうちに顔だすよ。別に暇ないわけじゃないし。」
むしろ、会いたい。ずっと側にいたいが節度は守るべきだろう。
「じゃあお願いね。悪さしないでね。」
ニッコリ笑って、さっきまでの責任どうのこうのの唆しを無かったことにするマァヤに、ヤンはジトっとした目で答えた。




