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5-2

「これはジーナ様、お越しいただいて誠に申し訳ありませんが奥様とリラーシャ様は外出中でして。」

グラーゼ家の執事がそう言うとジーナは、

「いいえ、今日は執事様と、メイド長さまのお時間を頂きたいのですが。」

「私どもですか?」

「はい。衣装をお任せいただきましたが、貴族の皆さまの装いのマナーは恥ずかしながら勉強不足でして、リラーシャ様にお見せする前に見ていただこうと思いまして。」

執事はふむ、とジーナを見やり、

「では、しばらくお待ちを。メイド長を呼んでまいります。」

近くを通ったメイドにジーナを部屋へ案内するように言うと、自らメイド長を呼びにいった。



 「マリラ、時間をもらえるかい?」

「何でしょうか?」調理場で何事かを話していたメイド長のマリラは、訝しげに尋ねた。

「リラーシャさまの仕立て屋が来ていてな。話したいそうだ。」

執事がいうと、マリラは幾分か目を細めると

「私どもは関係ないのでは?」

「私もそう思っていたが、いささか態度を改めねばならないようだ。」執事は少し顔を綻ばせて

「どうも貴族の方ではないことを忘れていたようだ。」




ジーナは二人がやって来ると、改めて挨拶した。ソファに腰掛けると、

「お忙しいところ申し訳ありません。是非ともご意見を聞きたくて。」

丁寧な物言いにマリラもやや見方を変えた。

「お話しと言うのは?」

水を向けてみると、ジーナは持ってきたドレス画を取り出して、テーブルに広げた。

「取り敢えずこの間リラーシャ様からのご希望を聞いて書いてみたのですが、一番差し迫っているのはお庭でのパーティでしたよね?」二人の顔を見ると、頷いている。

「初夏なので涼しげで、軽やかなものをとおもったのですが、……ええと、これとこれかな…リラーシャ様のおぐしの色と合わせてみたんですが、パーティで何かマナー違反になるような所はごさいますでしょうか?」

真剣な顔で聞くジーナに、執事もマリラも少し驚いているようだった。

「私の作ったものを大変気に入ってくださっているので、リラーシャ様が喜んでくださればとは思うのですが、マナー違反の仕立てたドレスでリラーシャ様に恥をかかせてはと…」

ジーナは思わずまくし立てていたことにハッと気づいて、最後は尻すぼみになった。

更に驚いた様子の二人だったが、マリラの方から

「こちらとしても助かります。実のところ少々不安でしたから。」

はっきりと言われてジーナは顔色が悪くなる。

「あ、今は違いますよ。安心してお任せできます。リラーシャ様の社交界デビューですもの、是非とも参加させてくださいな。」

社交界デビューなんて聞いていないジーナは真っ青になった。

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