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家に着いたものの、誰も話を切り出そうとしない。ヤンは、やっぱり来るべきでなかったと思い始めていた。それぞれ好き勝手に家の中におり、話し合いの気配の欠片もない。居間で辺りをうかがいながら、花密茶を飲む。
(そういえば、新しい仕事どうしようか。花密はどうかな、でも確か南の方から沢山きてるからこそ、家みたいな庶民が飲めるのだし…)
段々仕事の考えにふけって、呼び掛けに気づくのが遅れた。
「いつまで居んの?」聞いてきたというより、帰れと言わんばかりの声に顔をあげると、弟が不愉快そうに立っていた。