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ジーナの作る服はあくまで庶民向けだ。グラーゼ家のような貴族階級の着る服ではない。仕立ての評判を聞いて家での普段着を仕立てたいという話だったのに、話は転がって、夏前の庭で行うガーデンパーティのためのドレスになり、さらに何着か作るという大事になっていた。ジーナは珍しく必死で断ろうとしていたが、グラーゼ夫人とドレスを着る本人のリラーシャの熱気に押しきられてしまった。
帰り道、疲れきっていたが、グラーゼ家からの馬車を断り、家まで歩いていたジーナは、ふとグラーゼ家のお嬢様はどこからジーナの事を知ったのだろうと考えた。