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家の裏山に迷宮できました。  作者: ちゃぼ
プロローグ
5/28

05:1号迷宮埼玉を襲撃!

 それは僕が高1の晩秋のこと、僕は農林祭の準備に忙しかった。農林祭っていうのは、要するに学園祭だよ。生産物や加工品の直売したりするんだ。『の○りん』読めば詳しく書いてあるよ。これ豆な、農林高校だけにつて。ごめんなさい、調子に乗りました。許してください。

 確か某埼玉県K市での出来事だったと思うけど、公園に突然穴が開いて子供が落ちて大怪我をしたってのが始まりなんだ。2メートル四方の大穴で、偶然その上にいた子供が落ちた。すぐにレスキュー隊によって救助されたけど、穴は4メートルくらいの高さがあったようで、骨折と全身打撲で一時意識不明の重体だったらしい。すぐに意識を取り戻し、今では後遺症もなく元気で生活しているって聞いたよ、よかったよかった。

市ガー、県ガー、国ガー、安全管理ガー、法律ガーって、プロ市民の皆さんは大声で溌剌と、とっても元気だったらしいよ。あの人たちいつも大声で元気なんだけどね。


 公園を含む一帯(・・)はすぐに封鎖され、原因究明が行われた。なぜ一帯を封鎖したのか、穴に突入したレスキュー隊員がこう証言したからさ、「穴の底には直径100メートル位の空間があった」ってね。でも、それは有り得ないことだったんだ。穴の位置は地下空洞の端っこ、空間が広がっている先にはマンションがあり、そこには地下駐車場(・・・・・)があるんだから。もちろん地下駐車場は無事、地下空洞も存在している、両者が重なり合う位置に。そこにあって、どこにもない空間、後に埼玉1号迷宮と呼ばれることになる迷宮さんが、日本人の前に初めてその姿を現したんだ。

その空洞はいかなる調査方法でも測定できなかったらしいよ。超音波とか・・・えっと、超音波とか?ごめん、よくわかんないや。とにかく、機械上は空洞どころか、入口の穴ですらそこにあることを検出できないんだ。すごいよ!!迷宮さん

 ご丁寧にも迷宮さんは入口の穴に階段を付けてくれた。知らない間にできてたらしいよ。それまでは懸垂下降しないと入れなかったからね。度胸一発飛び降りることも出来たかもしれないけどね、帰りは知りませんけど。これで幸か不幸か内部調査に人数が投入できるようになったんだ。空洞の、まあつまり迷宮さんのエントランスホールだよ、奥にある地下への階段の調査のためだね。

警察と消防の合同で調査が行われることになったんだけど、主導権争いでまず大変だったらしいね、よくあることだけどさ。結局は警視庁が主導権を握ったそうだよ。

このあたりややこしいよね、警察庁・警視庁・県警、消防庁・東京消防庁・県消防。消防庁と東京消防庁なんて誰得でこんな名前になってるんだろう。

主導権争いの対策会議で、魔物がいるに違いないから自衛隊に協力を要請しようと発言した賢者、ある意味勇者かな、がいたが一笑に付されたって話も聞いたけど、これは多分ネタだろうね。その当時じゃゲーム脳乙としか言えないもんね。それに当時の内閣では自衛隊なんてとてもムリだね。

その間、迷宮の情報は一般には伏されたままだったんだ。尤も、勘のいい人たちを発信源に、何かおかしいというので一部のインターネッツで話題になってたらしいけどね。


 いよいよ迷宮さんの探索がスタートしたわけなんだけど、これは子供の転落事故から2週間後のことだったんだ。

 警視庁の警察官を中心とした12名が先行隊として、エントランスホールより迷宮の中へ記念すべき第一歩を踏み出した。警察官は念のため警棒と拳銃を装備し、消防官は鳶口を持っていったらしいね。鳶口というのは長い棒の先に横向きの鳥の嘴のような金具を付けた消防用具で、主に破壊消火に用いるものだね。

階段を下りた先は高さ4メートル、幅4メートルの石造りの薄暗い通路だった。僕も一回行ったことあるけど、これぞ迷宮って感じで雰囲気いいよ。ここの迷宮さんはホントGJだよ。

 そして、かの賢者の言は正しく、やっぱりいるんですよ魔物が。賢者の実在はともかく、魔物は実在しました。

ファースト・エンカウントは全長1メートルの巨大ナメクジ・ジャイアントスラグ2体。結果は・・・人間側の完敗で、殉職者が2名出たらしいです。

ジャイアントスラグって普段の行動は遅いけど、襲いかかるときは急に速くなるんですよ。あと、伸びる。最大長って3メートルを超えるんじゃないですかね、かなり遠い間合いから警戒しないと危険な魔物ですよ。ナメクジなんで壁や天井に張り付いてて、奇襲されることもあるので要注意です。

そんな情報はかなり後で確立されることになるので、初見はいつも気の毒というより他にないですよね。今回も壁からの奇襲だったようです。初見であり、魔物がいるなど想像もしておらず無警戒だったうえに、奇襲攻撃でエンカウントって難易度高いですね。ムリゲーってやつでしょうか。

残りのメンバーも何とか仲間を救出しようと奮戦したようです。警棒で殴り、鳶口で引き剥がそうとしたり、突き立てたり。最後には仲間に当たるのも覚悟で、拳銃を発射したようですが効果はありませんでした。通路の奥から新たな魔物が接近してたこともあって、とうとう仲間を見捨てて撤収せざるを得なかったそうです。その時にはすでに、犠牲者はピクリとも動かなかったそうですが。


 殉職者が出たこともあり、とうとう政府も情報を公開せざるを得なくなりました。実はこのとき、国内で第2、第3の迷宮が発見されており、更なる激震が走りました。第3の迷宮、高知県3号迷宮で民間人の犠牲者が出たのです。中の様子を見てくると言って入っていった男性が、帰ってこなかったそうです。その事件を嗅ぎ付けたマスコミは政府を糾弾します。この当時の内閣って・・・ねぇ。

 糾弾された政府は迷宮の魔物の殲滅に乗り出さざるを得なくなりました

 陸上自衛隊の投入です。

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