*安堵の刹那
息も絶え絶えになった頃──目の前が開けてきた。ようやく村に到着したようで、ケイトは安堵の表情を浮かべる。
ベリルたちを見た村人たちは一瞬、警戒したが現地語を話せるベリルと数人が説明を始めた。
しばらくそれを見つめ、理解した村人たちが笑顔を浮かべる。
「皆を集めてくれ」
確認し、落ち着いた所でベリルが仲間たちに指示を下した。
「この広さなら輸送ヘリも着陸出来るだろう」
スティーブが栗色の短髪を整えながらベリルに発する。
村はケイトが考えいたよりも大きかったようだが、半数以上はすでに逃げたあとらしく、ここに残っているのは数十人ほどと見受けられた。
ライフラインの敷かれていない村は簡素で、およそ清潔とは言い難い環境だ。
逃げる準備をしている村人を持つ間、他の人々が傭兵たちにお礼の品を渡して歩いていた。
「!」
その様子を写真に収めていたケイトの前に、男の子が笑顔で何かを差し出した。それは果物のようだが、助けに来た訳ではないケイトは戸惑う。
「あ、私は──」
ケイトが口を開いた刹那──辺りに破裂音が響いた。
「!?」
少年が倒れ込み、ケイトが駆け寄ると足から血が流れていた。