病んでる転校生。
「さ、降りな」
エリンにそう言われ、三人は降りる。そこは人集りが多い、街中。
大きなビルや、信号、交差点、木が少し植えられている。と感じだ。エリンが淡々と歩く後を三人はついていく。さくが逃げようとしたが、エリンに目をつけられ逃げるのは不可能になった。三人は大きなビルの入り口に立つと、エリンが何かの手続きをしている。
それが終わったらしくやっと、中に入る。そこはとてもシンプルで、四角い真っ白な白タイルの床。あるものと言えば、植木にある木位だ。エリンがちょっとそこで待ってな。と言うので三人は止まった。白タイルの少し先になると、色が若干違うタイルになっている。エリンはそのタイルの上で、踊っている。しばらくするとピピッと音がなり、
何もなかったはずの壁が開いた。どうやら、エレベーターらしい。さくは なるほどっという表情だ。
そのまま、エリンに続いて三人はエレベーターに乗り込む。エレベーターは下に降りていく。着いたと思いきや、また先程と同じような部屋。エリンが踊って、またエレベーター。これを4度やって五度目の時。
「面倒くさいわね!!この野郎!!」
エリンは叫んだ。じゅんたの手がピクッと動いた。
「エリン。どいてみて」
「あぁ?!」
エリンが何か言おうとした直後。じゅんたは素早く銃を取り出し、タイルに弾を打ち込む。弾がタイルに弾かれて、そこらに転がる。ピピっと音が鳴り、エレベーターが開く。
「なんで、暗証知ってんのよ」
「知らない」
じゅんたはおもむろに銃を下げながら目をそらす。それを見たエリンはじゅんたの襟元を掴み、上に持ち上げる。じゅんたは爪先立ちになった。
「ちゃんと答えなさいよ!認証暴かれてはこっちが困るのよ!!」
「あんなの適当にやれば開くもんでしょ?早く乗らないと。予想外なハプニングでも起きたら、困っちゃうでしょ?」
じゅんたは尚も目を逸らしながら、不自然の無い笑顔をする。エリンは口をとんがらせて、じゅんたを投げるように離す。4人はエレベーターに乗り込む。次の階に辿り着くと、今度はクオリティが高い秘密基地並みに道がある。
「今日でこの道覚えなさいよね」
そう言って、エリンはブーツの音を響かせながら歩いてゆく。しばらくすると、広い空間に辿り着く。そこには少数の人が床に座ってたり、立って飲み物を飲んだりしていた。ほとんどの人がエリン達に気づき、注目する。エリンはその人達の前に立つ。
「お。レヴィンじゃないか」
一人灰色の服の男がじゅんたに向かって言葉を放つ。それを聞いた周りの人はざわめく。
「おいおい。レヴィンが戻って来るわぇねぇだろ?」
金髪のいかにもヤンキーぽい男が飲み物を横に軽く振りながら答える。
「ケイド。当たりよ。私がちゃーんと、連れ戻して来たのよ!!」
エリンが灰色の服の男にそう言葉を投げる。灰色の男、ケイドは目を輝かせる。一方、金髪男は顔を真っ赤に染め上げ
「ふざけんじゃあねぇぞ!!裏切り者をまたここで使う?非常識にもほどがあるぞ!!!」
そう吠える。それに続いて、他の人も似たような言葉をエリンにぶつける。
「まあ、落ち着きな。今のこいつなら私の怖さと裏切ったらどうなるかは理解できてるようだからね」
エリンは平常心を保ったまま放った。
周りの人は疑いの目。ケイドは少し残念そうな顔をしていて、金髪男はじゅんたに目をやる。じゅんたはやはり目を逸らしている。
「おい。レヴィン」
「久しぶりだね。メルド・・・」
「なんだ。覚えてぇいたのか」
「まあ、僕はある程度の事は大体なわけで・・・」
じゅんたは言葉がおかしくなっていた。
「大丈夫か?」
さくはじゅんたに小さな声で話しかける。
「もう、駄目かもしれない。もう、駄目かも・・・」
「落ち着けっ!お前がしっかりしないと、俺もしんなもここで終わってしまうだろ!」
じゅんたはさくの方に凭れかかる。そして、そのまま倒れた。
「お、おい!じゅんた!!じゅんた!!」
さくはしゃがみ込みじゅんたに叫ぶ。周りの人達は冷たい目線をそちらへ向けていた。
「ハイドは少し調子が悪いようだから、後にこいつらを紹介する。では解散」
エリンは無言でじゅんたを抱え、先に進んでゆく。
「じゅんたをどうする気だ・・・・」
さくはエリンを睨みながら言う。しんなは無表情でついて行く。
「あんたさっきからうるさわね。黙るという事を知らないのかしら?後、こいつの事はハイドかレヴィンって呼びなさい。ここではコードネームで呼び合うのがルールなんだからね。」
「なんだよっ!それ!!!」
「あんたのコードネームはレオ。そしてあんたは・・・」
エリンはしんなの方を見て息詰まる。考えこんで
「インでどうかしら?」
しんなは何かとても嫌な顔をしたが、エリンはそれを無視し、進む。
エリンは壁に手を当てた。そうしたら、ドアノブが出来た。そこに思いっきりじゅんたを投げると、すぐにドアを閉めた。
「お前!!」
さくは文句をつけようとした。けれど、エリンは先に進む。
少し離れたところにエリンはまた壁に手を当て、ドアノブを出した。
「あんたらの部屋。自分のコードネーム忘れるんじゃないわよ」
「ちょっと待てよ!!なんで、じゅんたは違う部屋で俺としんなは同じなんだよ!」
エリンは銃をさくに向ける。
「あんたは黙って私の言う事に従えばいいのよ。次、コードネーム以外の名で仲間を呼んだら」
エリンはもう片手で銃をもう一丁持ち、しんなに向ける。
「インを殺すわよ・・・?」
さくは黙った。しんなは自分の部屋へ入る。さくも渋々入る。
そして、ドアを閉めた。
「はあ。最悪だぜ。しんなはどう思う?」
「楽しそう」
「お前、馬鹿じゃねーの?運悪きゃ死ぬぞ?」
「・・・・」
部屋には二段ベットや机、冷蔵庫などがあった。ドアを開けて、さくは左右を確認した。殺風景じゃん・・・と思いながらじゅんたの部屋へ行く。しんなはそのまま部屋にいるらしい。さくがじゅんたの部屋の前にたった時。
「ここから出せぇぇぇえええええぇぇぇぇええ!!!!」
じゅんたが叫んでいる。さくは驚いて、ドアノブに手を掛けるものの開かない。
「おい!!大丈夫か!!」
さくの声が聞こえてないのか、ドアに思い切り何かをぶつけているようだ。銃声も聞こえてくる。連射がしばらく続いて、じゅんたが叫ぶ。さくは焦る。一体じゅんたに何があったのか?それすらも理解が難しかった。
「あんた、何やってんの?」
どこからか、エリンの声が聞こえる。さくはびくっとする。
「お前、じゅんたに何したんだよ!」
「どうも何もしてないわ。こいつの薬が切れて、勝手にキレて、勝手に暴れてるだけよ」
「嘘つけ!!」
「嘘じゃないわよ。しばらくすれば力尽きてまた倒れるか、舌食いちぎって死ぬでしょ」
次はじゅんたの笑い声が聞こえてきた。それと共に、また銃声が聞こえる。
「イカれてるわね。完全に」
エリンはやれやれといった感じの声で、
「まあ、落ち着いたら、この鍵も解除するわよ。だから、あんたがこいつの部屋へ入って、何でもいいからこのイカれた頭をどうにかしてよね。じゃ」
そう言って、エリンの声は途切れた。しんなが来た。
「しんな。来ちゃ駄目だ!」
そう さくが言うものの、しんなはじゅんたの部屋の扉に触れる。すると、騒がしかったその部屋が静かになった。かちゃっと音がしたと思いきや、しんなはその部屋へ入る。
「やめとけ!危ないぞ!」
部屋は火薬の匂いと空薬莢がバラバラに転がっており、銃が何丁も落ちていて少し温度が高かった。その部屋のど真ん中にじゅんたが倒れていた。
「誰・・・・・?」
じゅんたはそう力無く言う。しんなは歩み寄る。薄暗い部屋の中でしんなはじゅんたの前でしゃがみこむ。
「私の名前はしんな。コードネームはインだよ」
そう、柔らかい声でしんなは言う。
「コカイン・・・・?」
「何それ。違うよ。イン」
「しんなかい?」
「そう。でも、ここではインらしい」
「ごめんね。僕、もうボロボロだよ・・・・」
「そんな事言わないで?しばらく寝たら、治るよ。」
「ありがとう」
そう言って、じゅんたは目を閉じた。しんなはすくっと立ち上がり、部屋を出る。
「どうだった?」
「寝た。」
二人は部屋に戻った。
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