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少年漫画ラブコメ主人公 VS  少女漫画ラブコメ主人公

作者: ビリリねこ



アナ「中継をご覧の皆さま、こんにちは。本日、アナウンスを務めさせて頂くタバタです」


アナ「そして、この注目の対戦を解説して頂くのは、少年漫画誌で一世を風靡した桂田リョウさんと、少女漫画誌で三冠を獲られた相澤ヨーコさんです。お二人ともよろしくお願いします」


リョウ&ヨーコ「「お願いします」」


アナ「さあ、本日の舞台はこちら、『放課後の教室』 です。この舞台についてお二人の感想は? まずリョウさん」


リョウ「この舞台は少年誌的には定番ですので、十分力を発揮してくれるんではないでしょうか」


アナ「なるほどー。ではヨーコさんはいかがですか?」


ヨーコ「この舞台、少女誌でも定番ですので、お互い得意なフィールドでのバチバチの戦いを見せていただきたいですね」


アナ「ありがとうございます。3本勝負の1本目、まもなくゴングです」





 いつもは騒がしい校舎も、放課後となると生徒はまばらで、差し込む夕日が一抹の寂しさを掻き立てる。


 外から聞こえる運動部員たちの声が、なぜかそれを一層強めていた。


 私は忘れ物を取りに教室へと入った。

 忘れられない記憶となる、その教室に。





アナ「さあ、青コーナーの少女漫画ラブコメ主人公のアヤ選手が入場して来ました。コンディションの方はどう見えますか? ヨーコさん」


ヨーコ「昨日練習を見させてもらったんですが、非常に良さそうでしたね。何やら秘策もあると言っていたのでそれにも期待したいです」





「あ、やべっ」


 オレは体操着を忘れているのに気づいた。


「ちょっと教室行ってくる。先に行っといて」


 坂本にそう言うと、オレは教室へと急いだ。





アナ「さあ赤コーナーの少年漫画ラブコメ主人公のヒロシ選手が入場しました。なかなかあっさりした入場でしたが、これをどう見ますか? リョウさん」


リョウ「入場ではなく、戦いを見せたいんだという闘争心の現れだと思いますね。いい戦いが期待できるんじゃないでしょうか」





 教室のドアを開けると女子が一人机に座っていた。


「あれ? アヤじゃん。何やってんの?」

「あ、ヒロシ。いや、忘れ物しちゃって」


「へー、お前でも忘れ物することあるんだ」

「え? そりゃああるでしょ」


「いや、だってお前超頭いいじゃん。みんな言ってるぜアヤは何をやらせても完璧だって」

「そんなこと言われても……。別に普通だし」





アナ「さあ、この序盤の展開どう見ますか?」


リョウ「まだお互い様子を見ている状態ですね。ただヒロシ選手はちょっとセリフに力みがあるように見えるので、落ち着いた方がいいかもしれません」


ヨーコ「どちらが先に仕掛けるか。先に仕掛けた方が有利と見るべきでしょうね」





「いたっ!」

「どうした?」





アナ「おおっとコレは、アヤ選手が誘っています」


リョウ「これ、乗っちゃいけませんよ」


ヨーコ「いい引き込みですよ」


アナ「手元の資料によりますと、『貸せよ、オレがやってやるよ』 とヒロシ選手が言ってしまうとKOとなります」





「いったー、さっき足挫いちゃって」

「そんなに痛いなら保健室で見てもらった方がいいんじゃないか?」


「いや、保健の先生居なかったんだよね。だからテーピングだけこっそりもらって来たんだけど、自分じゃ出来なくて」





アナ「さあ、これは危険なポジションになって来たぞ!」


リョウ「ヒロシ選手、間合いとった方がいいですね。距離が近すぎる!」


ヨーコ「これ『KO』ありますよ!」





 痛そうに足をさするアヤを見てオレは思わず言った。


「テーピング貸せよ、オレがやってやるよ。オレよく自分でやるから」





カンカンカン!!


アナ「決まったー! ここでゴングー!! 少女漫画的『保健室の先生居なくて代わりに治療してくれる』テンプレ炸裂ー!!」


アナ「今の試合振り返って見ていかがでしたか? まずはリョウさん」


リョウ「ヒロシ選手はちょっと力みすぎでしたね。しかしその隙を逃さず決めたアヤ選手の一本、見事でした」


アナ「ありがとうございます。ヨーコさんはいかがですか?」


ヨーコ「アヤはあまり緊張しないと言っていたので、やはりメンタル的な部分が勝敗を分けたのかもしれません。ですがまだ三本勝負の一本目ですので、ヒロシ選手の次の試合に期待したいですね」


アナ「ありがとうございます。続けて二本目が始まります」





「そういえばヒロシって、10年前ぐらいに菜朗町に住んでなかった?」





アナ「さあ、2本目も主導権を取りに行くのはアヤ選手」


リョウ「アヤ選手、間の取り方が上手いですね。ベテランの域に達してますよ」


ヨーコ「ヒロシ選手、これを獲らせたらいけませんよ」


アナ「ヒロシ選手は顎が細く、肩幅が広くなっています。まだ先ほどのダメージが残っているようです」





「あ、もしかしてアヤって幼馴染のアヤ? やっぱりか、なんか似てるなと思ってた。あの頃うちの親が仕事でほとんど家に居なかったから、ご飯作ってくれたり、朝起こしに来てくれてたっけ」





アナ「ここは強引にかわします、ヒロシ選手」


リョウ「いいですね。少年漫画ラブコメのテンプレで切り返しました」


ヨーコ「ヒロシ選手、何か仕掛けそうですよ」





「っとと」


 オレは自分のロッカーから体操着を取り出してアヤの方を振り返った。瞬間、急に足がもつれ、椅子に座るアヤめがけて倒れ込んでしまった。


「わわわー」

「え、ちょっ」





アナ「おおっとこれはヒロシ選手、自ら足を引っ掛けて突っかかって行ったぞ! これは少年漫画ラブコメ的ラッキースケベ狙いかー!」


リョウ「決めろ!」


ヨーコ「少女漫画のヒロインにこんなこと……、絶対避けて!!」





 倒れ込んでくるヒロシを見ながら、私はカバンの中にあれが入っているのを思い出していた。

 




アナ「おおっと、アヤ選手カバンの中から何かを取り出したぞ!」


ヨーコ「あれは!?」


リョウ「バカな! ここでやるつもりか!?」





 私はこんがり焼けた食パンをくわえた。





アナ「アヤ選手、食パンをくわえて前傾姿勢で走り出しヒロシ選手を迎えうちに行った! 真っ向勝負だー!」


アナ「どちらの技が先に当たるのかー!!」





「ママー、抱っこしてー」

「えー、今無理だって。両手に荷物持ってるでしょ」


「ママー、抱っこー」

「ほらー、見てよ。両手塞がってるってば」


「だっこぉー!」

「もう5歳なんだから、人の事を考えられるお姉さんにならないとダメよ」


「だっごぉぉー!」

「はー、しょうがない。ほら」


 母は荷物を手首にかけると娘を抱っこした。


「これで満足かー?」


 聞くと


「ママ好きー」


と笑顔で答えました。

 腕は疲労困憊ですが、娘の笑顔で力が湧いて来ます。


「私もよー」


 そのひと時には、何ものにも変えがたい輝きがある。



——相澤貴金属





アナ「さあCMをまたいで、2人の激突の行方は!」





 ごっちん!

 

 おでこ同士がぶつかりふたりは吹っ飛んだ。

 ふたりとも意識を失った。


 



カンカンカン!!


アナ「アヤ選手の食パンダッシュが炸裂ー!!」


リョウ「……負けた」


ヨーコ「……」


アナ「おおっと、ここでレフェリーのジャングル・タネマキが手を振っています」


アナ「これは……、ノーコンテスト? ノーコンテスト裁定?」


ヨーコ「私から説明させてください」


リョウ「……?」


アナ「ヨーコさん、どういう事なんでしょうか?」


ヨーコ「実は食パンをくわえて角でぶつかるヒロインは少女漫画には存在しないんです」


リョウ「!?」


ヨーコ「『食パンをくわえて走る』、『遅刻しそうで角でぶつかる』、これら1つ1つは定番です。ですが、両方を合わせたものは少女漫画にはありません」


ヨーコ「なので、先ほどのアヤ選手の攻撃は無効という事になります」


アナ「ヨーコさんの解説に、レフェリーのジャングル・タネマキが大きくうなずいております」


リョウ「結果的に、決着がつかず引き分けという事になりましたがこれでよかったように思います。少年漫画、少女漫画それぞれに優劣をつける必要はないでしょう」


ヨーコ「私もそう思います。ですがともかく今は、両選手に拍手を送りたいですね」


アナ「解説席のお二人が両選手を讃えます」


リョウ「ヨーコさん気が合いますね。どうですか? 今晩ディナーでも」


ヨーコ「え? 無理」


アナ「さあ、何やら勃発しておりますが、この辺で中継を終わりたいと思います。ご視聴ありがとうございました」






ラブコメあんまり読んだ事ないですすみません⊂((・x・))⊃

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― 新着の感想 ―
発想が素晴らしいです。まさかCMを間にはさむとは,驚きです。しかもラストの小道具のパン、お見事としか言いようがありません。面白かったです。
改行がおかしくて読みにくい
 なっ……なんですかこれwww よくこんなネタ思いつきますねwww 嫉妬しそうです。  このネタ、仮に私が思いつけたとしても作品にするのは無理だと思います。オチまで持っていけません。 「テンプレvs…
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