表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瞬きひとつで世界が変わった  作者: ろみ
序章 - 道化舞台
44/66

44.魔道具とは

──────────

【魔道食料庫】

 

 〜いつでも新鮮な食べ物をあなたに〜


 食料を貯蔵するべく作られた魔道具。

 魔法により内部の空間が広げられており、容量不足に難儀すること無し。

 内部の時が止まっていることもあり、食料保存の最適解と言えるかもしれない。

──────────


 鑑定しようにも何を知りたいと願えばいいのか分からずこの結果となった。

 何故私の手を挿入できるのか知りたいのだけど…


(転移扉…)


 魔法で新たに空間を作り、そこに出入口となる扉を設置するだけ。

 つまり、元々この世に存在していなかった空間が作られたということ。

 私はそこを通れている。


(んー?)


 やはり自作の異空間に私自身を収納しようとしても行えない。

 私の魔力で作られたはずのものなのに受け入れられないとはこれ如何に。

 あまりにも気になるので書庫で調べてみよう。




***




 というわけで書庫にやってきた。

 まずは魔道具について理解を深めよう。

 何か取っ掛かりを掴めるかもしれない。


──────────


 魔道具とは陣が刻まれた物をそう呼ぶ。

 おそらく分類が曖昧だ。

 例えば、陣を描いた服を魔道具と呼ぶのかどうかは定まっていない。

 この家にも刻まれている。

 壁や天井に模様の意味も込めて。

 おそらく、おそらくだが、空間そのものにも刻まれている気がする。

 さて、この家や書庫を魔道具と呼ぶかというと否。

 だけど、一応、魔道具に含めることもできるのだろう。

 あくまで現時点ではそう思う。だ。


 さて、陣には種類がある。

 だい分類と呼ばれる大きな括り。

 ちゅう分類、しょう分類という言葉も出てきたね。

 カテゴリー展開と同じだ。

 魔道具製作に使用される陣を展開すると、基礎陣、許可の陣、糸陣しじん…などなどが大分類として出てくる。

 全てを説明するには多くの時間を要するので今回は許可の陣に焦点を当てよう。


 許可の陣を刻んで作られた魔道具は珍しくないようだ。

 許可の陣は更に細分化され、主登録の陣、使用者登録の陣、数の陣などを纏めてそう呼ぶ。

 更に“数の陣”はを細分化と。

 使用可能人数を示す陣が代表格だね。


 許可の陣は設定が細かいほどに紋様が複雑化するそうだ。

 つまり、製作難易度が上がるということ。

 数の陣に関しては数が少ないほどに複雑となる。

 ”許可条件無し&人数制限無し”というのが1番簡単らしい。

 許可の陣を刻まなければ自ずとそうなるんだって。


 許可の陣が刻まれた魔道具を使用するには、まず主登録が必要となる。

 主登録の陣に誰の魔力も通っていなければ、誰にも使用ができない状態。

 その状態で定められた量の魔力を流せば自ずと主になるのだとか。

 そして、主が魔力を流した状態で他の者が魔力を流せば使用者登録が完了する仕組みとなっている。

 つまり、あの魔道食料庫と転移扉は許可が出なければ使用できない。

 使用許可が出た者ならば入り込めるとは恐ろしくもあるね。

 閉じ込められたらどうするんだ。


「んー」


 結局、私が所持する異空間に生物を入れられない理由が見えないままだ。

 この手を受け入れるつもりで手を伸ばしても弾かれる。


「そうじゃなくて、えぇっと…」


 とりあえず、他人が所持している魔道食料庫やそれに似た道具に私を入れることはできないと分かった。

 その道具の主と私自身が魔力を流さない限り。


「うん」


 それならば許可を受け入れなければいいだけだ。

 共同で使うような物にも私はれない。

 それでいこう。


 残る疑問はいつの間に私は主人になったのかという点だ。

 魔道食料庫にも転移扉にも魔力を流した覚えはないし、あの骸骨様から許可を得てもいない。

 許可を出すには2名が揃っていなければならないのでしょう?


(何が起きている?)


 全てを託そう。

 あの本を開いた際に何かあった気はしていない。

 師匠から弟子へ向けた文面が記されたあのノートこそと思ったけれど…


「んー?」


(あれ?この家も魔道具?まぁ、許可の陣が無かっただけか…いや…あれに何かあるのか…)


 自然と足が動いた。




***




 場所は玄関先。

 玄関ポーチとも呼ばれる。

 そこに嵌め込まれたとある魔石を見つめながら思考を巡らせること数分。


(この石はなんなんだろう?)


 家の一部なのか、そうではないのか…。

 魔力を一定量当てれば扉が開くことはなんとなくで理解したが…


──────────

【開閉譲渡許可石】


 とある扉の開閉を可能とする。

 一度だけ設置物の権限を移行させることが可能。

 主人として設置物の使用許可を与えられる。

 対象は人間のみ。

──────────


「なるほど…なるほどなのか?」


開閉譲渡許可石かいへいじょうときょかせき…)


 まさかこれ自体が魔道具だとは思わなかった。

 壁に嵌め込まれたただの魔石ではなかったのか。

 家を含めてひとつの魔道具となっているのか、石自体が魔道具となっているのかは分からない。


(曖昧でも鑑定が発動するの?もうほんっとに訳が分からない)


 スーッと魔力を魔石に向けたもんだから鑑定が発動したことは理解した。

 もう解析はやめだやめ。


「えぇっと…設置物の権限…とは?」


 この石が設置されている家を“設置物”と言うならば、魔道食料庫と転移扉を使用できる理由が不明だ。

 となると、師匠は陣で“設置物”を指定しているのかもしれない。

 もしくは、“家の権限を移行”には家財道具の持ち主変更も含まれるのか…


「分からないなぁ…」


 誰かがここを訪れ私がこの家への入室許可を出したとき、その方はあの魔道食料庫を使えるのか否か。

 そうして確認しないことにはねぇ。


(まぁ、いいや)


 本日解決したかったのは荷物問題だ。

 続いて、異空間に何を収納可能なのかという点。

 魔法や武器を奪われる可能性があると頭に入れながら鍛錬に励みましょう。


(あ、そうだ)


 仮に収納に魔法や生きた生物を入れられないならば盾代わりにならないだろうか?

 跳ね返すのならば魔法の威力関係なくこの身に届くことはない…


(いやいや、まだそうと断定できてないんだ)


 そのつもりで展開して魔法がこちらに通ったら最悪だ。

 魔物が収納をものともせずこちらに突撃してきたら瀕死か即死か。

 それに敵が一体とは限らない。

 向けられる魔法がひとつとは限らない。


(無しだな)


 アホなことを考えたとさえ思う。

 さっさと忘れて次に移ろう。


「さてと…」


 作業部屋と物置部屋と屋外を行き来することになりそうだ。

 この機会に魔道具についての理解を深めよう。

 どのような魔道具が存在しているのか予想立て、仮に攻撃の道具とできる物があれば対策を。

 対策を練れなくとも、こんな物があるかもしれないと思うだけマシに思う。

 陣に関する知識や経験は転移を目指すのに役に立つかもしれない。

 とにかくこれもまた理解を深めて損のない分野に思う。


(まずは陣を刻むとは何か…からかなぁ)


 書庫にも多く足を運ぶことになりそうだね。

 頑張りましょう。

 そうして時は流れていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ