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【MMOで〇〇作り】配信で作った川に水竜が住み着いたんだけど  作者: 荼枳尼天
原始人編

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無職やめろや!!

説明回です。



「ま、って〜!!」


 遅い足を必死に動かして階段を駆け下りる。

 すぐに階下に下りることができた。


「……マジか」


「きゅ、きゅ」


「きゅ〜?」


「きゅー!」


「きゅうきゅ〜」


 そこには、カーバンクルの楽園が広がっていた。


【カーバンクル楽園に到達しました】


《ワールドアナウンス。初めて魔獣の生息地が発見されました。》

《到達者 無職Lv.1》


【【称号 : カーバンクルの発見者】Lv.1を獲得しました】


「無職やめろや!!」


「「「きゅ?!?!」」」


「あ、ごめんなさい…」


 ワールドアナウンスに煽られるナナイ。

 さすがに黙っていられず叫ぶと、周りをチョロチョロしていたカーバンクル達が驚いて物陰に隠れてしまった。


:ワールドアナウンスに煽られる無職

:やーい!無職無職!!

:草

:まって、畳み掛けてこないで

:魔獣の生息地…?!


「しょ、称号ってなに…?」


:称号ってのは、偉業を成し遂げたとワールド管理AIが判断したら貰えるもの

:効果があったりなかったりする


「…効果?」


【カーバンクルの発見者】Lv.1

・カーバンクルの好感度上昇小


「…ほ、ほほう」


:サンタ?


「ほほほーう」


 カーバンクルにばかり目がいっていたが、周りの光景にも目を向けてみる。

 石室、という印象はもうない。

 よく見れば石室が元のようだが、小さな実をつけた植物が繁茂しているようで、水場もあり最早別世界のようになっている。


 光源は天井付近の光るオブジェクト。

 洞窟の周りにいた光る賜物とは違い、何やら文明を感じる。


「……電気…とは違う…宝石っぽい…?」

「はい、宝石です。輝玉と言って、人の街でも売っていますよ」


 場違いな考察をしているナナイの独り言に、先程聞こえた声が答える。

 先程とは違い、今度の声が肉声なのはナナイにもわかった。


「びっ…くりしたぁ…」

 

 とはいえ、びっくりするのは抑えられない。

 声の主を改めて見る。

 最初に目に入ったのは宝石のように光る目。小ぶりな鼻と唇に、サラリと揺れキラキラと輝く翡翠色の髪の毛。

 微笑んだまま、ナナイよりも小柄なその人は喋り出す。


「初めまして。僕は宝石の御子。名をユーウェルと言います」

 

「あ、丁寧に…初めまして、ナナイといいます」


 小柄なナナイより小さい男の子、ユーウェルは自らを宝石の御子と称した上で微笑んだ。


「歓迎します。ナナイさん」


 美少年の足元で、小さなカーバンクルがクシクシと毛ずくろいをしている。


:ショタだ

:男の子…?

:宝石の御子…?

:だ、誰なんだ…?


「む、ナナイさんが見た景色をそのまま人に伝える媒介ですか?」


「あ、ごめん。しまった方がいいかな…?」


「大丈夫ですよ。ここに入れるのはナナイさんだけですから」


 微笑みを崩さずに、ユーウェルは言う。

 このゲームのイベントは先着が基本とはいえ、発見者しか入れないエリアなど前代未聞であるため、コメントは沸く。


:千一卜…?

:やめえや

:○ートとは書いてないから

:せんいちぼく


「そうなんだ…?あ、そうだ。本題!なんでカーバンクルちゃんは」


「「「きゅ???」」」


 一斉にカーバンクルたちが振り向く。


「………あの子は、あーしに懐いてくれたの…?」


「ああ、ふふ。好奇心が強く、外を知るあの子だけがわかる事なんですが」


 2人は歩きながら話す。

 足元をチョロチョロと走り回るカーバンクルたちを避けながら部屋の奥に進んでいく。


「…あの子、狼が大嫌いなんです」


「………は?」


「ナナイさんが身につけているソレ。外に生息している狼の皮を使っていますよね?」


「は、はぁ…」


「狼に戦っても勝てる強い人間。一緒に戦えばここに帰ってこれるかも。とでも考えたんじゃないでしょうか。僕も心は読めないので、分かりませんが」


 ナナイが狼を思い浮かべたあと、この洞窟のモンスターたちを思い浮かべる。


(………明らかに狼と格が違いすぎるんだけど…??)


 狼に勝てた強い人間なら、という部分に強烈な違和感を感じるが、それもあの子の愛嬌なのだろう。


「さて、着きました」


 部屋の奥、ドアをくぐるとそこには大きな木が生えていた。

 宝石のような実がなっているのか輝玉の光を反射してキラキラと輝いている。

 枝葉を足場にしてカーバンクルがただの木の実を食べているのも面白い。


「…キラキラしてる…」


「ようこそ。僕の部屋へ。なんか照れますね、えへへ」


 顔を赤くして頬をかくユーウェル。


(かわいい…)


 微笑ましげにそれを見つめるナナイ。


「あ、あの木は宝石樹という木です。無垢の魔石が生えてくるんですよ」


「…無垢の魔石?」


「はい。純粋な自然魔力のみで構成される宝石です」


「…???」


「あはは、魔物の魔石よりも綺麗な魔石と思っていただければ大丈夫です」


「ふーん……そういえば、なんであの子は外に?」


 分からないものは分からないので、さっさと本題へ。

 何故あの場に、生息地の外にカーバンクルが居たのか。


「元々、カーバンクルたちは外に出れる状態だったのですが、魔物たちが住み着いてしまいまして。僕もカーバンクル達も戦闘能力はありませんから、閉じ込められてしまった、という訳です」


「…ああ、あのホブゴブリンたちのせいで外に出られなかったんだ…」


「あの子は好奇心が強いカーバンクルですから、外にいる期間がとても長かったのでしょう。いつの間にか戻れなくなってしまった、というのが僕の推論です」


「…ふ、ふふっ…ふふふ」


「…ぷっ…ふふ」


 2人して、ドジなカーバンクルの可愛さに笑ってしまう。


「はぁ…カーバンクルについて、お話しますね」


 そうして、木の根に腰を下ろしてユーウェルが話し出す。


 カーバンクルとは、魔獣ではあるものの額の宝石に宿るたった1つの魔法しか使えない。

 その魔法は千差万別でユーウェルも全てを把握している訳ではないという。


 ただ、ナナイに随伴していたカーバンクルの魔法は知っていた。


「へぇ…それで、あの子の魔法っていうのは?」


 ユーウェルに許可を貰い、水場で汲んだ水をポーション瓶から飲みながら話を聞く。


「……【願いの魔法】」


「…願いの魔法?」


:ふぁ?!

:うせやろ…

:おかしいよ運営…


 聞いてもピンと来ないナナイ。

 勘づいているリスナーも多くいる。


「その名の通り、願ったことが形になる魔法です」


「……うぇ?!」


 思わず瓶を落としそうになるナナイ。


「そ、それ、…こう、お金いっぱい欲しい!って願えば空から降ってくる…みたいな?」


:俗物

:酷い例え

:草


「ふふ、そんな感じです」


「…へぇ……あ、でも、あの子の宝石は透明になっちゃってたよ?」


 宝石に魔法が宿る、という前情報を聞いてしまえば、気になるのはカーバンクルちゃんの異常だ。


「…恐らく、願いの魔法を使ったことで魔力を使い果たしたのでしょう」


「えぇ…そ、それ、大丈夫…?」


「生きる上では問題ないですよ!普通のカーバンクルは、一生をかけても宝石の魔力を使い果たせないはずなのですが、願いの魔法は使用する魔力も膨大です」


 きっと、最初で最後の願いの魔法を貴女に使ったのでしょうね。と微笑むユーウェル。


 その一言にナナイの涙腺は崩壊した。


「ぶ、ぶえぇ…あーじがじんじゃっだがらぁ…あのご、やざじずぎるぅ〜…」


 ユーウェルは口を挟むことをせず、落ち着くまで待っている。


「ふふ、見てください。ナナイさんと一緒にいた子です」


 扉の奥、木の根元で一心不乱に木の実をカリカリと食べているカーバンクルを指さす。


「ずずっ…へへ…」


「…それで、なにか要望はありますか?魔物を倒してくれたナナイさんにはできる限り協力したいです!」


 むんっ、と気張るユーウェル。


 そうは言われても、何を望めばいいのか分からないナナイは少し考える。


「う、うーん……あーし、今畑作ってて…そのために川を作ろうとしてるんだけど…」


「川を?!…人間は面白いことを考えますね…何に困っているんですか?」


「えーっと…遠大な計画すぎて、どれくらい時間がかかるか分からないんだよね…」


「なら、あの子たちに手伝って貰えばどうでしょうか?」


 無数のカーバンクル達を指さして言う。


「いいの?」


「ふふ。きっと、初めて来た人間を面白がって貴女の家を訪れる子はいるでしょうから。きっと様々な魔法で役に立ってくれるはずです。でも、気をつけて?川の作り方はナナイさんが教えてあげてください」


 上手くいかないこともあると思いますから根気強く。ね?と変わらず微笑む。


「…これじゃお礼になりませんね。…ああ、そうだ。願いの子の扱いはどうなさるおつもりですか?」


「………」


 考える。

 自分に最初で最後の魔法を使ってくれた子をどうしたいか。

 できることなら一緒にいたい。

 だが、それを言う資格があるのだろうか、とナナイは思ってしまう。


「……一緒にいたいです」


「……その言葉を待ってました」


 そう言って、ユーウェルは2つの灰色の宝石を差し出す。


「…これは?」


「砕いてみてください。力を込めて握れば砕けると思います」


「……ユーウェルくんがそう言うなら…」


 灰色の宝石を握り、力を込めていく。

 すると次第にヒビが広がり、砕け散った。


 次の瞬間、ナナイの目の前に水晶板が現れる。


【スキルジェムが使用されました】

【【従魔契約】Lv.1を獲得しました】

【スキルジェムが使用されました】

【【従魔鑑定】Lv.1を獲得しました】


「…こ、これ」


「この子と一緒に旅をするのなら、従魔という形に収めるのが一番良いと判断しました。従魔とは、あなたを支えてくれる味方のことです。ほら、使ってみて」


「きゅ!」


 気付いた時には、透明な宝石を額につけたカーバンクルがナナイの目の前で小さい片手を上げていた。


「…い、いいの?」


「きゅ??」


 何がダメなのか分からない、とばかりに首を傾げるカーバンクル。


「その子は今まで魔法を使ったことがありませんでしたから、あまり気にしていないようですよ?遅いか早いかの違いです」


 それに、とユーウェルは続ける。


「その子は外に…旅に出たいようですよ」


「…そっ、か…」


「きゅ!!」


 その通り!とでも言いたげに胸を張るカーバンクル。


「…ふふ、かわい。いくよ。【従魔契約】」


「きゅー!!」


 カーバンクルが輝く。


 ナナイの目の前に【名前を決めてください】という表示が現れる。


「…君の名前は…」


(どうしよ…)

 

 ナナイは動物の名前を考えたことがない。

 正直、困っている。


(た、たしか…願いは英語でウィッシュ…は安直…えー、き、希望…うーん…あっ!)


「君の名前は、ナディア!」


 【ナディア】。

 そう名付けられたカーバンクルの腹部に灰色の紋様が浮き出てくる。


「よろしくね!」


「きゅー!!」

川まで遠いですがお付き合いいただければ幸いです。

タイトル詐欺が続いているので、タイトル変更を検討中です。

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