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呪賦ナイル YA  作者: 城山古城
68/210

第八話 朝曇 身を焦がし 下心を知る 陽射しかな 其の四

 三


 八月の初め、忠陽は由美子たちと約束通り大型ショッピングモールに訪れていた。


 ショッピングモールは家族連れも見かけるが、その殆どは忠陽と同じくらいの歳の子ども達が多かった。


 入る前に、忠陽は漆戸にまた神宮の警備員がいるのかと訪ねた。


「ここの開発は神宮も一枚噛んでおりまして、姫様が事前に来られることは話しております」


「警備員は気が気でないですよね」


「それは良い訓練になると思います。なにせオープン早々に警備体勢が万全でないことは良くないですからな」


 漆戸の物言いを、忠陽はこれが神宮という家柄だからなのかと思う。


 初めは鏡華も由美子に気を使いながら言われるがまま一緒にショッピングをしていたが、次第に打ち解けていき、普通に話すようになった。忠陽はそれに安堵する。似た者同士で争うことせず、お互いが楽しめていることは何よりだった。


 最初の数件は忠陽も一緒に店に入り、色々と見ていたが、十件目を超える頃になると、店の近くにある長椅子に座るようになっていた。

 

 それよりも驚くべきなのは漆戸の体力だった。未だに三人の視界には入らないようにし、周りから気にならないように執事服ではなく、サラリーマンのようなスーツ姿であるが、ある一定の距離を取りつつ立っていた。


「賀茂君、次行くわよ!」


 店から出ると、由美子が声を掛ける。


「陽兄、情けないぞ!」


 妹の叱咤激励で忠陽は重い腰を上げ、歩き出した。


 その中、鞘夏は忠陽に近づく。


「忠陽様、お気分は悪くありませんか?」


「大丈夫だよ。気にしないで……」


 忠陽は笑顔を引きつらせて答えていた。


「ですが……」


「むしろ、ここで止まると二人になんて言われるか分からないよ……」


「申し訳ございません」


「鞘夏さんのせいじゃないよ。僕の足腰を鍛え直したほうが良いかもしれない」


「忠陽様……」


「さ、僕のことは良いから楽しんで……」


 その方が僕は楽だという言葉は吐かなかった。


 次の店を見つけると、その近くの長椅子に座りながら三人を見る。その楽しむ姿が忠陽は何よりも嬉しかった。


「はぁー、美琴のやつ、一体後どれくらい回るんだ……」


 隣に座り、深い溜め息をする男の声が聞こえる。同じに境遇の人間が居るのだと思い、忠陽は隣を見た。その姿を見ると、知り合いの面影を見る。


 髪はソフトモヒカン。体格はよくラグビーかアメフトをしているかのように思われる。半袖のティーシャツに、ジーンズ。顔は無骨で渋い。だが、現在の痩せ型イケメン違い、往年のアクションスターのようにかっこいい顔をしている。


 男も忠陽の視線に気づいたのか、忠陽を見た。二人は顔を合わせると、お互いが大声を上げる。


(はる)!」


「ヒロくん!」


 お互いの名前を呼び合い、硬直する。そして、声にならない言葉でお互いを確かめ、肩を叩きながら互いを実感する。


「元気だったか? 陽!」


「元気だよ! ヒロくん!」


「なんだよ、お前、今までどうしてたんだ? 中学卒業したら、音信不通鳴りやがって!」


 (ひろし)は忠陽の背後に周り、腕で首を閉める。忠陽はその手を叩く。


「くぅるぅしぃよぉ。落ち着いて、落ち着いて」


「俺、てっきり京の呪術学校に入ったと思ってたのよ」


「本当にくうるしい」


 宙は忠陽のやばい顔をみて、腕を解いた。忠陽はむせ返す。


「大丈夫か、陽? 相変わらず、弱いな、お前」


「ヒロくんが強いだけでしょ?」


 二人はお互いに笑っていた。


 宙は近くの自販機から缶ジュースを買ってきて、忠陽に渡した。


「ほい、百万円」


「そんなお金ないよ」


「いつもの冗談だろ? ったく、相変わらず通用しないな……」


「ヒロくんの冗談って、冗談じゃない時があるからね」


「コノヤロウ!」


 忠陽の頭を軽く叩く。


「すぐに手を出すし」


「で、お前、今どこにいんの?」


「人工島天谷にある翼志館高校」


「人工島天谷って、呪術研究都市だったよな? なんでそこにまた……」


「父さんがそこの呪術統括部長をしてるんだ」


「なるほど。そりゃ仕方ないな」


「まあね」


「楽しいか?」


「うん、それなりに……」


「そっか、なら良かった」


 宙は缶ジュースを開け、一気に飲み干す。


「でも、なんで言わなかったのさ」


「まぁ、ね」


「呪術の才能のない自分が嫌だったってか?」


「さすが」


「そんなの当たり前だろう? 中学校三年間一緒だったんだから」


「そういうヒロくんはどこに行ったの?」


 宙はニッコリと笑みを作り、言った。


「赤山高校!」


「あ、赤山? あの赤山なの?」


「そうだよ」


 赤山高校とは京の鬼門に位置する呪術科がある高校だった。呪術師なら誰でも知っている名門校であり、呪術師の名家の殆どはこの学校を卒業する。この学校は呪術だけができれば良いといわけではなく、学業も通常の進学校と同レベルであり、多くの政治家も輩出する進学校でもあった。


「すごいね! ヒロくん、頑張ったんだ」


 宙は腰に手を当て、鼻高々なポーズを取る。


「ま、お前が居なくて寂しいけどな」


「僕は、多分受けても、受からなかったよ」


 宙は忠陽の背中を叩く。


「そんなの、やる前から分からないだろう? いつも言ってるだろう。できる、できないじゃない。やるか、やらないかだって」


 宙の笑顔に忠陽は笑った。


「そっちの呪術学校はどうなんだ? やっていけそうか?」


「うん、一応。それに……今は呪術が……少し楽しいんだ……」


 宙は忠陽の顔を見ていた。その顔を見て、笑い、忠陽の背中をバシバシと叩く。


「よかったじゃあねえか。楽しいんならよ!」


「痛いよ、ヒロくん」


「悪い」


 忠陽は缶ジュースを開け、口につける。


「そういや、今日はどうしてここにいるんだ?」


「僕は付き添いかな……。妹と友人の」


「鏡華ちゃんも来てるのか?」


 忠陽は頷く。


「いい女になったか?」


「まだ、子供だよ」


「何言ってんだ。女っていうのはな、その時期から色気が出てくるんだよ」


 忠陽はその姿を大地に重ねて、笑った。


「何笑ってんだよ?」


「いや、あっちでの友達と似たことを言うから……」


「おっ、そいつとは気が合いそうだな……」


「たぶん。そういうヒロくんこそ、今日はどうしたの?」


「彼女の付き添い」


 宙はキメ顔をして、言った。


「彼女? ヒロくん、昔からモテたからな……」


「かなりいい女だぜ。ちょっと気が強くて、負けず嫌いだけど、根は頑張り屋で何事にも一生懸命でさ。そこに惚れたというか、俺が告ったんだよ」


「そうなの? ヒロくん、すごいね」


「ああ、何度もフラレたんだが、次第に俺のことを気になってくれてさ、今では相思相愛だぜ!」


「ヒロくん、恥ずかしくない?」


「なに言ってんだ! 漢は度胸、女は愛嬌……いやツンデレだよ!」


「いや、ちょと意味わかんない」


「分かんないかな? いつもツンツンしているあの子がだよ、キスするときなんて、顔を真っ赤にしてデレるんだぜ? もう、俺、ご飯十杯行けまーす!」


「興奮し過ぎだよ」


「それほど、彼女ってものは良いもんなんだよ、陽! お前も作れよ」


 宙は忠陽に体を密着させ、勧めてきた。


「やめとくよ。それに気持ち悪い」


「そう言うなよ。こうさ、マウストゥーマウスでさ……」


 宙は忠陽に口を近づける。忠陽は全力で阻止していた。


「な、な、なにやってるの?」


 由美子は宙と忠陽の姿を、汚物を見るかのように、蔑んでいた


「ち、違うんだ、神宮さん! か、彼は、僕の――」


「ヒロくん!」


 鏡華は手に持っていた買い物袋を落とした。


「おお、鏡華ちゃん!」


「お、お久しぶりです」


 鏡華は猫を被ったように可愛らしく挨拶した。


「今日はこんな所でどうされたんですか?」


「今日は、彼女とデートでここに来たんだ」


「あ! ヒロ――」


 鏡華はその言葉を胸にさされ、倒れようとした。その鏡華を鞘夏が咄嗟に支える。鏡華の思いは簡単に砕かれた。


「鏡華様? 鏡華様!」


 その後、忠陽たちは鏡華を長椅子に座らせ、休ませた。唸るように鏡華はなにか呟いていた。


「そうか、鏡華ちゃんは俺のことが好きだったのか……。それは悪いことをした。すまん、陽」


「いいよ。後で慰めておくから気にしないで」


「賀茂君、ちょっと軽いわよ。初恋の相手っていうのはそういうものじゃないから」


「そうなの? でも、ヒロくんには彼女ができたからしょうがないよ」


「しょうがなくない。賀茂君ってそういう女心っていうのは分かんないかな?」


「お嬢さん、その気持ち、俺には分かるよ」


「分かるなら、もっと優しくしな……というか、貴方はどちらさまですか?」


 宙は立ち上がった。


「俺は陽の中学からの親友、熱血高校生、志道(しじ)(ひろし)。十六歳、彼女持ちだ!」


 由美子はその暑苦しさに押され、忠陽を見た。


「貴方、やっぱり友達選んだほうがいいわよ」


 忠陽は笑っていた。


「君も俺の彼女と同じで中々の毒舌家だな」


 宙を呼ぶ声が店の方からした。


「ひろ~。ヒロー!」


「お~い、ここだよ。ここ!」


 宙はすぐに彼女の姿を見つけ、声に答えるように手を振りながら自分の位置を知らせた。


 ショートヘアで清楚な顔つき、しかし、周りの視線が釘付けになるようなプロポーションをしていた。


「なんで、ついて来ないのよ。あんたに見てもらわないと決められないで、しょ……って、神宮由美子!」


 彼女は宙に近づき、由美子の姿を見た途端に大声を上げた。


「ど、どうして、貴方がここに居るのよ!」


 由美子はため息をついた。


「なんでため息をつくのよ!」


「だって、変な人がいると思ったら、その彼女が貴方なんですもの」


(うるさ)い、(うるさ)い、(うるさ)ーい!」


「神宮さん、知り合い?」


「ええ。中学までの同級生。中御門(なかのごもん)さん」


「美琴、知り合いなのか?」


「うん、中学校時代の友人。あの、神宮由美子さん」


 二人の紹介に決定的な違いがあり、それに美琴は激怒する。


「同級生ってどういうことよ!」


 由美子に飛びつこうとしていたのを宙が止めた。


「クラスメイトかしら?」


 由美子は忠陽に聞いていた。


「神宮さん、それはちょっとひどいよ」


「まあ、美琴、落ち着け」


 美琴は奥歯を噛み込み、由美子を睨みつけていた。由美子は澄ました顔をしていた。


「どうして、赤山高校に入らなかったのよ!」


「どうしてって、貴方に言う必要あるかしら?」


 美琴の怒りは収まらない様子で、宙が暴れさせないようにしっかりと彼女を掴んでいた。


「ほら、そんなに怒ると、顔が真っ赤になるわよ。ト・マ・トちゃん……」


 ムキーっと、美琴は言葉を発し、顔を真っ赤にした。その姿を忠陽は見て、トマトだと呟いた。


「宙、離しなさい。こいつら殴ってやるわ!」


「ダメだぞ、美琴。まあ、俺はお前のその顔が好きだけどな……」


 美琴は急にしおらしくなった。


「宙……」


「しおれたトマト……」


 由美子はクスクスと笑った。


「ダメだよ……。神宮さん……」


 忠陽も思わず吹き出す。


「宙!」


「まあまあ、落ち着けって」


 宙が真面目な顔をして、美琴を諭した。


「君があの神宮さん? 美琴から話を聞いているよ」


 宙は先程とは違い、真剣な顔をしていた。


「どんな話から? その子が言っていることは多分ほとんど嘘だから……」


「君が美琴のことをどう思っているかはだいたい分かったけど、俺だって、自分の彼女が馬鹿にされて、良い思いはしない。美琴は、君が思っているような人だったかもしれないけど、俺にとっては、大切な人なんだ」


「宙……」


「そう。それは悪いことをしたわ。申し訳ありません」


 由美子は素直に謝った。


「でも、忠告しておくわ。中御門(なかのごもん)さんは自分の立場が悪くなれば、貴方を裏切る」


 美琴は俯いた。


「そうはならない。俺はそう信じてる」


「行きましょう、賀茂君、鞘夏さん」


 忠陽は戸惑いながらも頷き、失神している鏡華を背負った。


「陽、今度家に遊びに行くよ!」


「うん、また今度!」


 忠陽は手を振りながら親友と別れた。


 宙と別れた後、忠陽は神宮に美琴とのことは聞かなかった。それは何があったのかは言葉から察し、彼女が話すまでは聞かないことにしたからだ。


 忠陽たちは二人とあったことは忘れてたように遊び、そして賀茂邸まで帰った。忠陽は車から降りると、由美子に止められた。


「来週の一条の宴会の件だけど、迎えに行きましょうか?」


「ありがとう。でも、それぐらいは自分の家から送迎のタクシーでもお願いするよ」


「でも、ここからだと結構掛かるじゃない」


「大丈夫。母さんが京まで行くときはいつもそのタクシーを使っているから」


「そういうこと。さすがね……」


「僕も初めて知ったんだけどね……」


 忠陽は俯く。


「賀茂君、当日、楽しみにしてるわ」


「僕は楽しみじゃないけど……」


「あら、貴方の燕尾服姿を見るだけでも楽しみよ」


「似合うかな……」


 お互いに笑い合いった。


「それじゃあ……」


 由美子は車の窓を閉め、賀茂邸から離れていった。


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 数日後、麻美が仕立てた服の試着会が催された。


 忠陽の燕尾服は綺麗に体に合わせてできており、それ以上仕立てし直すこともなかった。鏡華はその姿を見て、馬子にも衣装と言う。


 今回の主役は忠陽ではなく、鞘夏だった。麻美が時間を掛けていたのは鞘夏の仕立てであり、その服は三着用意されるほどの気合の入れようだった。


 三着とも色違いであるが、昔の和服を現代解釈した給仕服であり、和の中にも洋が入った着物だった。忠陽は鞘夏が着替えた後に麻美に通され、姿を見せられた瞬間に、胸が鼓動する。


「忠陽さん、どうかしら?」


 三着の中でも紫色と赤い椿と白のフリルを付けた着物は凛とした鞘夏に合っており、落ち着いた綺麗な女が引き立っていた。


 忠陽は息を呑む。


 麻美は忠陽の耳元で囁く。


「気に入ってくれて嬉しいわ」


 鞘夏は忠陽に見られるのが恥ずかしいようで、少し体の線を逸していた。


 そんな鞘夏の隣に麻美は忠陽を連れていき、二人での写真会を始めた。その注文は細かく。ポーズができないようなら、麻美が手を入れる。その撮影会はゆう二時間を越していた。満足した麻美はカメラを大事に持っていき、フミに現像するように頼んでいた。


 二人は雪崩のように床に座り込み、お互いを見て、笑っていた。


 その日の夜。夕食が終わると、忠陽は麻美に客間に呼び出された。


 忠陽は客間のソファーに座っている麻美に対面するように座らされ、麻美は話し始めた。


「忠陽さん。お父様から、お手紙と、小包を頂いております」


 忠陽は手紙と小包を受け取った。


「中身は、自室で確認しなさい」


「でも……」


「その方が良いと思うの」


 忠陽は頷く。


「忠陽さん……。本当は、お父様の代で、この家を終わらせるつもりだった……」


 忠陽は俯く母の顔を見た。


「貴方に辛い思いをさせていること、本当に、ごめんなさい」


 麻美は頭を下げた。


「母さん。僕は呪術が嫌いだった。だけど、今はそのお陰で、神宮さんや、伏見先生、大地君と出会えた。僕には呪術の才能はないかもしれない。だけど、なんとか、やってみるよ」


 顔を上げた麻美の目から涙が出ていた。


「母さん……?」


 麻美は涙を拭い、立ち上がった。忠陽の背に廻り、後ろから抱きしめた。


「ありがとう。貴方がそう言ってくれて、こんなに嬉しいことはない。でもね、私達を、許さないでほしいの」


「急に、どうしたの……母さん?」


 麻美は忠陽を強く抱きしめる。


「いい? 恨むなら、私達を恨みなさい。呪うなら、私達を呪い殺しなさい」


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 忠陽は自室に戻ると、手紙と小包の封を見る。封は開けられていない。母のことだろう。父の手紙でなんとなく察しがついたのかもしれない。


 そうか。父さんも母さんも、知っていたのだ。


 忠陽は手紙の封を切る。


 父からの手紙。そんなものは初めて受け取った。


 手紙にはこう書いてあった。


 まずは私の元へ来い。それが話す条件だ。

 お前に呪具を渡しておく。お前の祖父からもらった守り刀だ。

 賀茂の者の呪力を流し込めば刀身が現れる。好きに使え。


 忠陽は小包を開けると、柄だけが入っていた。書かれていた通り、呪力を流し込むと短い刀身を生み出した。忠陽はその刀身に映る自分の顔を見る。その顔は無表情だった。


 忠陽は刀身を収め、守り刀を机に置き、ベットに横たわった。


 扉をノックする音が聞こえる。


「忠陽様……」


 鞘夏のか細い声が忠陽を呼ぶ。忠陽は体を起こした。


「入っていいよ」


 忠陽がそう言うと、鞘夏は中に入る。入ったが、入り口から動こうとしなかった。鞘夏は給仕服のエプロンを握りしめていた。


「どうしたの、鞘夏さん?」


「いえ、その……」


 忠陽は鼻で深呼吸する。


「僕なら大丈夫だよ。僕は母さんや、父さんを、恨んだりしない」


 すんなり言う忠陽の言葉に鞘夏は手を緩めていた。


 忠陽は部屋の窓を見る。


「僕にはそんな事できないよ」


「はい……。大変失礼致しました」


 鞘夏はそう言って、部屋から出ていった。


 そんな鞘夏には目もくれず、忠陽は窓の外の闇を見る。


 そうか、これが呪いか。


 忠陽は自らの内から吹き上がる興奮を抑えきれなかった。

志道という名字は毛利元就の配下にいた志道広良から来ています。

志道しどうと読み間違えるかもしれませんが、シジという読み方です。

頭の中で何故かこの名字が浮かんできた。

もしかすると、とある大河ドラマの水戸光圀のせいかもしれません。

朗々と話す口調が忘れられず、その演者から珍しい名字を繋がりで思い出しかもしれません。


大河ドラマ 葵 徳川三代 第一回「総括関ケ原」を見ながら

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