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8話 入団試験 その3

 だだっ広い平原。何もない。強いて言うなら、草。木も、山も、鳥もいない、360度地平線のフィールド。


「では実験、、じゃなかった。試験開始!!」


 全員構える。


 彼女はそれを確認すると、両手を組み合わせ、それを胸の前に固定した。

 祈っているように見えるが、これは手印。手の形を引き金に発動するタイプの魔法だ。

 それに加えて、足元に魔法陣、詠唱まで唱えだし、三種類魔法形態複合術式を組んでいる。

 魔導書には書いていたが、実際見るのは初めてである。エグい集中力と、並行思考力、魔力が必要だからだ。


 ∴{天ハ彼方 地は此方 天に挑ムハ神ム非ズ 我ハ人 住ムハ地 天災ハ此処二 我々ヲ護ル力トシテ君臨シ給ヘ}∵


 詠唱中、いつの間にか白衣が天人の衣に、髪はサラサラに、眼鏡は消え、背中からは純白の翼、頭には光輪が現れていた。天に佇み、祈りを捧げる。その姿はまるで、、、


「天使・・・」


 誰かがそう呟いた。誰もが試験を忘れ、その美しい姿に魅入った。そして、その魔法、或いは神の裁きとも言える何かが、発動した。


「天空属性、神位魔法、並列発動、76382」


 ・・・・76382?神位魔法を?並列発動で?

 その時、正気に戻った。あれは、やばい。あれは、神の技なんかではなく、禁忌だ。


「死滅属性、神位《戦場ヲ駆ル死神》!!!」


「天空神話・最終章・《結末ノ日(ENDING DAY)》」


 空を埋め尽くす、召喚魔法陣。

 大地を埋め尽くす、攻撃魔法陣。世界を囲う、古代文字。

 人一人が起こす現象ではない。


 次の瞬間、その美しくも恐ろしく、畏ろしいその光景は、一瞬で地獄と化した。

 いや、地獄以上だった。暗黒(地獄)出身の私が言うのだから間違いない。


 空には暗黒龍が20匹ほど泳ぎ、地上は草原だったはずだが、今では溶岩が舞い、炎の巨人が闊歩しながら、世界樹の根が無差別に暴れる、混沌と化していた。

 雷が踊り、竜巻が笑い、剣と槍が嵐のように飛び交い、隕石の雨が降り注ぎ、破壊光線と極滅光線が日光代わりに大地を照らす。

 これが、禁忌の魔術師の最大出力、、、


 、、、この中を耐えきれと?いつまで?

 4秒ほどで他の候補者が全員暗黒龍に喰われたのが見えた。


 私は全身全霊で一秒ずつ生きていた。一秒の為に魂を賭けた。


「神位魔法!!《暗黒天蓋》《呪庵乢千》《奪取命快》《戦天ヲ舞ウ》《黒キ魂》《玉響疾走》《暗黒弾》《死穢ノ償イ》《広域殲滅砲》《破壊煌煌》《銀ノ宵闇》《大罪・強欲》《叛逆ノ烽烟》《空ヲ喰厶》《蹂躙へノ抗イ》《冰雪の天蓋》《闇纏》《影游》《全魔砲》《終焉ノ際ノ惡足搔キ》《ノアノ箱舟》《墜天斬》」


 34.286秒後、その嵐は、その混沌は、ピタリと止んだ。

 私は腹は抉れ、両目は失くし、左手と右足が無かったが、一応生き残った。

 が、その0.5秒後、力尽きた。


 ◆◇◆◇


「まさか生き残る人がでるとはね〜」


 ソラが、驚きの声で私を見た。


「やっぱり密度と引き換えに効果時間を削ると軽く124番のBKh4の魔法陣が誤作動を起こすな、、、」


「なんですかあれ。私以外開始4秒で全員死にましたよ。トラウマレベルですよ。」


「魔力回路の37式トランジスタの応用と884式魔力道路の組み合わせより、36式と722式の方が魔導が速いな。ならこれを3472番のDOp8に持ってきて、、、」


「聞いてますか?」


「ああごめん。ていうかそれって死滅属性だよね?ちょっと研究させてくれない?」


 、、、フウリさんがリルにこの人を会わせたくない理由がわかった。

 この人、人の話を全く聞かない。


 ◆◇◆◇


 その後はいろいろあった。フウリさんが来て、ソラさんをめちゃくちゃ叱ったり、3次試験は無効になったり、トラウマになった人が出たり、死の天使とか終焉だとか叫びながら走り回る人が出たり、ソラさんにプロポーズして振られた人が出たり。そんなこんなで入団試験の日は終わり、翌日、結果が出た。


 解ってはいたが私は首席合格。リルも筆記が58点という、なかなかにギリギリだったが、実技での試合などにより、8位で合格した。今回の合格者は27人。その中にはユウスケ・ホンダという名前もあったので、また会う機会もありそうだ。


 ここで騎士団についても説明しておこう。

 騎士団にはランクがあり、1級が最高。六大騎士と呼ばれる隊長たちだ。

 私は9級からのスタートである。

 そして、「隊員」はエリート組。隊長からスカウトされるか、他の隊員に紹介してもらうしかない。「隊」に入れば給料は爆上がりし、名声も得る。騎士団員全員の目標と言えるだろう。

 隊は全部で六つあり、それぞれ名前がある。

 6番隊ー月影隊ー 5番隊ー堅牢隊ー 4番隊ー空撃隊ー 3番隊ー紅蓮隊ー 

 2番隊ー陽光隊ー そして1番隊ー雷鳴隊ーだ。

 私は試験を他の隊員にも見られていたようで、6隊中4隊から誘われるという史上最高記録を叩き出し、現在考え中だ。

 誘われなかったのは4番隊と5番隊。4番隊はフウリさんの隊で、飛べることが条件。私は跳べるが飛べはしない。5番隊は防御力重視のようで、私は防御はあまり得意では無く、回避が主体だからだろう。


 私は返事を保留にして、まずソラ副隊長の研究室へ行った。

 扉を開けると突如爆風。反射的に氷の防壁で防いだら、ソラさんが中から飛んできて、私の防壁に衝突した。


「大丈夫ですか?」


「やや!君はいつぞやの!ボクの魔法を耐えきった死滅属性槍使いじゃないか。何の用?」


「フウリ隊長から紹介されているはずですけど。」


「忘れた。」


「まあいいか。それよりソラさん。魔眼って作れますか?」


「モチのロンさ!」


「じゃあ、この術式を組み込んでくれませんか?」


 私が設計図を渡す。


「ほう。これは君が?なかなかに綺麗で、無駄のない高性能な式だ。しかもこの魔眼、、ほう。ふむ、つまりこうなって、、ああ、世界構築式への干渉を疑似網膜の日緋色金粉末で、、いやここは、、ああ、ここは48式トランジスタによる魔力増幅か、、うん。面白い。」


「報酬はできる限り払いますから。」


「いや、いらない。その代わり、、、君、魔眼手術できる?」


「え?はい。でも自分に手術はできませんよ?」


「じゃあ、私にもこれ頂戴♪」


「これで良ければ。喜んで。」

今回、執筆中に中二病の神が降りてきたので、中二病めっちゃ覚醒してます。

技名ラッシュの漢字全部読める人がいたら私と同類です。

意味気になったらググってください。

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