5話 家族会議と騎士団入団
それから幾許かの日が過ぎた。
勉強、魔法の研究の合間にリルへの授業。そんな日々が4年程続いた。
今ではリルは神位魔法も使えるようになり、私の魔法も上達した。
一つ、計算外は、フウリ隊長にもらった券を、使うタイミングがないことだ。
あの人、腐っても騎士隊長だから普通に忙しい。私も王女だから忙しい。王女でも会わせろといって会える相手では無いのだ。まさか見越してた?いや、あの人なら普通に考えてなかっただけだな。
「師匠!」
「あ、リル。どうだった?」
「姉さん、休みが取れたそうです。」
「よし!これでやっとアレが手に入る!」
「そんなに欲しい物なんですか?」
「異世界にはやっぱりアレがないとね。」
「イセカイ?なんのことですか?」
「ああ、忘れて。なんでもないから。」
◆◇◆◇
「それで、願いはなんだい?」
「ソラ副隊長を紹介してください。」
「え゛ソラを?やめたほうが・・・」
禁忌の魔術師、ソラ。
固有属性、〈天空〉の使い手にして魔法騎士団4番隊副隊長。女性。
禁忌魔法とは、魔王召喚魔法や世界滅亡魔法、厄災をランダムで招く魔法など、術師の命を払って起こす、大規模な魔法のことだ。
違法なので本当に禁忌魔法を使う訳では無いが、命を払わずに使えもする上、禁忌登録されていないが禁忌魔法より強力な魔法すら操るという。
本人はほとんど研究室に籠もっているが、魔導具、魔法技術、魔法科学の発展にものすごい貢献をしているので、父上の信頼も得ている。
しかしその一方で、狂魔法研究者とも知られる。研究室でどんな実験が繰り広げられているのかは、行ったことある者しか分からないが、誰もそこについて話そうとしないらしい。
噂では研究室から叫び声が聞こえるだの、研究室のゴミ捨て場に原型を留めていない魔物の死骸が捨てられていただの、偶に爆発が起きるだの、色々な情報があるが、真偽は知られていない。
「どうしても会ってみたいんです。」
「え〜、ライトには会わせてあげられるよ?」
魔法騎士団1番隊隊長兼魔法騎士団団長、ー厳鎚ーのライト。
世界最強の男であり、《世界樹の大試練》を完全攻略した、2人の戦士の内の一人でもある。
確かに会ってみたいが、優先順位はソラのほうが上だ。
「どうしても、です。」
「う~ん・・・じゃあ条件付きで。」
「なんですか?」
「一つ、リっちゃんには会わせないこと。 二つ、タイミングは相手に合わせること。そして、、、」
それくらいなら大丈夫だが、、、
「三つ、魔法騎士団に入団すること。」
「え?なんでですか?」
「君もう14歳でしょ。だったら入団できるよ。君強いから、余裕で入れるだろうし。君みたいな強い子を勧誘すれば私の評価も上がるし、国力の増加にもつながる。あと、魔法騎士団に入ればソラに紹介するのも不自然じゃないでしょう。」
それはそうだが、
「私の一存じゃ決められないですね。父上や母上にも相談しないと。」
「ノア様とルナかあ、めんどくさ。」
◆◇◆◇
「エリ〜会いたかったぞ〜ごめんななかなか会えなくて。」
「父上、人前でそういうノリやめてください。」
「反抗期!?」
「違います。」
父上・・・グリーン王国国王ノア・グリーン。愛妻家、親バカとして有名になっているほどの、少し間の抜けた、一見国王とは思えない人だ。しかし民からの人望はものすごく厚く、仕事は完璧、武勇も最強レベル、戦争で一番槍を務めたことすらあるという。まあその時は“国王一番槍事件”呼ばれ、ものすごい大騒ぎになったらしいが。
「それで、話って何?」
「魔法騎士団に入りたいんです。」
「ほう。」
「勧められた。というのもありますが、前から興味もありましたし、強い人と戦うのも嫌いではありません。あと“騎士”に対しての憧れもあるので。」
「俺はいいと思うど、、、ルナは?」
「誰に勧められたの?」
「フウリ隊長です。」
「あいつか〜。まあ、エリが望むなら止めないけど、、、騎士団に入ったら王城内みたいに安全は保証されないし、死んでしまったらそこで終わり。その覚悟はあるのよね?」
「はい。死ぬつもりは毛頭ありませんが。」
「ならいいよ。あなたは強いけど、子供とは思えないほど化け物だけど、最強ではないし、まだ子供なんだから、困ったら大人を頼りなさいよ。」
「分かりました。」
「エリが知らない間に成長してる!寂しい!」
「何言ってるんですか?さっきから父上テンションおかしいですけど。」
「この時間取るために徹夜で仕事終わらしてたからね。」
「3時間ほど取れたから、超久しぶりに戯れ合いしてみる?」
「この家族は全員戦闘好きになる呪いでもかかってるんですか?」
なんか『小説家になろう』始めたばかりですが、感想もらったり、ブックマーク増えてたりするとめっちゃ嬉しいですね。
ありがとうございます。