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4話 弟子と実力

「・・・嫌ですよ。」


「まあまあ、最後まで話をきいて。」


「そんなの、貴女のほうがいいに決まってるじゃないですか。」


「あの娘は〈龍〉〈破壊〉属性の2つ持ちで、〈風〉一つの私じゃ扱いを教えられないのよ。」


「・・・魔法騎士団隊長は全員不老の魔法で1000歳は超えているはずですが、そのあなたに私に師匠が務まるような妹がいるんですか?」


「あの娘は森の奥にいた捨て子でね、最希少二属性を二つなんて珍しいから弟子にしようと思って育ててたけど・・・」


「結局自分には教えられなかったと。」


「正解!」


「馬鹿なんですか?」


「正解!」


「・・・なんで私なんですか?あなたのとこの副隊長にでも任せればいいじゃないですか。」


「ソラは駄目だよ。あの子の魔術は禁忌の域に達してるし。『姉さん』なんてよんで慕ってくれる娘にあんなの紹介できないよ。」


「私のメリットは何ですか?」


「じゃあ、騎士隊長が何でも一つ言うことを聞く券をあげよう。報酬も望むだけ出すよ。」


「毎日城を脱出できるわけじゃないんですけど。」


「大丈夫!そこは隊長権限でどうとでもなるさ。」


「職権乱用・・・はあ。じゃあ紹介だけしてください。そこからは見て決めます。」


「やったー」


 ◆◇◆◇


 フウリ隊長の家。そんな豪邸というわけでは無いが、普通にきれいな家。腕のいい家政婦か何かが居るのだと分かる。


「リッちゃーん!」


「姉さん。早いですね。お帰りなさい。そちらの方は?」


 思っていたより若かった。8歳くらい?。まあ10歳の私が言えることじゃないけど。


「紹介するね。この娘はリル・ディア。私の妹。といっても赤ん坊から育ててるから娘と言ってもいい。なんかわかんないけど『母』じゃなくて『姉』になってる。」


「姉さんは見た目が若いので『母上』だと違和感があるんですよ。エルフなうえ不老なんですから。」


「え?エルフなんですか?」


「ああ。髪型的に耳が見えづらいから分からなくても無理ないよ。」


「あ、私はエリリア。エリって呼んでね。」


「あ、はい。」


 ・・・なんか素っ気ない。これはあれだ。一人の人間を尊敬しすぎて他全ての人間が有象無象に見えてるかんじだ。


「リル、彼女に君に魔法を教えてもらおうと思ってね。」


「えっ、私は姉様に魔法を教えてほしいと言ってますのに。」


「属性の相性でリッちゃんには教えられないのよ。ずっと言ってるじゃん。」


「ではなんで私を育てたんですか?弟子にするためでは無いんですか?」


 まあ、そうなるよね。


「いや、その、まあ、なんていうか、、、そう!教えられなくも無いけど、この娘のほうが相性が良いと思ったから!うん!」


「つまり、この人が居なくなれば姉さんが教えてくれるということですか?」


 なんか雲行きが怪しくなってきた。


「あ~えっと〜うん・・・じゃあそうしよう。」


 ・・・私殺されないかな。


 ◆◇◆◇


「じゃあ、まず実力を見せて。はいこれ。」


 渡したのはさっきの結界魔導具の上位版。「疑似世界(NEW WORLD)」。上位版とは言ってもそもそも原理から違うから正確には別の魔導具だ。

 これを使うと魔法空間に転送され、そこには他の生物はいない。いくらぶっ壊しても現実に問題なし。リセットボタンで元通り。死んでも現実の自分は無傷。中は結構設定変更できて、森、火山、海、平原、空中庭園、迷宮など、様々なステージを選択できる。森などにいる木などはあくまで『木の形をした生物ではない魔法空間上の物体』と思っていい。世界の壁とかはなく、無限に広がるという。高性能過ぎて笑える魔導具だ。(制作者:ノア・グリーン、ソラ、魔導具開発局の皆さん)

 お値段136億G(ゴールド)(1G≒10円)。頑張って稼ごう。


「え、これ・・・まあいいか。」


 魔法空間起動。今回はグランドキャニオンみたいな地形、広さの岩山だ。リルとは300mほど離れている。


「先生。」


「はい。リルさん。」


「私が先生より強かったらどうなりますか?」


「残念ながらこの話は無かったことになるかな。」


「では頑張ります。」


 良かった。さすがに殺されたりすることはないようだ。


「龍属性、上位《竜骨鑓斧(ドラゴハルバード)》」


 白い大きな槍斧が空中に形成される。


「破壊属性、上位《罅割纏イ(ヒビワレマトイ)》」


 白い槍にひび割れのような黒い模様が浮かび上がる。これは魔法の貫通力、破壊力を格段に上げる魔法だ。


「発射。」


 丸太8本分位の槍斧がこちらに向かって飛んでくる。周りの岩を貫通しながら直進してくる。


「破壊属性・氷属性複合術式、極位《凍リ割レ砕ク刄》」


 大槍斧が私の槍に触れると、触れた部分から凍りつき、動きが止まり、そして砕け散った。


「なっ」


 驚いている。当然だ。母には手も足も出なくとも、私はしっかり化け物レベルに強い。


 さっきの死滅属性神位魔法とかは自滅覚悟で行けば戦場で2000人は斬れるレベルである。

 有名ではないのは、単純に目立ちたくないのと、魔王の娘だとバレないようにするためだ。


 まあそれはバレたところで魔族や獣人も暮らすこの国ではあまり関係ないとも思う。一部未だに差別している貴族とかいるから、という都合だ。虐められたりしたら粛清してやると父上は言っていたが、私も虐められても返り討ちにできる程度には強いから、絶対秘密という訳でもない。


「破壊属性は相手の魔法や武器の『綻び』を悪化させる魔法だからね。私みたいな完璧に近い術式には『破壊神位魔法』レベルの魔法じゃないとあまり効果はないよ。」


「破壊神位魔法」。「破壊属性、神位魔法」ではなく、「破壊属性、破壊神位魔法」で、四大神位魔法の一つである。


「私の最高威力なのに・・・」


「あと魔法発動までの時間が長いかな、実戦形式だったら準備中に斬られてたよ。」


「ぐう。」


 誤解しないで欲しいが、この子は普通にやばい。極位と上位の並列発動なんかは私も集中しないと無理だ。ていうか普通8歳で上位魔法なんか撃てない。10歳で神位魔法撃てる私が言うことじゃないけど。


「強いんですね。」


「まあ少なくともそこらの一流よりはぶっち切りで強い自覚はあるかな。」


「分かりました。弟子になります。いつか追い抜いて姉さんの弟子になれるように頑張ります。」


「私も面倒だったけど、思ったより逸材だし、この券結構使えそうだから思ったよりいい話だったよ。」


「騎士隊長が何でも一つ言うことを聞く券」を取り出した。何に使うかは決めている。


 ◆◇◆◇


 次の日、リルがメイド服を着て王城に来た。隊長特権強すぎ。


「メイド姿のリっちゃんも見れたし、私はこれで。」


 そう言ってフウリ隊長はリルを置いて去っていった。住み込みの準備まで持ってきている。


「では、これからよろしくお願いします。エリ師匠。」

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[一言] 8歳の最強子供…… お母さんも最強…… 強いやつしかいない…… すごい
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